20年あたためてきた不思議なお話し。「星に願いを」⑥
つづきです⭐️
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いつもと変わらない朝。
いつもと変わらない景色。
本当に夢は叶うんだろうか。
そんな事よりも、やっぱり少しでも
お金をもらえるように
あの言葉を使わなくては
いけないんじゃないかな。
今夜も何も手に持たずに帰ったら
それはそれは酷く怒られるにちがいない。
時間が経つにつれて
女の子の心は不安でいっぱいになってきました。
昨日の夜の出来事は
夢の中で見たこと。
ただの夢。
そんなふうに思えてきていたのです。
ポケットの中に手をいれると
おばぁさんからもらった
コースターが手に触れましたが
握ることが出来ずにいました。
そして、女の子は
開いているカフェの中へと
いつものように入っていきました。
どうしょう。
どうしょう。
ウロウロと歩きながら
自分はどうすればいいのか悩みました。
ため息をついて
肩を落とした
その時
女の子の直ぐ側の席から
「お誕生日おめでとう!!」という
お祝いの声が聞こえてきました。
見ると
同じくらいの年の男の子が
お父さんとお母さんから
誕生日のお祝いをしてもらっています。
嬉しそうにはしゃぐ男の子。
テーブルが揺れているのに
お父さんとお母さんは怒らない。
楽しそうに笑って
目の前には可愛いケーキが置いてあります。
女の子が、じっと見ていると
男の子のお母さんと目が合いました。
慌てて目をそらした時
そのお母さんが
「こんにちは!お嬢ちゃん!」と
明るく声をかけてきました。
女の子はかたまってしまいました。
挨拶をしようと思っても
口が動きません。
すると、お母さんが近寄ってきて
顔を覗き込みました。
「お嬢ちゃん、ひとり?」
お母さんは聞いてきます。
女の子は思い切って
首を縦に振りました。
すると、そのお母さんは笑顔になって
「ねぇ、お願いがあるの。
今日ね、私たちの坊やのお誕生日なんだけど
ここに引っ越してきたばかりで
彼には一緒にお誕生日を祝ってくれる
お友達がまだいないのよ。
とても寂しい想いをしてるから
ほんの少しの間だけ、私たちに付き合って
くれないかしら?」
女の子は驚きました。
目を丸くしていると
お母さんが手をとって席へ座らせてくれました。
目の前には女の子の分のケーキと
そしてジュースが直ぐに運ばれてきました。
女の子は心臓が破裂してしまうのではないかと
思うぐらい緊張していました。
すると、男の子が
「はじめまして。」と
照れくさそうに挨拶をしてくれたので
女の子も頑張って
「はじめまして」と言いました。
男の子のお父さんも優しそうに笑っています。
楽しい会話が弾む中
女の子は驚きながら時を過ごしました。
帰りには、お母さんがクッキーの包みを
渡してくれました。
「今日は本当にありがとう!これから
どうぞよろしくね。」そう言いました。
男の子が手を出してきました。
握手の手です。
ドキドキしながら、その手を握ると
「僕のお誕生日にお友達になってくれて
ありがとう!今度は一緒に外で遊ぼうね!」
と言いました。
女の子は嬉しくて嬉しくて
男の子の目を見て
「うん!」と答えると笑顔が止みませんでした。
お別れしたあとは
ずっとずっと胸がドキドキしていました。
どうしょう。
どうしょう。
わたし、本当にお友達が出来ちゃった。
そう言って
空を見上げました。
お星さま、ありがとう。
わたし、もうこれで十分に幸せです。
本当に本当にありがとう!!
その夜のこと
女の子が眠りについていると
また窓を叩く音がしました。
お星さまが迎えにきてくれたのです。
女の子はもう慣れていました。
それより何より
今日起きた奇跡のような
夢のような出来事を伝えたくて
仕方ありませんでした。
ベッドから飛び降りて
また広い広い星の世界へと
飛び出していきました。
さぁ工場につくと
もう皆んなが今日の
出来事を知っているようで
嬉しい顔で女の子を迎えてくれました。
おめでとう!
おめでとう!
沢山の声が響きます。
女の子は嬉しくて嬉しくて
本当にありがとう!!わたし、
こんなことが起きるなんて
思ってもいなかった。
本当にありがとう!!と
お礼を言いました。
満たされた気持ちで広場にいると
星たちが言いました。
ちゃんと考えてきた?
2つ目の願い事。と聞いてきました。
女の子は慌てました。
そんな事、考えられないぐらい
今日の出来事が嬉しかったのです。
もう、どう転んでも
新しいお願いごとなんて
浮かびようがありません。
すると星たちが
「あるよ!」と言います。
本当に叶えたい願い事は
見つけにくいんだ。
だけどそれはある。
しばらくして
女の子は、ひとつ心当たりを見つけました。
もしかしたら
これが本当の願いかもしれない。
そう思える願いがひとつだけ
あったのです。
・・・・・・・・・・・・・・
⭐️明日につづく。
いつも読んでくださって
ありがとうございます!!