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クモハ123形直流電車の話

JRの電車の中には、1両だけで乗客を乗せて走ることができるものが何種類かあります。現存している中で、国鉄時代から活躍を続けている車両としてクモハ123形があります。現在はJR西日本の宇部線や小野田線で活躍していますが、JR初期の頃はJR東日本やJR東海でも別の形態の車両が走っていました。

左が1両編成のクモハ123,右が2両編成の105系

クモハ123形は、国鉄時代に用途を失った荷物電車を活用するべく内装を改めて製作されたものです。はじめに1両が中央本線の岡谷ー辰野ー塩尻間を走るものとして登場しました。

中央本線を走っていたクモハ123-1

これに続くかたちで宇部線・小野田線用として改造されたのが3両あり、中央本線用の車両が1番を名乗った続番として2・3・4が登場しました。

専用塗色だった頃のクモハ123

中央本線用のものは幅の狭い2段窓がズラーッと並ぶ側面だったのに対して、宇部線・小野田線用の3両は窓を広窓に付け替え、外観も車内も大きく変わりました。
さらには身延線用として40番台や600番台を名乗る車両が登場したり、阪和線羽衣支線用として朝夕ラッシュ時は3両、日中は1両や2両というようにきめ細かな運用をするために貫通扉を追加したものも現れました。
阪和線用のものは冷房も搭載されたものの、荷物電車の扉部分をそのまま活用したため、窓の位置や扉の構造が独特なものになっていました。

宇部線・小野田線用になったクモハ123-6
現在は窓が増設され、ドアの位置も移設されているクモハ123-5・6

もっとも最近に乗ったクモハ123は4番。車両の番号が123-4と数字が並ぶ珍しい車両でもあります。

クモハ123-4

長い年月を経て冷房装置が搭載されたり、車いす対応型のトイレが追加されたり、座席のモケットが交換されたりしていますが、端から端までつながる文字通りのロングシートや、吊り広告が一切ない見通しのよい天井はそのまま変わらない姿をみせています。

広告を吊るための金具がついていない車内
長いロングシートを優先席側から

1両単独で運行できる電車は数少なく、まだまだ活躍が期待できそうです。来歴がユニークなこの電車、乗りに行ってみたくなった方は宇部線や小野田線をたずねてみてください。

長門本山駅で折り返し待機中のクモハ123

それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。

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