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イギリスサッカーのバンターとチャント:試合観戦の醍醐味

イギリスでのサッカーは単なるスポーツ以上の存在です。それは情熱やライバル心、そして何よりも「バンター(からかい)」を含んだ体験です。多くのファンにとって、チャント(応援歌)は試合観戦の雰囲気に欠かせない要素となっており、ユーモアや競争心をサポートに加えています。

最近の調査によれば、ファンにとってチャントはスタジアムでの試合観戦を盛り上げる重要な役割を果たしており、現代の試合と過去の時代を結ぶ不朽のリンクでもあるとされています。実際にイギリス人の80%以上の人が、チャントはライブの試合の雰囲気を盛り上げる重要な要素だと答えているそうです。

他のスポーツの観戦者もチームを応援する際に歌を楽しむことはありますが、イギリスのサッカーファンはそのレベルが別格です。煽り合いに関しては彼らの右に出る国はないでしょう。これを覚えていけば、イギリスでのサッカー観戦がもっと楽しくなるかも?

笑えるチャントの紹介

調子に乗らせると天井知らずに煽り続けるイギリス人サポーターたち。感情の起伏はまるでジェットコースターのようで、自分たちが劣勢になると、先ほどの勢いが嘘のように途端に沈黙します。そんなイギリス人たちの愉快で最高に皮肉詰まったチャントを少しだけ紹介します。

  1. ‘He’s big, he’s red, his feet stick out the bed‘
    訳:「大きくて、赤くて、足がベッドからはみ出てる」(身長が2m以上あったピーター・クラウチ選手についてのチャント)

  2. ‘When you’re sat in row Z, and the ball hits your head, that’s Zamora, that’s Zamora’
    訳:「君がZ列に座ってて、ボールが頭に当たったら、それはザモラ、それはザモラ」(ボビー・ザモラ選手についてのチャント、『That’s Amore』のメロディで)

  3. ‘Chelsea, wherever you may be, keep your wife from John Terry’
    訳:「チェルシー、どこにいても、ジョン・テリーから奥さんを守れ」(ジョン・テリー選手についてのチャント、『Lord of the Dance』のメロディで)

  4. ‘Stand up if you pay your tax’
    訳:「税金払ってるなら立ち上がれ」(ハリー・レドナップ監督が脱税捜査を受けたことにちなんだチャント)

  5. ‘Your teeth are offside’
    訳:「お前の歯はオフサイド」(以前に他の試合で相手選手に噛み付いたルイス・スアレス選手をおちょくるチャント)

  6. ‘You should have stayed on the telly’
    訳:「テレビのコメンテーターをずっとやっていればよかったのに」(アラン・シアラー氏がニューカッスルの監督で結果を出せず苦しんでいた時に向けられたチャント)

伝統的なサッカーチャント

  1. ‘You’re not singing anymore’
    訳:「もう歌ってないじゃん」
    使用場面:相手チームのサポーターたちがショックのあまり沈黙している時に聞くことができます。同じようなニュアンスで'This is a library(ここは図書館だ)'という煽りもあります。もちろん、そこから万が一、逆転されて不利になったらやり返されますので注意が必要です。

  2. ‘Sacked in the morning, you’re getting sacked in the morning’
    訳:「朝には解任、朝には解任される」
    使用場面:相手チームの監督が不調で、解任目前だったりする時に使えます。これを言われた監督は気分がいいものではないでしょうね。

  3. ‘You only sing when you’re winning’
    訳:「勝ってるときしか歌わない」
    使用場面:相手チームのサポーターが負けていて静かになっている時の煽りとして使えます。勝っている時は気持ちよくなって相手サポーターを煽り散らかす姿は滑稽です。

  4. ‘The referee’s a wxxxxr’
    訳:「レフェリーは×××」
    使用場面:審判が理解不能な判定や自分のチームに不利な判定をした時に使用されます。×××に入る言葉はご想像にお任せします。審判をリスペクトする文化が強い日本では考えられないのではないでしょうか。

  5. ‘Is there a fire drill’
    訳:「避難訓練があるんですか?」
    使用場面:相手チームのサポーターたちが試合を諦めて帰り出した時によく聞くことができるチャントです。これもまた勝っている時に歌っていたら相当気持ちいいんでしょうね。

最高の雰囲気を作り出すサポーター

イギリス国内の調査によれば、サッカー観戦中に歌を歌うのが好きなサポーターは72%にのぼり、そのうち53%がスタジアムで試合を観るときに「いつも」または「頻繁に」歌を歌うと回答しています。また、22%はパブで試合を観ながら、28%はテレビで観戦中にも歌を口ずさむことがあるそうです。

調査はまた、プレミアリーグで最も盛り上がる雰囲気を作り出すのはリヴァプールのファンであるとし、次いでマンチェスター・ユナイテッド、ニューカッスル・ユナイテッドが続きます。スコットランドでは、セルティックのファンが最高の雰囲気を生み出し、その後をレンジャーズ、アバディーンが追っています。

さらに、ファンの間で最も人気のあるクラブアンセムとして、リヴァプールとセルティックの『You'll Never Walk Alone』が挙げられています。2位にはマンチェスター・ユナイテッドの『Glory Glory Man United』が、3位にはストーク・シティの『Delilah』がランクインしました。

まとめ

イギリスではサッカーと音楽が密接に関わっていて、チャントやクラブアンセム、ウォークアウトミュージック、ゴール時の音楽など、サッカーの中で大きな役割を果たしています。チャントが今後も消えることなく、イギリスでの試合観戦の重要な要素として残り続けるでしょう。ぜひ、イギリスに行ってサッカー観戦をするのであれば、チャントやバンターに耳を傾けてみると面白さが倍増するかもしれません。

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