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移動手段の選び方(1)ー長所短所を使いこなす

北の大地の入場券86駅全部行ってみたシリーズ。
6本目のトピックは「移動手段の選び方」です。
まずは乗りものの長所短所を踏まえた選択について考えてみます。

今回の「北の大地の入場券を求めて」の旅は全4回で構成され、
3回はレンタカー中心、1回は列車中心でした。
概要を並べてみると、こうなります。
1) 新千歳空港からレンタカーで移動して
   新千歳空港から帰阪(7/28~30)
2) 新千歳空港からレンタカーで移動して
   新千歳空港から帰阪(8/18~20)
3) 釧路空港からレンタカーで移動して
   釧路空港から帰阪(8/26~27)
4) 新千歳空港から列車で移動して、新千歳空港から帰阪
   ただし一部でレンタカーと路線バスを利用(9/21~23)

参考までに、2018年の「わがまちご当地入場券」101枚の
コンプリートについては8回渡道しており、その時の構成は
こんな感じでした。
1) 花巻空港から列車で渡道、大半を列車で移動して、
   三沢空港から帰阪(4/8~10)
2) 帯広空港から列車で移動して新千歳空港から帰阪(4/14)
   ※往路は夜行バスで羽田へ向かい、朝便で帯広入り
3) 新千歳空港から列車と高速バスで移動して、
   新千歳空港から帰阪(5/4~6)
4) 新千歳空港から列車で移動して
   新千歳空港から帰阪(7/22~24)
5) 旭川空港からレンタカーで移動して
   女満別空港から帰阪(9/20~22)
6) 新千歳空港からレンタカーで移動して
   新千歳空港から帰阪(9/30~10/1)
7) 釧路空港からレンタカーで移動して
   釧路空港から帰阪(10/29~30)
8) 新青森から列車で移動して稚内空港から帰阪
   ただしレンタカーを2回利用している(11/4~11/5)
   ※新青森までは新潟まで夜行バス、あとは列車で移動

こちらはこちらで多様なパターンが存在するわけですが、
いずれにせよ旅程の組み方は一様ではないことは
おわかりいただけるかと思います。

自分の場合、交通機関の選択については大まかに分けると、
長距離移動については航空機・新幹線・夜行バス・フェリー、
地域間・地域内移動については列車・路線バス・レンタカーを
適宜使い分け、場合によっては徒歩やレンタサイクルも
選択肢に入れる場合があります。
長距離移動については、ごくまれに在来線も選択肢に入ります。
これは青春18きっぷなどのように、時間はかかってもよいので
移動コストが安く抑えられる場合や、途中の経由地を勘案すると
充分在来線で用が足りてしまう場合が考えられます。
もちろん今回の4回目のように、それしか選択肢がない場合も
在来線の活用が前提になることになります。

では「北の大地の入場券」の場合はどのようにして手段を選んだか。
それはあえて前述した「わがまちご当地入場券」の場合を絡めると
はっきりと浮き上がってきます。

まず、この2つの旅は成立過程が大きく異なります。
「北の大地の入場券」の旅は86駅すべてがあらかじめ対象となったので
効率よく近隣の駅を巡ることが前提であったことと、
北海道以外の場所を経由する必要がなかったことが基軸となります。

そのため、「北の大地の入場券」の旅は4回とも関空・神戸・伊丹発着で
直接渡道&離道していることになります。
一方で「わがまちご当地入場券」は往復とも直接アクセスしたのは
3)・4)・6)・7)の4回で、あとは夜行バスや在来線が組み込まれています。
さらに言えば、帯広・旭川・女満別・稚内は乗継便利用も含めて
羽田空港を経由した旅程となっています。

まずはこの面について整理してみます。

「北の大地の入場券」の方は「道内をいかに効率的に網羅するか」を
基本として、その上でどの交通手段が最適化を踏まえてふるいにかける。
すると、列車で訪れる方が効率的に移動できる駅と、クルマで行く方が
効率的に移動できる駅とに分けることができます。
前者は札幌都市圏のように列車本数が多く、駅前にまで出入りするのが
面倒であったり、駐車スペースを確保するのが難しいところや、
奥津軽いまべつ駅のように列車で行かざるを得ないところが該当します。
後者はそのまま裏返しの話で、列車の本数が少ないだけでなく
窓口の取扱時間が短い場合や、ほどよい距離で駅が近接している場合、
そして空港発着で周遊ルートが組みやすい場合も該当します。

