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2024/8/12 竹内オサムの「手塚治虫論」とかの話

カルシウム蛇です。

最近図書館で竹内オサムの「手塚治虫論」を借りて読んでいます。アラバスターの主義主張の説明をするうえでアラバスターのひらがなまみれの犯行声明を引用していて「そこに目をつける人初めて見たな……」と思っております、亜美の説明が少なめでアラバスターの説明の方が多いのがかなり印象的です。

2月か3月かぐらいの頃に、同じ竹内オサムが書いた「手塚治虫語辞典」を図書館で借りたとき、アラバスターに関して気になる文章がありました。

奇怪な姿を持った男の不幸な物語。

手塚治虫語辞典 17ページ 

そして「手塚治虫論」の方にもこんな記述が

このように「アラバスター」は、人間の美意識の転換を謀る男の物語である。その相対的な価値を、世界の秩序の破壊を通じて主張しようとする男の物語である。しかし、外形的な美にこだわり続ける限り、その不幸もやむことはない。

手塚治虫論 95ページ

不幸!アラバスターは不幸!

ここにおけるアラバスターの不幸は美室麗子(スーザン・ロス)に手酷いフられ方をしたことではなく、道を誤り続けて、人生がどんどんを悪い方悪い方へと堕ちていき、最終的に破滅することを指していると思いますが、それにしたって「不幸」。

アラバスターって、不幸なんだ…………噛み締めちゃうな。

他にもアラバスターに関する記述だと「手塚治虫語辞典」の

ついにジェームズは、アラバスターと名を変え、美しいものを憎む。地上をグロテスクな世界に作り変えようとする。しかし、その孤独を癒すのは、透明な少女亜美だけだった。

手塚治虫語辞典 17ページ

オタクが盛り上がるところです本当にありがとうございました。

アラバスターって孤独なんだ…そしてその孤独を癒すのは亜美だけなんだ……亜美からしてみればいい迷惑過ぎるな………

アラバスターってアラバスターになる前から友達いなさそうだし、たとえ友達がいたとしてもアラバスターはあんまり友達って認識してなさそう(偏見)。アラバスターってアラバスターになってからは対等な関係とか築けてなくて、自分がボスやってる組織(組織名と自分の名前が一緒なのマジで紛らわしくない?)の部下、そして亜美だけだし、亜美に関しても父親代わりを名乗ったかと思えば後半の亜美……お前を愛してるよ……💋ときた。

フフ……へただなあアラバスターくん へたっぴさ…………!人間関係の築き方がへた… アラバスターくんが本当に欲しいのは… 自分のことを理解して受け入れてくれる人……!

言ってて悲しくなってきました、アラバスターってなんでこんな下手くそなんだ。

手塚治虫語辞典に関しては嘘か真かこんな記述も

この物語におけるアラバスターと亜美の人間関係は、そのまま同誌の後につづく連載「ブラック・ジャック」におけるブラック・ジャックとピノコの関係に引き継がれていく。

手塚治虫語辞典 17~18ページ

ブラック・ジャックとピノコの関係も相当アレだけどまだそっちの方が健全だろ、アラバスターと亜美の関係性相当不健全だぞ、比べてやるな。いやまあ……全く似てない!と言ったらちょっとは似てるかも……?とはなりますが、結構違うでしょあの関係は。

最後に!「手塚治虫論」でめちゃくちゃ頷きたくなる文章があったので引用させてください。

もっとも、エロティシズムとは、極めて個人的な領域に属する概念であるにちがいない。受け手の経験やあり方によって、その針は右にも左にもふれる。対象そのものに基準を求めることは、はじめから無理なはなしだろう。

手塚治虫論 84ページ

わかる!!!めちゃくちゃよくわかる!!!!!

私もあります、このキャラクターめちゃくちゃエッチだ!!!!と思ってネットの海を探してもそのキャラクターをそういう目で見てる人がどこにもいないこと。見る人によってエッチは変わる、普遍的絶対的エッチなんてこの世には存在しないんですよ、悲しいことに(悲しいか?)

人には人のエッチがあるから、ひとりひとりがそれを大事にして行ければいいなあと思いました、もはやアラバスターでも手塚治虫の話でもなくなっている。

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