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フランス近代派奏法、奥の手は半クラッチ?

今回は、フランス近代の作品を演奏するための大事なポイントを考えてみたいと思います。

古典派作品とロマン派作品の奏法の違いは大きくありましたが、フランス近代派作品もそれまでの演奏方法とは異なる要求を奏者にしています。

近代派以前の作品では基本的に、ペダルは同一和音を構成する音の範囲で、より響きを豊かにしたい場合などに使われてきました。そのため、違う和音とは濁らないようにその都度ペダルを踏み換えます。一方で、フランス近代の作品の作曲技法に使われた7度、9度、11度などの和音は不協和音の複雑な倍音のために、それまでのペダリングだと同一和音の中でも濁ってしまいます。その結果、より高度で繊細なペダリングテクニックが望まれることとなりました。 

近代作品の特筆すべき個性は「不協和音の美しさ」ですね。

本来、不協和音は倍音の絡みで"ハモらない状態"とされていますが、フランス近代の作品は、この不協和音をとても効果的にあえて使用し、美的で絵画の色調を想起させる、まばゆいばかりの音の世界です。

では、不協和音を濁らず魅力的に響かせるにはどうしたらいいでしょうか?

それには、ハーフペダルクォーターペダルを使います。

ペダルを全く踏まない状態を「0」として、これ以上踏み込めない下までしっかりと踏み込んだ状態を「10」とすると、ハーフペダル「5」踏んだ状態です。クォーター「2~3」です。

これを曲中で自在に使えたら、そして以前お話した「コンマ何秒打鍵の後にずらして踏む技」とあわせて両方出来るようになると、不協和音のノイズは、むしろおしゃれでたまりません!(ポピュラーやジャズなどは、この時代の作曲技法7度、9度、11度、13度などをベースに創られています)

もう一つの”秘伝のタレ”は「空間で響きを混ぜ合わせる感覚」でしょうか、部屋に響いている残響に新しく響かせたものを乗せるような・・・これ是非やってみてください。この感覚をプロフェッショナルに磨いたものが、「コンサートホールでどうやって響かせるか」という技術です。ピアノ演奏の醍醐味ですね。

ハーフペダル、そういえば、車の半クラッチによく似ているかも。

あんな感じかなぁ・・・(笑)?

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