【コード分析】緑黄色社会『花になって』〜インパクトの秘密に迫る〜
TVアニメ「薬屋のひとりごと」の1期OPテーマの『花になって』のアナリーゼをして、耳に残るようなインパクトのあるこの曲の秘密に迫ります!
私が初めてこの曲を聴いた時、ひとことで言うと「インパクト!!」です。
影や毒っぽさもありながら、アップテンポでキャッチーなメロディーが耳に残り、何度も聴きたくなりました!
そして、ところどころ光が差してくるポイントがあり、励まされるような感じもしました。
不思議です…
この曲は「日陰に咲く花」をテーマに制作されたようです。
歌詞もそうですが、曲の基盤となるコードからもその要素が見つかります。
どんな秘密が隠されているのか、一緒に考察していきましょう!!
YouTubeに演奏動画も載せていますので、合わせてご覧ください!
Aメロ
この曲全体のキーはB♭mです。
マイナーキーなので明暗でいうと暗ですが、個人的にはその中にも力強さを持っているように感じます。
これを基本としながら、Bメロ、サビ、そして2番でもさまざまに展開されていきます。
Bメロ
Bメロ最大の特徴としては「Bメロの途中から転調する」ということです。
転調前と後の2つの部分に分けて分析をしていきます。
★前半★(甘い苦いに〜)
Ⅳ(Key=B♭mのときはE♭m)から始まるので、サブドミナントの特徴から開けているような印象に聴こえます。
ここから音が一つずつ下行していきます。私見ですが、「甘い苦いにハマんない その判断がくだんない 気に病んで」と言う歌詞の意味から、「自分の悪いところばかり見えて悲観的になっている」ということを音の下行で表現しているのではないかと思います。
そして面白いのが、その後の「下を向かないで」という歌詞のところがメジャーコードになっています。さらに、本来主音のB♭mで終止するはずが、B♭で終止していて、悲観的になっている気持ちを励ましているように捉えられます。
※本来マイナーコードで終わるところが、同主調のメジャーコードで終止することをピカルディの三度と言い、明るさがより際立つような効果があります。ピカ!っと光る感じで印象に残ります。
★後半★(愛に慣れちゃいない〜)
ここからはGmに転調します。
「愛に慣れちゃいない」の始まりのEm7-5はルート音を省略すると、Gmのと同じ音になるので、Gmの代理コードとも言えます。
Bメロ前半最後の音がB♭なので、Gmはその平行調と見るとかなりスムーズな転調なのかなと思います。
また、サビ前には「綺麗にされた花瓶も 肥やしも何もいらない」の部分ではAm7-5が続いているのも印象に残る特徴ですね。
Am7-5はルート音を省略するとCmになります。CmはGmキーの中ではⅣ(サブドミナント)なので、不安定な状態ではありますが、サビに向けての高揚感や、何かはじまりそうなワクワク感もあります。
「その姿が美しい」がドミナントの音なので緊張からの、サビで開放という流れです。
サブドミナント長く続いていて、まだかまだかと焦らされていた分、ドミナント(緊張)→サビの流れはとても気持ちよく感じますね。
もっと言うと、この焦らしは「愛に慣れちゃいない〜」の転調部分から始まっています。
普通、Ⅰ→Ⅱ→Ⅴと来たら、最後Ⅰに終止するのが普通ですが、終止することなくクリシェでつないで、Am7-5の先ほどの流れになります。
このずーっと終わらない感じがより聴きてを引き込む理由なのかな…
サビ
ここでもピカルディの三度の効果が出ています。
「ニヒルに笑って」のところはGmですが、「目が離せない」はピカルディの三度になっています。
ニヒルとは虚無的なという意味がありますが、そんな笑顔にも目が離せなくなり、惹かれているというところにスポットライトを当てているように捉えられます。
また、サビ最後の「笑って」ではコードが半音ずつ上がっていることから、主人公を励ましているように捉えられます。しかし、クリシェではなくコードをそのままずらしているところから、どこかぎこちないような、不思議な?不気味な?無理矢理な?笑いになっているのかなとも感じられるのかなと思いました。
2番「ねえ会いたい〜」
2番に入った瞬間「!?」なりました。
何が起こったんだ!?と一瞬脳が追いつかなかったです(笑)
歌詞からも、より「あなたに会いたい!!」という気持ちの強さが1番よりも増していることが読み取れます。
キーとしては曲冒頭と同じくB♭mに戻ります。
会いたい気持ちをメロディックに歌うよりも、音を短く、瞬間的に?発音することで、「歌う」よりも「言う」「つぶやく」というような表現になっていて、聴き手の感情に訴えかけているかのように感じます。
2番「病のように〜」
またここから新たに展開がありますね。
展開が多いです!!
ここのバックになっている様々な楽器の音色や音階が特徴的で私は好きです。
ここもピカルディの三度だらけで、多用することによって、ピカ!というよりも、ギラギラ感が出ているように私は感じます。(裏でシンバルなど金物系が鳴っているせいかもしれませんが…)
そして、最後のdimコードからの終止も良いですよね。
このE♭dimはFm7♭9の構成音とほとんど同じことから、同じドミナントの役割になっています。
そして最後もピカルディの三度で、そこから平行調で…というように、1番と同じように展開していきます。
まとめ
ピット曲の裏側には様々な工夫が隠されていました。
コードを分析していくと、ただ聴いただけではわからない作り手の想いに想いに気付くことができます!!
緑黄色社会最高です!!
また他の曲のアナリーゼにもチャレンジします。
🐸タマキ🐸