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イーリアスの攻防①(ウンバボ王国記③)

あの鋭い刃を見よ。たかしの子らが携えた槍は、どんな物でも貫いてしまうだろう。
あの目の輝きを見よ。どんな黄金ですら見劣りするだろう。
子らの魂の瞬きを見よ。あの素晴らしい子らの一閃の光を見よ。

偉大なる父が星を引き寄せて我が子としてから150年以上が過ぎたとき、西の彼方に新たな王国が誕生し、瞬く間に領土を広げた。
西の子らは、自分たちの街を巨大な川と巨大な石垣で囲い、門には「唯一絶対なる城壁イーリアス」と刻んだ。
彼らは馬を駆って羊を追いかけ、その肉を喰らって生きていた。
西の子らは、たかしら星の子を最初に「東から来る民をアウバボ」であると読んだ。

前ウンバボ暦174年3月、星の子らの王たかしが、初めて西の民の使者を謁見した。
西の子の一人が記録に残している。
「王たかしは、星の子らを代表して貴殿らを歓迎すると言い、宴をもうけた。魚とキャッサバ、タロイモなどの料理と可愛らしい女性の踊り。しかし宴もたけなわとなったとき、王たかしは合図を出して我々を兵士たちに襲わせた。我々のうちの何人かが斬られた。私は命からがら逃げ出した。」

王たかしはこの件を次のように述べている。
「余興だ。強くないものに我々と同じ土は踏ませることはできない。」

6月、イーリアスは大軍を起こしてウンバボ領内に攻め込んだ。王の子らは各々槍を手にして父のいる王宮に集まった。
王は言った。
「彼らが、西の子らが、我々と同じ空気を吸うことも、同じ土を踏むことも許してはならない。彼らは殺され、彼らの子らは星の子となる。」

ただちに軍が編成された。ごくわずかな者を除いて、ウンバボの殆どの民が軍勢に参加した。みな、右手に槍を、左手には縄を持った。

西の山にはイーリアスが続々と陣を張っていた。山の木を切り倒し、切った木材を並べて簡易の城壁とした。土を掘って胸壁を築き、矢と弓を装備した兵士を5mおきに2人ずつ配置した。ときおり歓声をあげては、ウンバボの軍を威嚇した。

王たかしは言った。「星の子らよ、あの山に登れるものはいないか。」
すると一人の屈強な男が進み出て言った。
「オレに行かせてほしい。あの山を汚した者を生かすわけにいかない。オレの大斧ならば山ごと真っ二つにしてやろう。」と。

王は「行くがよい。子よ、汝に空の加護が有らんことを。」と言い、男と盃を交わして送り出した。

男の名を「まごやん」という。

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