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9、隠者(大アルカナ)解説

 9、隠者

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 大まかな意味(正位置の解釈)


 暗い灰色の背景に、黒いフードの老人が金色の光を放つランタンを持って過去を示す左側を見下ろしています。白灰色をした険しい崖から過去を内省する老人はこれまでの旅路や己の心境を深く反省しているようです。また、人里離れた険しい山々の中に隠れ住むこの老人は、広く深い知識を持っていることも示します。自分の内面と知識を省み、研究することで知見を得られることを示します。また、沈黙を守って何かに集中している様を示します。この隠者は己の興味や関心に集中し、人と交流する気はなさそうです。
 ★意味:一人で研究や内省に勤しんでいる状態、内面に洞察力を向けている状態、沈黙を保ちながら広大な知識を蓄えている状態
 ★人間関係/恋愛上の意味:交流をするよりも一人で内省をしている状態、一旦交流を減らしてでも内面に洞察をしている状態、知識を蓄えてこれまでのことを深く見つめ直している状態

 逆位置


 逆位置で出ている隠者は、保っていた沈黙や内面の静謐さ、内省や研究に集中する状態を失い、やや乱れた状態にあるようです。一人で静かに過ごしていた状態から、いよいよ人に手を伸ばそうとしている状態かもしれませんし、沈黙を守り切るのも辛くなったのかもしれません。過去を省み、また知識や教養を深めることよりも、もう少し遊び歩いたり旅に出たりなど、活動的な試みが必要なのかもしれません。また、それらの能動的な努力が必要になりながらも、塞ぎ込んでしまって言い出せない様子を表すこともあります。
 ★意味:塞ぎ込んでしまって交流したくてもできない状態、静かに内省するよりも活動的に外に出るべき状態なのにそれができないでいる状況、知識があって扱いたくても外に生かし切れない状態
 ★人間関係/恋愛上の意味:交流をしようとしても言い出せない状態、あるいは手を出すのに消極的になってしまっている心境、内面の洞察が乱れている結果言うことに確信が持てないか過剰な確信を持って発言してコミュニケーションが滞る状態


 暗示性


 静かな内省を積み重ね、これまでの人生を洞察する「隠者」に描かれた老人の姿は、「愚者」、「女教皇」、「法皇」、「正義」、「吊るされた男」、「死神」、「節制」、「審判」と一部共通する意味合いを持ち、特に「太陽」と対照されます。また、大アルカナでは「18(1+8=9)、月」と、小アルカナでは、「棒/ワンドの9」、「金貨/ペンタクルの9」、「剣/ソードの9」、「聖杯/カップの9」と「9」の数字的な関連があり、「棒/ワンドの2」、「剣/ソードの2」、「剣/ソードのキング」と類似した意味を持ちます。


  「愚者」:「隠者」のカードも孤独であり、自由な状態です。また、絵柄で向いているのも「愚者」と同じく『左側』すなわち自己内省や過去を顧みる心境を表すものです。ですが、「隠者」はある程度の道のりを経て自ら社会から離れ孤独を選んでいる姿であるのに対して、「愚者」はただまっさらな状態であるために仲間もおらず、一人で冒険に出ている点が異なります。経験を積んで人脈を得ても仲間から距離を取り己の領域でひっそりと息を潜める「隠者」の静かな自己内省を行う心境と、冒険に出るために新天地に繰り出す「愚者」の楽観的で向こう見ずとも言える心境とでは状態が違うのです。

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