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習慣と連鎖
ちはるさんと暮らしていて、とても驚いたことがありました。
それは、私が何かすると、事細かにちはるさんが「ありがとう」と言ってくださることです。
たとえばちょっと物を片付けただとか、タオルをとっただとか、
大したことをしていなくても、ちょっとしたことでも、
なんでも「ありがとう」と言ってくれました。
しかもそれがわざとらしい感じがなく、ごく自然だったのです。
あまりそういう機会がなかったので、純粋に驚くとともに、
いつもちはるさんが人に感謝をきちんと伝えている証拠だと思いました。
お恥ずかしながら、私は感謝を伝えるのがあまり得意ではありませんでした。
なんとなく、いちいち「ありがとう」と言うとわざとらしい気がしていたのです。
そう思って、わざと感謝を伝えないということもよくありました。
ですが、自分が言われてみるととても心地よかったのです。
どんなことにでも気軽に言っても良いものなのだと、このときに思えました。
そうしてちはるさんと生活していくうちに、
私も自然に、ちはるさんに感謝を伝えるようになっていきました。
コウちゃんに対しても、例えばお菓子を分けてくれると言うとき、
言わなくちゃと思わなくても、「ありがとう」と言えるようになっていたのです。
皆さんにとっては当たり前のことなのかもしれないのですが、
それが得意ではなかった私にとっては大きな成長になりました。
そして1ヶ月も暮らしていると、それが身に付き、習慣となっていたのです。
その習慣が、実家に帰ってから活かされることになりました。
小さなことに自然に感謝を伝えられるようになったため、
親にも恥ずかしいと思うことなく「ありがとう」を言えるようになっていました。
そうすると、両親も私に対して「ありがとう」を伝えてくれるようになったのです。
これによって、感謝は連鎖するものなのだと気づくことが出来ました。
自分が言われると言われた人にも言う。
それが習慣づけば自分から言えるようになる。
自分から言えるようになれば、言った相手から言われるようになる。
そのような連鎖が起こるのを体験して、とても素敵だと思いました。