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普通の人が普通に楽しく暮らせる社会を(第3回)
川口民夫さんのインタビュー第3回です(全4回)
インタビューの場所として連れていってくれたのは浅草の昔ながらの喫茶店。暗めの灯りの下で手振り豊かに語ってくれる民夫さん(2018/8/13 喫茶店待合室にて撮影)
人生を終える時に「あぁ、楽しかった!」と思えるか
--- 人が集まって楽しむことを通じて「楽しく暮らす人を増やす」が民夫さんが代表を務める合同会社ハハハのコンセプトですね。ここに専念するということは、ちょっと大げさに言うと、楽しく暮らす人を増やすことに人生を賭けると決意したことになりますが、その決意の源を聞かせてください。
それはねぇ、自分が楽しく暮らせていなかったからです(笑)
--- 楽しくなかったんですか?(笑)
全く楽しくなかったわけじゃありませんけど...
僕の36歳の誕生日ストーリーは話してませんでしたよね?
--- はい、聞いていませんね。
人生72年と考えると、3で割るだけで、人生を24時間とみなした時に今何時なのかがわかるんです。
実は僕、就職活動に失敗しましてね。受かると思った会社がことごとくダメで結局新卒では就職できなかったんです。それまでセルフイメージが高かっただけにかなり凹みました。無職だった時期に志村けんさんの本でこの“人生72年説”を読んだのをどこかでずっと持っていましてね、36歳になった時に「ヤバイ!」と思ったんです。
--- 正午ですね。
はい、正午で折り返しなんですよ。
僕の世代は、就職・結婚・出産・介護などの未来のライフイベントに常にちゃんと備えて生きるというレールが辛うじてまだ機能していました。新卒で就職できなかったとは言え、僕の前半生はレールに従って割と堅実にやってこれていたと思いました。
このまま未来に備えて後半を生きたら、これで人生終わりって時に思うのが、「あぁ、楽しかった」ではなく、「あぁ、よかった。何も起こらなくて」だなと考えたら、「ヤバイ!」と。
サークル活動もやっていましたし、結構楽しく暮らしてはいましたけど、十二分に楽しんでいるとは言えない。その瞬間瞬間が常に楽しいばかりではなかったとしても、晴れマークで終われる日をもっと増やさないと、人生の終わりに「あぁ、楽しかった!」とは思えない。増やさなきゃ!
それで、何をやったら楽しいと思えるか、やりたいことをリストアップしよう、まずはそこからだと思いました。SNSの時代ですからね、仲間に呼びかけて各自がやりたいことをつぶやくことにしました。100人くらい参加してくれて、3,650個リストを作ろうと思い、今1,000個近くになっています。「何々を手に入れたい」「何々を食べてみたい」から「こういう人になりたい」など様々なものがあります。
--- みんなでつぶやく場を作るところが民夫さんらしいですね。100人集まるというところも。
これをやると、ちょっと空き時間ができた時に「そうだ、あれやろう」となるし、誰かがつぶやいているのを見て「俺もそれやりたい」とやりたい仲間が集まったりするんですよ。
瓦割体験処“カワラナ”。現在は土日のみの営業。5枚チャレンジ、10枚チャレンジに加え、最多枚数に挑戦するギネスチャレンジ、願掛け8枚チャレンジなどがある。現在の最多枚数は男性31枚、女性16枚(2018/9/7現在)
思いがけない繋がりが縁を結んで”カワラナ”へ
--- そのツブヤキの一つが瓦割りだったのですね。
そうです。僕がつぶやきました。それでどこかできる場所がないか調べたら、関東で1ヶ所だけ体験できる場所がありました。男友達3人で行ってみたら、めちゃめちゃ楽しかった!
その後、高校時代の同級生に会った時にその話をしたんですよ。そうしたら、僕が行った瓦割り体験を主宰している人が高校の同期生なことがわかりました。僕は高校時代にはその人を知りませんでしたけど、話をした同級生が知っていたんです。「瓦割り体験って、Iくんの所?」「え?知り合いなの?」てな感じで。
その前の2016年8月に合同会社ハハハを興してはいましたが、何をやるかは決めてなかったんですよ。年間7万円の法人税以外にリスクはないんだから始めてしまおうと思って取りあえず会社を作ったので、何でもできるように約款は広くしてありましてね。
この同級生と話す前は瓦割りを事業として始めようと明確には考えてなかった。でもその時、やろう!というか、やるな、と思ったんです。俺はこれをやるな、と。
瓦割り体験をやっている同窓生Iくんは屋根屋の跡取りでした。屋根屋の業界を盛り立てるために、自分が持っているコンテンツとして瓦割りを始めたとのことでした。
同級生にIくんを紹介してもらったら、「東京でやるなら応援するよ」と言ってくれて。その後はいろんな人に協力してもらって、2017年4月に今の場所で瓦割り“カワラナ”としてオープンしました。その1年後の2018年4月に地下鉄のCMに取り上げられて、という流れです。
---- 週末のみの営業ですが、平日の今日も人力車の方々が前を通りながら“カワラナ”の紹介をしておられましたよね。
ええ、お願いしたわけではないのに、毎回紹介していただけてありがたいです。
続きはこちら >>> 第4回「関わりを増やしたい」
関連リンク:
・瓦割り”カワラナ” http://kawarana.jp/
・アサクサ読書会 https://www.facebook.com/asksdksk/
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