部族むかし話「蜂の恩返し」
むかしむかしある所に、お爺さんとお婆さんが夫婦で暮らしていました。
夫婦は酪農家で、牛の乳を搾るのが仕事です。お金持ちとは言えませんでしたが、二人仲良く助け合って日々を送っていました。
ある秋の日の事でした。お爺さんが牛たちに餌をやっていると、一匹の蜂がぶ~んとやってきて言いました。
「おじいさん、おじいさん助けておくれ。冬に向けてご飯を集めているのに、ここら辺にはお花が咲いていないんだ。このままじゃ皆飢え死にしてしまうよ。助けておくれ。」
お爺さんは困って言いました。
「私は牛を育てるのが仕事で、蜂を育てたことはないんじゃ。けれども放っておけないから、少し待っていなさい。」
そうするとお爺さんは、家に帰ってお婆さんにそのことを話しました。
お婆さんは、
「そうしたら家の窓の外にお皿を置いて、毎日お砂糖を水に溶かして入れておきましょう。きっと蜂さんたちは喜びますよ。」
おじいさんはそれを蜂に伝えました。
蜂は大喜びで、
「ありがとうお爺さん、ありがとうお婆さん。」
と告げて帰っていきました。
それから、蜂たちは来る日も来る日も、夫婦の家にやってきては、砂糖を運んでいきました。
やがて冬がすぎ、春になりました。
春のある日、夫婦の住む土地を治める豪族のおじさんが、夫婦の家にやってきて言いました。
「お前らの家では、牛乳が良く取れるらしいな。JAに納める前に、うちにも取れた分の半分を無料で送りなさい。もし断れば、この家を焼いてしまうぞ」
お爺さんは言い返しました。
「そんなことをすれば、家は破産してしまいます。」
ところが豪族のおじさんは
「うるさいわい!黙っているのだ!」と怒鳴りつけて、帰ってしまいました。
お爺さんとお婆さんは、その晩は眠れずにしくしく泣いていました。
蜂たちはその様子を見ていたのです。
次の日、お爺さんのもとに蜂がやってきて言いました。
「お爺さんには散々世話になりました。今こそ恩返しの時です。」
お爺さんは驚いて言いました。
「蜂さんや、そんな小さい身体で何ができるのかね?」
蜂は言い返しました。
「我こそは常陸はウンバボ族にて副司令官・大司馬・鎮極東大将軍のはっちびーの化身である。私はこの地を治めるためにやってきた。長い事間諜をしていたが、やっと姿を見せる事ができた。」
お爺さんは驚いて腰を抜かしました。
そうして蜂が小さく腕を振ると、裏の森を抜けて完全に機械化された歩兵師団と、随伴する特科部隊が姿を現しました。
豪族のおじさんは驚いて応戦しましたが、ウンバボ族の誇る機甲師団に敵うはずがありません。おじさんはあっけなく首をはねられ、豚のエサにされました。
以後、お爺さんとお婆さんは、ウンバボ族の庇護のもと、末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。