剣/ソードの10
剣/ソードの10
大まかな意味(正位置の解釈)
「剣/ソード」のスートの物語もついに終わりを迎えます。重いカーテンのように垂れ込めていた黒く重苦しい夜は次第に黄金の太陽によって暁へと変わっていきます。遠くの青く豊かな山肌と波一つない大河川が徐々にその荘厳たる姿をあらわにしていくでしょう。その中で、1人の人物が10本の剣に貫かれて息絶えているようです。この人物が纏っているのは高貴な地位を示す赤いマントでしょうか。それともこれはただのマントが流れ出る血で染まっただけでしょうか。血が古くなっていないのをみるに、この人物が背後から刺されたのは数時間以内と推定できるでしょう。また、人物の手は地面に面していません。倒れることを見越して倒れたわけではなさそうです。誰かからの突然の致命の一撃を受けたと見て間違いないでしょう。肉体の中央に集まっている急所を的確に捉えた10の剣撃は過去を示す左側から襲来したと考えて自然です。この人物は全く罪がない訳ではないのでしょう。自分の過去の行いの積み重ねか、誰かの恨みを買って、今の決定的な敗北があるのです。この屍を越えて行くべき、というのがこのカードの伝えるメッセージです。屍を埋葬して教訓を得て、輝く朝日へと向かっていけるようにしましょう。
★大まかな意味:決定的な敗北、誰かからの致命的な裏切り、激しい痛みを伴う状況の決定的な終焉、覆しようのない挫折、終わりを受け入れて潔く手を引くしかない状況(非常に難しいでしょうが)、どうしようもない状況
★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」とほぼ同じ。関係が遠い場合、今は手出ししないほうが無難でしょう。関係が近い場合、相手はそれどころでないほど絶望しているか、あるいは共にいられない時間が文字通り“死ぬほど辛い”のかもしれません。状況の改善が望まれます。
日常における物事との関連:病気や持病の発覚、取り返しのつかない状況と気づくような出来事、様々な要因が重なって訪れる終わり/倒産や激しい痛みを伴う事業の失敗など
逆位置
逆位置になると、果たしてこの人物は死に切っているのでしょうか。楽に終われていなさそうです。そのまま彼岸に渡れたらまだ良かったものの、終わりが訪れきっていないために苦しむことになりそうです。逆位置になれば剣が全て抜け落ちて再起を図れる、と見る占い師もいますが、果たしてこの状態で剣が抜けたとして、これだけ多くの刺突痕がある状態で助かるでしょうか。むしろ栓の役割をしていた剣が抜けてしまうことによって、失血死が確定している気がします。宙に浮いたこの人物が向かう先はどこでしょうか。まともに埋葬もされずに猛禽に貪られるのではないでしょうか。あまりに痛ましい最期です。唯一の救いは、逆さになったこのカードでは青い山並みや黄金の夜明けが強く見えるところです。周囲の状況は刻一刻と変わっていきそうです。ただ死体ばかりが変化に取り残され、無残にも分解されそうですが……。
「剣/ソード」の物語は、「剣/ソードの7」以降、全て1人の人物ばかりを描いたものになります。それまでは誰かが絵の中にいることが多かったのですが、風も滞留すれば腐ってしまうように、誰かが新しく向かう先や方向を示してくれない限りは知性も“腐る”ことを示しているようです。知性を振るえるようになったからと言って、誰かの忠告を無視したり、批判を受け入れない姿勢を貫いているとこのように自分の過去に殺されてしまう。自分の過去の行いが災いをしてしまうことを、このスートは示しているのでしょう。教訓に満ち溢れたスートです。
★大まかな意味:「正位置」と同様だが、終わりを受け入れられていない分事態が長引く可能性があり、深刻。そこから建て直せるケースが時折あるかもしれないですが、非常に難しいでしょう。
★人間関係/恋愛上の意味:「大まかな意味」と同様に捉えましょう。
日常における物事との関連:「正位置」とほぼ同様ですが、「正位置」に比べてやや回復の兆しがあるくらいでしょうか。
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