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旅の伴にした本(17)ーあめつちのうた
通勤電車の吊り広告で目にして、ずっと気になっていた長編小説をひとつ。
じっくり読みたいと思っていたので、久しぶりの長旅の伴に選びました。
講談社文庫 刊 朝倉 宏景 著 「あめつちのうた」
甲子園球場を舞台としたスポーツもの……ではなく、主人公はグラウンドキーパーの新人(2年目)。弱冠にもう少しでとどく19歳。脇を支える主要メンバーも少しずつ縁がある同世代の顔ぶれ。
そこそこボリュームのある作品なのですが、場面ごとに揺さぶりをかけるできごとが組み込まれており、そのできごとのそれぞれが登場人物とつながる課題や懸念とつながっていく展開。登場人物各人の立ち位置の中で、言葉にできない悩みや行き詰まり、あきらめやあがきが読者にしっとりと沁み込んできます。
場面の展開は主人公が阪神園芸の社員となってからの1年ちょっとの間に進んだ季節ごとに区切られ、それぞれの場面の土台となるのがまさしく甲子園球場そのもの。春夏秋冬それぞれの甲子園球場で生み出される感動の源泉が何なのかが感じられるようになっています。
しかしまあ、人の名前というのもある意味「ことだま」のような要素があるのかなあと感じた作品も、なかなかないです。
というのが、ある意味で最も個人的な所感かも。いずれにせよ、甲子園球場という場所に何かしらの魅力があり、かつ“仕事場”の裏側というか、現場の最前線に興味を感じる方であれば、なかなか楽しめる作品だと思います。
この作品は空港に向かう電車の中と、ゆきの空路をいっぱいいっぱい使って読了しました。
それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。
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