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未来を踊る

寝ると悪夢を見る時がある。どうせ見るなら良い夢を見たいのに、脳は何故か意地悪を仕掛けてくる。だが脳の意地悪は可愛いものだ。夢から覚めてしまえば、悪夢は終わるからだ。

最もタチが悪いのは起きている時に見る悪夢だ。何が嫌かって起きている時に見る悪夢はいつ終わるのかが分からないことだ。三時間後に終わるかもしれないし、三年後まで終わらないかもしれない。

こういう不確定な未来に人間はとても弱い。

だから起きていて悪夢を見てしまったら、死ぬことを選んでしまう人がいる。

死ぬ選択をすれば少なくとも、いつ終わるかは自分の意志で決められる。

けれども、多くの場合、死ぬ、だなんて人生最大の決断をすることなんてできない。

だからただただ悪夢が終わることを願って(否、嘆いて)日々を過ごしていくしか無い。

こんな時って大抵は頭がどうしようもなく重たく感じて、少しでも楽になろうとして、俯いてしまう。

俯いてしまうと見える世界が狭まってしまう。

負の輪の中に閉じ込められてそこで永遠に踊らされてしまう。

なんてこった、世界。

こんなはずじゃなかったはずだ、世界。

悪夢を見る前の自分はもっと元気で明るかった。

頭もこんなに重たくなかった。

それなのに今、以前のように振る舞うと、ぎこちない。

だから鋭い人には空元気ね、とか、無理しなくていいんだよ、とか言われる。

確かにそうだ。

別に悪夢の中に居たっていい。

ただ頭が重いだけで生きていることには変わりはないのだから。

それなのに前の自分に戻りたい自分もいる。

この矛盾した気持ちがもどかしい。

結局世界に踊らされている。

こんな時に踊る姿は、まあそれは不細工なんだろうな。

まあ、それでいいか。

今を踊ろうか。

さようなら。

おやすみの代わりのさようならを告げた。

夜だ。

夜には星がよく見える。

音がよく聞こえる。

この音はきっと星の源から奏でられているのだろう。

この音に乗って不細工に踊った。

踊ってたら、週末になっていて、いつのまにか悪夢は薄れていた。

木の葉は星に照らされていて、いつのまにか色がついていた。

今は未来で君と踊っている。


今は普段より悲しい気持ちになる日がちょっぴり多い。このちょびっとだけ増えた悲しみを癒やしてくれているのが星野源さんのWeek  Endという曲です。開けない夜はないんだよ、と優しく伝えてくれている気がしています。音楽って良いですね。その時の自分の気持ちに寄り添ってくれます。

来月にはどんな曲を聴きたくなっているんだろう。

それを知るまで不細工に踊っておこう。


終わり

ここまで読んでいただきありがとうございます。