族長のお告げ
冬の夜は寒い。
日本に襲った寒波は、温暖な山陽地方と言えども空気を一気に冷やしていく。昼間は冷たい雨が地面にぽつぽつと降り注いでいた。
その雨も夜には上がって、晴れてしまった。放射冷却でさらに冷え込む。
睡眠導入剤を飲んで、布団を増やして、寝た。
しばらくすると、ますます身体が冷えてきた。
布団をもぞもぞ動かして、なんとか温まろうとする。しかし、足先から冷えてきてとても冷たい。
カーテンの隙間から月光が射しこんで、顔に当たっている。
それで目が覚めたらしい。
「おい」
横から声がする。
一人暮らしの部屋に、誰かいるらしい。つまり盗賊の類である。
起き上がり、たれか、と叫ぼうとした。
こういう場面での冷静な思考というのは、武家の血が入っているからできるのであろう。
しかし、身体が動かない。足や手先に力を加えようとすると、すーっと力が抜けていくのである。
いわゆる金縛りであった。
「おい!」
私は焦った。
はぁ!はぁ!
息が荒くなる。
「玉虫ィ!」
ハッと目を開ける。懐かしい声が、横から聞こえてきた。
身体は動かないままだ
「ぞ、族長!」
「おまえ、なにやってる」
「寝てました、無礼をお許しください!」
「そうじゃない」
なぜか族長が枕元に座り、私に話しかけてくる。
首府茨城からいつこちらに来たのだろうか。
「宮殿には明日、参内しますので!許してください!」
「ちがうよね?」
「えぇっ!」
息が次第に荒くなる。心臓がバクバクと高鳴り、今にも破裂しそうだ。
脂汗が、身体中から噴き出してくる。
はあ、はあ、
「お許しください!お許しください!」
「ゆるさん!」
「だれか!だれか助けて!」
「おまえには失望した」
「はぁっ!はぁっ!」
族長は目を見開き、凄まじい形相でこちらを睨んでくる。
「来月だ」
「な、なにを!」
「よく聴け」
「来月2月25日、ソフィーのアトリエ2~不思議な夢の錬金術師~が発売される。」
「玉虫、おまえ、ソフィーのアトリエをプレイしたことがないだろう!」
「は、はい!」
「早急にプレイし、クリアしておくのだ。そしてソフィーのアトリエ2に備えろ」
「わ、わかりました!」
「言う事は全てだ。」
「もしプレイしなかったら、お前を処刑する」
そういうと族長はスッと姿を消した。
私は汗びっしょりになり、がくがくと震えていた。
インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。