見出し画像

6段階の音量を使いこなす!

今回は、「ピアノの音量が6段階あることを練習に活かす」です。

ピアノのふたを完全に閉め切った状態を「0」として、蝶番(ちょうつがい)部分だけ開けて譜面台は立てていない状態を「1」、譜面台を立てた状態を「2」、譜面台を抜き取った状態を「3」、屋根を一番短い棒で支えて開けている状態を「4」、中サイズの棒で支えて開けている状態を「5」、一番長い棒で支えて完全な全開状態を「6」とします。

では、この音量の差を、日頃の練習には一体どのように活かしたら良いのでしょうか?練習室での「6」の大音量は、奏者自身が一番間近で”音の出過ぎ”を感じるため、必然的に音量を絞りたくなります。逆にふたを完全に閉め切った「0」の状態では、ちっとも響かないピアノに対して奏者はもっと音が欲しいので、かなり頑張って力強くゴリゴリと弾いてしまいます。ちなみにいつもふたを閉め切った「0」の状態にして弾き続けていると、”ゴリゴリと頑張る演奏癖”がついてしまい、ペダリングの練習や、指先を絞る感覚を養うことが出来ません。練習用途に応じての屋根の開閉をお勧めします。

「6」の屋根全開時には「指先の絞り技術」が必要ですが、そのためには、指先が鍵盤に接触する面積を小さくして、硬質に尖らせます。例えば「コンパスの針の先で弾いているようなイメージ」でしょうか。大音量を絞るだけでなく、本来は曲中で絞ったニュアンスの音が欲しいときに、それを実現するためのテクニックです。

「指先の絞りの感覚」を習得するためには、「1」「2」「3」「4」「5」「6」と段階的な音量の違いを体感し、まず、こんなに違うんだという感覚を身に付けるところからだと思います。屋根を段階的に開けながら、音量に沿った絞りが連動して出来るようになるといいですね。ただし、気をつけないといけないことは、指先の絞りを習得する前から常時屋根を全開にして弾いていると、奏者は大音量を前に、絞るのでは無くフワフワに正体無く弾く癖がついてしまうので、要注意です。(ちなみに、コンサートステージでは屋根を全開にしてありますが、大音量の圧迫感がありません。コンサートホールのステージ上ではピアノの右側に大きく客席スペースがありますし、何よりもコンサートホールは一般住宅とは規模が違うためです。音は放物線を描いて客席へ飛んで行き、音源となるピアノの地点では、まだ響きが立ち上がっていません。この原理をよく体感して、客席へ飛んでいった音を想定しながら弾くのが最終到達点ですね。)

ふたを完全に閉め切った「0」の状態のピアノの弾き方は、気をつけないと頑張る演奏癖がついてしまうとお話ししましたが、例えば、かっちりと譜読みを頭にたたき込みたい時などにはお勧めです。一つ一つ確かめながら堅実に頭によく入れたい時には最適な音量です。

夜になったら、ボソボソ弾きも出来ますしね。(笑)

いいなと思ったら応援しよう!