20年あたためてきた不思議なお話し。「星に願いを」⑤
つづきです⭐️
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流れ星は どんな風にして
作られているのでしょう。
案内してくれた声の高い星は
得意気に紹介を始めてくれました。
「まず、ここね!今夜の流れ星担当の星は
準備について!」
そう言うと
沢山の星の中から1つの星が慌てて出てきました。
「今夜は僕が担当の流れ星だよ」
そう言うと
板の上に立って腰にゴムのベルトを巻きました。
一体、どういうことなんでしょう。
声の高い星が説明をしてくれました。
「私たちには順番が決めてあって、毎晩1つから
2つの流れ星がこうして担当につくわけ。
担当の流れ星は腰にゴムベルトを巻いて
私たちが、そのゴムを引いて飛ばしているのよ。
だけど、時期によっては1つではなく
私たち皆んなで一斉に飛ぶ日もあるの。
その時は少し大変だけど。
ここでゴムを引いて飛ばした星は空をぐるっと
回って、明日の朝になる前にここに戻ってくる。
飛んでる間に見かけた人たちは、
その星に向かって願い事を口にするから
担当の星は、その願い事を沢山抱えて
戻ってくるのよ。そのあとは、ひとつずつ
それを叶える作業もついてくる。」
女の子は何だか楽しくなってきました。
自分たちが夜空を見上げて
流れ星を見つけたら願い事を口にするのは
この星たちに言っていたんだと思うと
嬉しくなってきたのです。
担当の星は、その願い事を
ひとつ残らず持ち帰るのが仕事だとすると
これは大変なお仕事だなぁと思いました。
そう思っていると、
今度は別のところに案内されました。
壁に1本の線のようなものが引かれています。
なんだろうと思って見ていると
声の高い星が言いました。
「誰かテストに入って!」
するとまた沢山の星の中から1つの星が
前に出てきました。
そしてスタートのような位置につくと
笛の合図と共に
その線の上を走りました。
また笛が鳴ると
走った星は得意気な顔で戻ってきました。
声の高い星は
ストップウォッチのようなものを見て
言いました。
「ここでは速度を測っているのよ。
あなた少し速すぎるわ。やり直しね!」
そう言って先ほどテストした星に
注意しました。
女の子が何の事だろうと思っていると
声の高い星は
「流れ星が速すぎると、願い事を言う人が
困るでしょう?それに目にも映らなければ
飛ぶ意味がないじゃない?
遅すぎるのもダメだけど・・・
微妙なところなのよ。とっても難しい。
だけど、ここは本当に大切な部分で
手は抜けないの」
なるほど・・・と女の子は思いました。
みんなこんなに練習して飛んでくれてるなんて
誰も想像できません。
女の子は今度、流れ星を見たら
願い事ではなく
ありがとうと伝えようと決めました。
そして、次に案内された場所には
色とりどりのリボンが並んでいます。
今夜担当の流れ星が、その沢山のリボンを
選んでいました。
何かなと思っていると
声の高い星が言いました。
「どうせ飛ぶなら素敵に飛びたいじゃない?
みんな、自分の好きな色を選んで
流れ星が流れた後に残る光の線の色を
ここで決めるのよ」
なんて素敵なことでしょう。
薄い紫にピンク、黄色、グリーンもあります。
夜空にあっという間に消えてなくなる
流れ星
その星が残してくれるわずかな光
それぞれに自分を現す色を決めて
飛んでいるなんて。
遠い遠い空のこと
何も知らなかったけど
こんな風に小さな星たちが働いて
遠い遠い地球に暮らす私たちの
願い事を叶えてくれてるなんて
女の子は胸がいっぱいになりました。
ひと通り、工場内の案内が終わると
広場に集まって
星たちが言いました。
「流れ星は毎晩の仕事。だけど、
たまに君のように、ここに来る子がいて
その子の願い事は最も早く取りかからないと
いけない仕事なんだ。
だから、さぁ、願い事を言って。」
星たちが女の子を覗き込みました。
でも女の子は願い事を考えていなかったのです。
「私、何も考えてこなかった」
女の子がそう言うと
星たちは顔を見合わせて
少し黙ったかと思うと
いっせいに笑い始めました。
「こんなおかしな事は初めてだ!」
そう言って笑います。
願い事はないの?
