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普通の人が普通に楽しく暮らせる社会を(第2回)
川口民夫さんインタビューの第2回です。(全4回)
川口さんが主催するアサクサ読書会の様子。毎月2回、日曜日の朝、浅草の喫茶店の2階を借り切って開催される。この日は台風にも関わらず。25名ほどが参加した。(2018/9/2 喫茶店アモールにて撮影)
友達繋がりから、オープンな繋がりへ
--- そして、「生産している感じを得たい」という気持ちがサークルに繋がったのですか?
いえ、その当時は生産という言葉にはなっていなくて、ただ何かしたい。それがサークルだという明確な繋がりも意識してはいませんでした。
サークル的なことはガキの頃からやっていて、例えば、みんなでボーリングをやって優勝した奴にトロフィーを回すとか、小中高とそんな感じでやっていて、大学時代もサークルではないけど、原稿を集めて手書き文集を作ったりはしていました。
--- そういう活動をする時、自然に人が集まってきていたのですか?それとも意識的に集めてこられたのですか?読書会に関しては、新しい人も来てくれるように工夫しておられますよね?
子供の頃は、まず仲間がいて、その仲間で何をやるか、でしたね。大学の時の文集は友達の友達からも原稿を集めていましたけど、繋がりとしては内向き。プレゼンサークルや合唱とかも同じでした。友達の友達の友達の...と広がってはいくけれど、あくまで内向き。オープンではない。
2005年に札幌に転勤になって、「サッポロ読書会」を始めた時に初めてオープンに人を集めました。そこが一つ階段っぽい感じ。2003年からそれまで3年間やっていたプレゼンサークルの最後のプレゼンでそういう話をしましたね。これからはそういうことをやっていくぞ!という感じで。
人を集めてきた理由は、集まって何かをするのが楽しいから
--- 月に1回でも毎月決まった曜日の決まった時間が埋まってしまうのは大変ですよね。その上、主催者は告知から問合せ対応、参加者への連絡、開催報告、開催場所との調整などやることが沢山あります。「アサクサ読書会」は月2回で丸6年続けてこられて凄いなーと思います。それを可能にした、人を集めて何かやりたいというモティベーションはどこから来ているのでしょう?
う~ん、人が集まって何かやるのは楽しい。単純にそれだけですね。
--- 読書会などでサークル的なものを作っておいて、それを他の目的に使う人もいますよね?最近だとビジネスに使うとか。
はいはいはいはい、ありますね~。
--- 読書会を主催していると言うと、将来の集客のための土台を作っているんだろうと思われたり。
ええ、儲かっているんでしょって言われたりしますよ。儲けてねぇよ(笑)
そういう目的で読書会などのサークルを始めるなら、最初から組み込んでおかないといけませんよね。先々こうします、というのがあって、その上で参加するしないを決めてもらうものだと思います。僕はビジネスに使うとか考えていなかったし、今もそういうつもりはありません。
--- 読書会に関しては、民夫さんが「カタカナ読書会」グループを作って新しく読書会を立ち上げる人を支援しておられるのもとても面白いし、素敵なことだと思っています。「スミダ読書会」立ち上げの時も本当にお世話になりました。
筆者が主催する「スミダ読書会」も「カタカナ読書会」グループの一つ。民夫さんにアドバイスをたくさんいただいて2017年1月に開始した(2018/3/12 第3回「スミダ読書会」で紹介された本)
「アサクサ読書会」は“ゆるーい読書会”を標ぼうしていますが、ご存じの通り、「カタカナ読書会」グループもゆるい繋がりです。地名をカタカナ表記した読書会名と正方形のロゴ。共通にしてもらっているのはそれだけです。
読書会の案内に「仲間になりませんか?応援しますよ」と書いている程度で特に積極的に働きかけているわけではないけど、今度始まる「カシワ読書会」で14ヵ所目になります。こうやって紡がれていくものがあるなーとグッときています。
--- 「カタカナ読書会」運営者グループで近況報告をしたり、「場所探しは永遠のテーマだねぇ」と語り合ったりするのが、各主催者が続けていくエネルギー源の一つになっていると思います。
そうですね。読書会で出逢った二人が婚約したというニュースとか、グッときますよね。そういう時、改めて続けてきてよかったと思います 。
同じ方向に向かっていると感じられればそれでいい
--- 民夫さんの人集めで、もう一つ面白いなと思っていることがあります。仲間という言葉をよく使われますけど、仲間と仲間じゃない人の間に決して線引きしないじゃないですか。世の中には、そこをきっちり線引きして、「仲間じゃないからダメ」とか、「仲間なんだからこうしろ」っていう人いますよね。
(爆笑しながら)いますね~
--- そういうのが苦手なので、私は仲間という言葉にちょっとアレルギーがあるんです。
僕は意識的に仲間という言葉を使っています。友達は使わない。友達って言葉は使い方が難しいと思うんです。多感な時期に友達の定義を考えたりするじゃないですか。大人になってからもちょっと会ったことがあるだけで友達って言う人もいれば、いやいやいやいやサシ飲みできるくらいじゃなきゃ友達じゃないって人もいる。だから友達は使わずに、仲間と言ってます。
僕なりの仲間の定義は、同じ方向に向かっている同士、という感じで、そこに濃さを求めない。薄くてもいい。同じ方向に向かっていると感じられればそれでいい。
--- 同じ方向に向かうというと、例えばスポーツで優勝するとか、仕事で成果を挙げるなど、苦楽を共にするイメージが浮かびますが、必ずしもそういうものではないのですね?
はい、何かしらテーマがあればいいんです。例えば、毎月集まって人狼ゲームをやるサークルがあります。とても楽しいです。毎回、人狼ゲームをやり続けるというテーマがあるから。
--- 人狼ゲームを楽しむという同じ方向に向かっている。
そうそう、そうです。
--- “カワラナ”も、瓦割を楽しむという同じ方向に向かっている。
そうです、そうです!
そういった、人が集まって楽しめる軸になるものを増やしていきたいんですよね。
続きはこちら >>> 第3回「楽しく暮らす人を増やす」
関連リンク:
・瓦割り”カワラナ” http://kawarana.jp/
・アサクサ読書会 https://www.facebook.com/asksdksk/
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