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享楽のありかと美のカタチ
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西洋芸術の流れにその時代の人間の享楽を思い知る。そこがたまらなく魅力的で興味は尽きません。
それは時代を超えて、人間の享楽のありかを解き明かすものですから。
上の画像は先日のレッスンで生徒さんが制作されたもの。
これぞ基本のラウンドスタイル!どこから見ても全方向が正面となる360度展開。
この方は調和と均等、安定性に美を見出すルネサンス派と言えるでしょう。ミケランジェロの丸いドームが美しいサン・ピエトロ大聖堂の世界観。
私も修行時代はルネサンスを目指して、丸や正三角形、二等辺三角形、菱形などを修得しました。
が、どうやら人間がひん曲がっているせいか、流れ流れてバロックに辿り着いてしまったらしい。
ルネサンスが丸ならバロックは楕円。
ポルトガル語の”barroco”が語源だそう。バロック真珠はまん丸ではなくゆがんだ形をしていますよね。
ルイ14世が築いたベルサイユ宮殿はバロックを代表する建造物。
どうせこの世は歪んどる。ならば盛大に美しくカブいてやる!
って勢いが「グロテスク」と評されるようにもなりました。
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そうそう、たまにゴシック系の方もいらっしゃいます。
ゲルマンの森を思わせる世界。その怪奇趣味的な美を表現される方々です。困るのは、時にガウディのサグラダ・ファミリアのように未完状態が続くことでしょうか(笑)!
美とはそれぞれの享楽のカタチだと思うようになりました。それぞれが、どんな享楽を抱いて生きているのかが作品に現れる。
空気を読む日本文化には、享楽を余白に押しとどめてしまう傾向にあります。
その分かり難さが言語表現にも現れています。
基本的に、フランス語は言葉を省略できない、曖昧な言い方ができない言語です。
そういう民族だから、個人の享楽も押しとどめず多くの芸術文化を開花させたのかもしれない。