天井
目覚めると病院だった。
「はっちーさんは!?」
点滴を入れるための管が腕から伸びている。Twitterでオタクがよくあげてる入院した時の画像そっくりの風景が目の前にあった。
少し身体を動かそうとすると、本当にどこも悪くないかのように身体が馴染んで動く。そのまま起き上がり辺りを見渡した。
「そうか、オレ死んだんだ。」
床を見ると、ベッドの横から自分を隠すカーテンまでの地面の間にタンポポが数十本咲いている。おそらくカーテンの後ろは一面のタンポポ畑なのだろう。
「うーーん」と言い背伸びをすると、空気が澄んで美味しく感じる。
これが天国ってやつなのか。すげぇわ。
「ちがうゾ」
気づくと族長が横に立っていた。
私は少しびっくりして「アレ!たかしさん!ウっス!」と声をかけた。
「ここは天国じゃないぞ。待ちに待った時が来たのだ。ウンバボ帝国の誕生だ!」
そうか、ここが預言書に記されているウンバボ帝国・・・。
「やっぱり天国じゃないか!」
私はベッドから立ち上がり、カーテンをサッと開けてみた。
目の前にネオンランプとゴチック体でキラキラ輝く「ウンバボ帝国にようこそ!」の看板がある。
「はっちーびーならパーティーに出かけたぞ」と、族長が言った。
さすがはっちーさん、俺をおいてパーティーに出かけるとは・・・。
許されない話。
地面に生えているタンポポとか良く分からない食虫植物を踏まないように、ゆっくりと歩きだす。うんうん。
しばらく歩くと、KV-2の砲塔を取り付けたTOGⅡが時速80kmほどで接近してきて、私の目の前で止まった。車体横には「パーティー行き」と書かれた電光掲示板が貼り付けられている。
私はその戦車の背中に飛び乗り「出してくれ」と言った。
戦車はすぐさま発進した。「ウワーーーーーーッ!」と言う間に戦車は時速12000000000000000000000000000000000kmを超える。すぐさま光が通り過ぎ、真っ暗になった。TOGⅡが光速を超えて走っていた。そばに生えたタンポポを次々となぎ倒していく。ストップウォッチを叩く。タンポポのお酒を作ろう。
私は真っ暗になるのがとても怖かった。暗い世界は嫌いだ。
族長が走って追いついてきて叫んだ!「よせ!」
私はすべき事が分かっていた。叫ぶべき事が分かっていた。
「光あれ!」
次の瞬間、TOGⅡの周りから光の輪が広がっていった。光は波打ち、うねうねと動いている。光のカーテンだ!光の海の中を、TOGⅡが光速で走り抜けていく!
その時!横を並走する族長が叫んだ!
「破---------ッ!!!!」
すると、世界は打って変わって真っ赤に染まった。
違う!
真っ赤に染まったのは世界じゃない、私の身体だ!
私の心臓に当たる部分から、真っ赤な血液が吹き出している。
「うおおおお!痛風よりいてぇえええええ!」
私はあまりの痛みに目を閉じた。
しばらくすると、族長が言った!「囲まれた!カコマレタ!」
コイツは族長じゃない!族長に化けたはっちーびーだ!
こいつを許しちゃいけない!
気が遠くなる意識の中で、私ははっちーびーを殺すための作戦を考えようとした。しかし、意識は遠のいていく。クソ・・・もう少しで・・・
あああああああああああああああ!
次の瞬間、私は目覚めた。
見慣れたアパートの天井が広がっている。外では鳥も鳴いてる。
「夢か・・・」
大きく伸びをして、静かに枕元のスマホを手に持った。8時。
「ちょっと寝過ぎたかな」と私は1人で呟いた。
・・・。
「ちがうゾ」
聞きなれた族長の声が耳に入った。
インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。