心配して聞いてくれる星もいます。
女の子が困っていると
星たちが言いました。
「君はもしかして、願い事は叶わないと
思い込んでしまっているんじゃない?」
女の子は、自分の中にある答えが見つかって
いませんでしたが、それが本当の気持ちのように
感じたので、頷きました。
星たちは困った顔をして、また笑いました。
みんなそうなんだ。叶うはずなんてないって
言うんだ。だけど流れ星を見たら
お願い事はするんだよ。
おかしいと思わない?
そう言ってまた笑います。
女の子は少し恥ずかしい気持ちになりましたが
気がつくと星たちと一緒に笑っていました。
あ・・・そうだ。
その時、女の子は1つ思い出したことが
ありました。
わたし・・・
そう言いかけると
星たちは急に静かになり、女の子の声に
集中し始めました。
「願いが生まれるぞ」どの星か
そう言いました。
女の子は言葉を少しずつ大切に口にしました。
わたし、
こんな風に皆んなと笑いたいと思った。
朝の公園にいるとき
沢山の子どもたちが学校へ通うのを見て
皆んなが楽しそうに話してるのを見て
わたし
あんな風に楽しくお友達と話ができたら
どんなに素敵だろうと思ったことが
何度もあった。
そう言いました。
星たちは良かった!!と安心した表情になって
「分かった!!じゃあ今夜は
君にお友達が出来る願いを叶えよう!!」
そう言いました。
女の子は驚きました。
そして同時に、
それが叶ったら、きっと凄く嬉しいだろうけど
そんな事は叶うはずがない。
だって・・・
そう考えると
今度は急に元気をなくしてしまいました。
その様子に気づいた星たちは
こう言いました。
とても信じられないかもしれないけど
僕たちを信じて欲しい。
女の子は、そうだ!と思いました。
だって、あんなに一生懸命に皆んなの願いを
叶えるために毎晩、空を飛んでくれてる
この星たちを信じないなんて
そう思うと今度は内側から信じる力が
芽生えてきたことを強く感じたのです。
星たちはその様子を見て安心しました。
そして、最後にこう言いました。
「おばぁさんから紙のコースターを
もらったでしょう?」
うん。
女の子がこたえると
「あのおばぁさんは、ここの工場長なんだよ。
色んな人に変身して、色んな人の願いを
叶えるために地球に出かけているんだ。
会えてラッキーだったね。
だけど、君だけじゃなく本当はみんな
おばぁさんに会っているんだよ。」
そう言いました。
あのおばぁさんが工場長!?
なんだかまた不思議です。
だけど、それが何となく本当だと思えたのは
あの おばぁさんは
ここにいる星たちと同じように
「大丈夫」って教えてくれたから。
星たちは言いました。
ここに来れるのは、今日から3日間だよ。
3つのお願い事が出来るんだ。
今日は1つ言えたから
あと2つだよ。
明日の夜も待っているから
ちゃんとお願い事を考えておいてね。
こんな事は叶うはずかないとか
思うような事でも大丈夫。
きっと明日、君はそれを信じることが
出来るよ。
おやすみ
そう言うとスゥ〜っと星たちが
濃紺の空へと消えていくのが見えました。
朝、目を覚ますと
変わらない日常がありました。
パンをひと切れ渡されると
さっさと行ってきな!と厳しい言葉で
女の子は家の外へと追い出されました。
昨日のことは
夢だったのかなぁ。
ぼんやりと空を眺めながら
ポケットには
おばぁさんからもらった紙のコースターを
大切に持って出かけました。
・・・・・・・・・・・・・
つづきは また明日です😊
いつも読んでくださって
ありがとうございます。