情熱に圧倒される

長年通っていた美容院が閉店してしまい、ここ数年はあちこちの美容院を彷徨っていた。昨日は、オープンしてまだ1週間足らずという美容院に行ってみた。

まず、美容師さんの情熱に圧倒された。すべてにおいて彼の目指していることを熱く語ってくれた。トリートメントは、べったりと重い感じではなく、風になびくような軽やかな風合いを目指していること、カットは、頭蓋骨の形を意識しながら立体感を出すことを目指していること、カラーリングは、肌の色、瞳の色、その人の雰囲気に合わせて選んでいること…。

芸能人の◯◯さんみたいな髪型ではなく、その人が好きなもの、好きなこと、求めている雰囲気などを掬い上げて、その人の個性に磨きをかけるような…、そういうスタイリングを目指しているとのことだった。だから、切り抜きを持参するならば、風景でも人物でもなんでもよいからあなたの好きなもの、心地よいと感じるものをぜひとのことだった。切り抜きそっくりの髪型に整えることが彼の仕事ではないことがわかった。そして最後に、ぜひ私に任せて欲しいとおっしゃった。

「すべてお任せします」と即答した。彼のプレゼン、パフォーマンスに魅了されたからだ。すべてを委ねることに不安はなく、むしろワクワクした気持ちになった。

仕上がりはとても良かった。情熱を傾けて語って下さり、その情熱のままに一連の施術をして下さり、新しいヘアースタイルだけではない何かを得られた。これで料金が今までよりもかなり安かったのだから本当に信じられない。

人の気持ちを動かすもの、人の気持ちに残るものは「情熱」なのだと思った。

次もこの美容院に行くつもりだ。もちろん彼を指名する。

#エッセイ #日記 #コラム

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