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音楽だけで生きていく!~フルート奏者 藤原雪氏インタビュー(第1回)

インタビュー連載お二人目のゲストはフルート奏者の藤原雪さん。ステージ上では圧倒的なオーラを放ち、鼓笛隊では凛とした姿を見せ、プライベートでは時にふんわりと時にキュートで親しみやすい。いろいろな貌を持つ“フルーティスト藤原雪”がどのように創られてきたのか、じっくり伺いました。(全4回)


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藤原 雪(ふじわら ゆき)
フルーティスト/篠笛吹き。山形県上山(かみのやま)市出身。幼少の頃からフルートに親しむ。小学校4年で上山市指定無形文化財上山藩鼓笛楽保存会に入隊。篠笛を担当し現在も隊員として活動中。中学高校時代は吹奏楽部で活動。高校卒業時、一旦は音楽家の夢を断念し、短大栄養科に進学。卒業後、栄養士として勤務するが、震災をきっかけに再度音楽家を志す。2014年ネパールの学校で音楽教師の職に就く。帰国後、フルート・篠笛奏者として活躍中。


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音楽のことだけ考えていれば楽しかった

--- 雪さん、こんにちは。雨の中お越しいただきありがとうございます。

こんにちは。こちらはとても素敵な本屋さんですね。音楽と本が好きなので神保町が大好きでよく来ますが、こんなお店があるとは知りませんでした。

--- 東京での想い出の場所も神保町とのことでしたね。山形県上山市のご出身ですが、上山市にはいつ頃までいらしたのですか?

2011年の震災の時に「東京へ行こう」と決めて、翌年東京へ来ましたので、上山にいたのは2012年までですね。実は東京に来るまでは暗黒時代だったんですよ。

--- そうなんですね。今もずっと上山市の鼓笛隊の活動を続けておられるので、上山時代は楽しい時代だったのかと思っていました。この鼓笛隊に入られたきっかけは何だったのですか?

小学校4年の時に学校のクラブ活動として始めました。上山市の無形文化財である鼓笛隊の太鼓や篠笛を教えてくれる和太鼓藩楽(はんがく)クラブというのがあって、そこに入りました。


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上山市指定無形文化財の鼓笛隊。毎年行われている上山秋祭りの起源は377年前の徳川綱吉公の生誕祝いの秋祭りに遡る(写真は藤原雪さん提供)

--- 鼓笛隊の舞台というか、聴衆の前で演奏するのは主にどういう時なのですか?

上山市の月岡神社のお祭りでは必ず演奏します。その他は上山市の催しだけでなく、他の県、大阪城などでも演奏しました。そういえば、ニューヨークで演奏する予定だったのが、9.11 にぶつかって中止になったこともありました。

--- ずいぶん色々なところで演奏されるのですね。練習や活動は楽しかったですか?

山の中に育っているので他に何も娯楽がなくて練習はよくしていました(笑) 実は、その当時、友達と一緒に行動するのが苦手だったんです。すぐ喧嘩するし。でも、鼓笛隊には「演奏している間は音楽のこと以外は考えない」という決まりがあって、篠笛を吹いてみんなと合わせている時は余分なことを考えずに集中できて楽しかったです。


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絵本は大好きだけど、その中でも宮澤賢治が好き(神保町ブックハウスカフェにて)

お前にフルートは無理!

--- フルートを始められたのはいつ頃ですか? 小学校で篠笛を始めて、中学でブラバンに入ってフルートという流れですか?

中学でブラバンに入ってフルートを吹いてはいましたが、始めたのはもっと前、いつ頃かなぁ?6歳上の姉がフルートをやっていて、家に楽器があるから物心ついた時には触っていました。いとこもフルート奏者で音楽教師をしていたので、楽器も音も身近にあったんですよね。

--- 高校でもブラバンで活躍しておられたとのことですが、卒業後、音大には進まれなかったのですね?

そうです。進学希望は音大でしたが、母が栄養士で私にも栄養士になって欲しい、安定しているからと言われました。よくある話ですが(笑)

--- よくある話ですね(笑)  それで諦めたのですか?

そうすぐには諦められませんから、顧問の先生に相談しました。そうしたら、先生に「フルートでやっていくのはお前には無理だ」と言われてしまいました。

--- ええ⁈

今思えば、先生は「それでもやりたい」と言うのを待っていたのだと思います。でも、その時は言葉通りに受け取ってしまいました。

---- なるほど。

その頃、山形県内から選抜メンバーを集めてコンクールの曲を演奏するという企画がありました。それに選ばれましたし、小学校から中学、高校と指揮者をしていましたから、みんなを引っ張るためには誰よりもうまくなければと思って必死で練習もしてきましたし…。

自信があってもよかった筈なのに、「お前にフルートは無理」と言われた時に「フルート辞めよう」と思ってしまったんです。挫折ですよ、挫折。

ほんっとに悲し過ぎて、、、フルートを辞めなければならないことが。それでも大会までは必死で練習して、高校三年の夏の大会で山形県で銀賞に入賞しました。

---- 吹奏楽の県大会で銀賞は凄いですね。

銀賞に入賞できて嬉しいと同時に「もうこれで終わり」と思ったら辛くて堪りませんでした。絶望ですよ、絶望。

でもやっぱり、親の期待に応えたい、喜ばせたいという気持ちもあって、大会の後、凄い勉強を始めて無事に福島の短大の栄養科に入学しました。

第2回はこちら

関連リンク:
藤原 雪 https://www.facebook.com/yukiflutist/


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