ピアノは独りオーケストラ
今回は、曲の通し稽古について、お話したいと思います。通し稽古とは曲を弾き始めたら最後まで一度も止まらずに弾ききる練習ですが、これはいよいよ仕上げの局面を迎えた段階ですね。
さて、一度弾き出したら何があっても止まらないメンタルが求められるところですが、通し稽古で一番やっておきたいことは、ミスをする前提で、ミスした瞬間に立て直せる具体的な対策をしておくことです。曲の途中どこからでも弾けるように、ミスをなくすというよりも、現実的にはミスありきで、その影響を最小限にとどめる技を磨くといった感じです。ミスのダメージをどう少なくするか、そこに腕をふるうのも”実践的な現場の技術?”だと筆者は痛感しています(笑)
演奏中はミスをものともせず、涼しい顔で歌いたいフレーズだけに精神を集中して(どうしてもこれは伝えたいという熱い思いで!)、粘り強く、構築したい世界を強い心で全うして下さい。パニックにならずに落ち着いて、テンポだけは崩さず粛々とリズムを刻み、冷静に立て直せる切り口を見つけて下さい。
曲の途中でもし立ち往生したとしても、決して腐る気持ちを持たずに、曲の最初に戻るような癖をつけないようにしたいものです。
どこからでも弾けるようになるために、曲の和音進行とバスの流れをたたき込んでおくことは効果的です。音楽はあくまでも下から上へ積み重ねた響きの層ですから、上だけ(ソプラノだけ)その場しのぎに繋いだとしても(わらべうた?みたいになっちゃいますね)、なんとも間が持ちません・・・(笑)
ピアノ音楽は、オーケストラの譜面を独奏している状態です。万が一、抜けても全体の響きのなかでは余り目立たないものと、間違ったらものすごく目立つ音があります。そこに秘策がありそうですね。