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暗譜のコツ

今回は「暗譜へのアプローチ」を考えてみたいと思います。

暗譜は、本来譜読みと同時に出来上がっているのが理想ですが、出来ない場合はそれらを分けてやる事になります。

音譜をひとつひとつ覚えるのはむしろ大変な作業ですので、実際は、皆さんフレーズの塊ごとにインプットされていると思いますが、その際一緒に、和音構成、楽曲アナリーゼ(分析)を考えながら進められると ”音群” が浮き彫りになり分かりやすいですね。重要なポイントである転調に移行する和音構成などはしっかりおさえておきたいところです。

人前でカーッと上がったり緊張しちゃうと、気をつけないとまるで迷宮に迷い込んだかのように本題へ戻れなくなっちゃったりね、危ない危ない(笑)

音楽は ”層の旨み” です。下音部から上に向かって重なるいくつもの音の縦糸が、それぞれのフレーズを横糸として空間に創造する織物です。それら何本ものメロデイを、主旋律同様に理解出来たらベストですね。

そう、これ、決して “覚える”ではなくて、“理解する”です。覚えたものは例外なく忘れますが、いちど理解したものは落ち着いて考えさえすればいい。楽曲のすべてをここまでに落とし込むことが大事だと筆者も日々痛感しています。

暗譜トレーニングとして、バッハ平均律の5声の曲などに挑戦してみるのはいかがでしょうか。全部の複旋律がバラバラに暗譜出来るようになるとベストですね。最初からハードルが高ければインベンション3声からのスタートでもいいと思います。バッハは個別にパーツが理解出来ていないと、もしつっかえでもしたら、タイで伸ばされた複雑な内声を途中で弾き直すのがとても難しいですね。

作曲家の代弁者として熱く作品に近づけたなら、暗譜が暗譜の領域を超えて演奏者としての存在意義を与えてくれる気がします・・・

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