ウンバボ王国記②
万物を引っ張る力には2つの種類がある。1つは「強い力」。そして2つ目は「弱い力」である。
王たかしが星の子を引き寄せた時、世界には限りなく続く海と、果てしない空があった。
星の子らが成長すると、王たかしは子らに大きな城壁を作らせた。城壁の内側には大きな街があり、天まで届く階段もあった。
星の子らはその街を「我らの王たかしの絶対なる都ウンバボ」と呼んだ。子らは街に住み、昼間は外で田畑を営み、夜は機を織って暮らした。
この街で子らは子供を産み、殖やしていった。
時は流れ、星の子らが30世代ほど暮らした時には、世界の様相も変わっていた。東に「月を食べた神」、西に「賢き狼の群れ」、北に「招かれた来訪者」、南には「悲哀の女王」が現れた。
大地に混乱が広がり、絶望の叫び声は南から響いてきた。
王たかしは軍を起こしてこれらを鎮圧しようとした。
まず南に軍を差し向け、王自ら槍をとって悲哀の女王と戦い、500合打ち合って遂に女王を倒した。そして女王の民を全て生け捕りにした。
女王の民は跪いて詫び、毎年ウンバボに大きな船を納める事を約束した。
続けて王は西にいる賢き狼たちの元に軍を送った。
狼たちは獰猛な性格で、王国を恐れずに戦おうとした。
狼たちの鋭い牙に王国の兵士らは戸惑った。王は槍を一振りして兵士たちを鼓舞し、兵士たちが一斉に大声をあげると、ついには狼たちは恐れを抱き、王国に信服した。
狼たちは毎年鹿の皮と生きた馬を納める事を約束した。
王は続けて東に目を向けた。
月を食べた神は、永遠の王国を滅ぼそうと邪悪な呪いを歌った。
そこで王は自らの額に被った冠を脱いで、太陽にかざした。
すると太陽は王冠に収まるほど小さくなり、王は手のひらに太陽を持つと口の中に放り込んだ。
こうして太陽を食べた王に、月を食べた神は驚き萎縮し、ついには膝を屈した。
神は毎年月の光を納めることを約束した。
最後に北の来訪者たちは、王国に入ろうと欲して近づいてきた。
王は自らこれを出迎え、歓待してもてなした。
来訪者たちはこれを喜び、ぜひ家来にしてほしいと願い出た。
王はこれを快諾し、彼らも星の子らと同じウンバボの民となった。
彼らは後に「海の子」と呼ばれるようになった。
こうして星の子が50世代ほど繰り返す頃には、ウンバボの街は豊かな実りに恵まれて、活気は天に届かんばかりとなった。
王は次なる野望に向けて動き出した。
(つづく)
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