これが「わがまちご当地入場券」の場合は前半4回(7月まで)は
コンプリートが前提ではなく、要所を押さえる旅でよかったため
主要駅にテンポよく移動できる列車旅が中心になったことと、
後半4回(9月以降)で残りの駅をすべて回る必要が出てきたことから
自ずとレンタカー利用しか選択肢がなかった面が浮き彫りになります。
さらに冬場の苛酷な環境の中でのクルマの移動は当然避けたいので、
降雪や凍結の可能性が高まるまでに決着を付ける考えもありました。

実際のところ、5)はレンタカーで道央を回って列車で北見まで移動し、
翌日改めてレンタカーを借りて道東を回って移動する流れだったのが
台風21号による関空の機能停止、厚真町を襲った地震と全停電により
旅程の変更に迫られ、1台のレンタカーですべてを巡るようになり、
8)はもともと別日程だった出羽エリアの行脚旅を組み合わせたため
新潟から稚内までの列車旅が軸になるというオチも加わっています。

したがって「北の大地の入場券」の旅は、さきに回れるところを
できるだけ多く網羅できるようにエリアを定めて弾力的に移動し、
残していいところを残して最後に回収できるようにした展開になり、
その考え方はまさに「わがまちご当地入場券」のときの経験と、
回顧したときの反省や昇華につながっているというわけなのです。

その意味では新千歳空港の所在位置はまさに絶妙で、道南・道央と
十勝平野以西の移動はほぼカバーできるといっていいでしょう。
一方で道北は旭川・女満別・稚内を適宜使い分けることになりますし、
道東は帯広・釧路・紋別を基点として、目的地によっては中標津を
どう組み合わせるかで幅が広がることになります。
そこで現地発着が可能であればレンタカー利用を基本としつつ、
(乗捨料金は正直、相当かさみます)無理のない範囲で
宿泊先や返却地までの移動計画を組み、その上で移動コストの
適正化を図ることになります。
レンタカーエリアを跨がる旅程になる場合は、一度地元で返却して
列車やバスでエリアを越え、改めてレンタカーを借りる方が
安上がりになることも多いです。
(自動車道を使ってエリアを跨がる旅程になる場合は、
自動車道料金と時間的効果を込みにして検討すると、
意外と列車やバスの方が安くつく区間も各地にあります)

では列車やバスはどのような場面で優位性が上がるか。
あくまでも北海道に関連する例としてここでは述べますが、
何といっても列車の優位性は定時性と速達性。
現在は諸事情から運転速度が抑えられている区間が多く、
速達性の面はいくつか削られてしまっているとはいえども
やはりクルマよりは速く移動できるところが多いです。
そして1人2人での移動であれば、乗車券類の組み合わせや
インターネット予約の活用などで案外安く利用できます。
空路との組み合わせで購入できるフリーきっぷも狙い目です。

ただ、区間によっては特急・普通ともに本数が少ないところや、
宿泊先の確保が難しいため、夜行バスを利用するほうが
結果的に効率よく移動できる場面も結構あります。
「ご当地入場券」の時はフリーきっぷを持っていながらも
あえて高速バスや夜行バスで移動した区間も複数ありました。
今回の「北の大地の入場券」の場合だと4回目の幌延→豊富の
路線バス移動が該当しますし、旅程によっては豊富→札幌も
高速バス(大半は国道を走る)利用の可能性が残っていました。

北海道では冬場になると、列車の優位性がさらに高まります。
高速バスや路線バスは冬季に入ると所要時間が延びたり
出発・到着時刻の変更によって滞在時間が短くなるところが多く、
夏季だと可能な旅程が冬季は組めないという可能性が生じます。
もちろん他車の速度も落ちる地域だとバスもその流れに乗るため
遅延が生じ、乗継が思うようにできない場面にも出くわします。
そのためか、バスターミナルでの接続時間はもとより多めに
確保しているところが多く、あえて短くしているところでは
接続便が多少待ち合わせてもいいダイヤにしていたり、
状況によって途中の停留所で乗り換えられるように
接続場所を乗客に案内する場合もあります。
北海道の場合、終点の駅やターミナルまで乗ってしまうよりも
街中の交差点(◯◯十字街や△△入口など)で降りて少し歩くと
次の便が停まるバス停へ早めにたどり着けるところも多いです。
(想像できると思いますが、冬場は一般にオススメしません)

列車の場合でも、けものとの衝突や倒木、積雪などで遅延や運休が
生じることがありますが、これは北海道に限ったことではなく
旅の途上ではどこでも起こりえる話となります。
つまるところ、どこで余裕を持たせるかがいい旅にするための
ポイントだといえるのかもしれませんね。

それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。

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