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【DaVinci Resolve】 XDCAM直接出力

 ご挨拶後記念すべき初記事は、もちろんDaVinci Resolve関連。

 19.1のアップデートで、macOS,WindowsでXDCAMドライブへのSony MXF Op1Aを出力をサポートしました。
 SONY PDW-U2,U4などをパソコンにつないでProfessional Disc(要はXDCAM)に直接書き込むことができるようになったよ、ということです。
今までもファイルとして書き出すこと自体はできたのですが、一度書き出したのちに他のソフトウェアを用いて書き込む必要がありました。
 普段は、PDW-HD1500をネットワーク接続でCatalyst Browseから書き込んでいるのであまり気にしていなかったのですが、最近U2の中古もかなり安いですし、小規模に番組を曲納品するならばありかなと思い試してみました。


テスト環境

PC :Apple Mac Pro(2019)
CPU:3.2GHz 16Core Intel Xeon W
RAM:96GB RAM
GPU:AMD Radeon Pro Vega Ⅱ 32GB
OS:macOS Sequoia 15.1
Software:DaVinci Resolve Studio 19.1.1
Drive:SONY PDW-U4

ドライバインストール

 仕事もあらかた落ち着き、OSをSequoiaにクリーンインストールしまして、まっさらな環境でテストを行いました。
 必須のドライバXDCAM Drive SoftwareをSONYのサイトからダウンロードしてインストール。

 Professional Discを挿入するとデスクトップにマウントされます。

マウントするとこうなります

 ディスクの初期化などはDaVinci Resolveからはできませんので、必要に応じてドライバ共にインストールされるXDCAM Drive Utilityで行います。
 初回起動時にはmacOSのセキュリティのフルディスクアクセスの設定が必要になります。詳しくはマニュアルをどうぞ。

 ちなみに以前PDW-U2を使用していたときは、マウント後のアイコンがProfessional Discを模したアイコンになっており、OSデフォルトの外部ストレージアイコンでマウントされた場合は、なにかしらエラーが起こっていて書き込みできなかったのですが、
 SequoiaとU4の組み合わせではアイコンは外部ストレージのアイコンなんですね。なにかエラーが起きてるのかと再起動を繰り返してしまった。。。

愚痴

タイムライン設定などなど

 基本的にXDCAMを使用するのは地上波各局への番組納品が多いかと思います。その場合、1920*1080/60i DF MPEG HD422(50Mbps)一択になるのかなと思います。
 DaVinci Resolveの場合、他の編集ソフトのようにタイムラインのコーデック設定はありません。フレームサイズとフレームレートがあっていれば良いかな。
 自分の場合はほぼテレビドラマを扱いますので、60iでは制作せず、30pで制作し書き出し時に60iに変換することが多いです。

テスト時のタイムライン設定

 タイムラインの開始タイムコードは、各テレビ局の指定に従ってください。
最近は1Hか10Hスタートが多いのかな。(例えば0:59:30;00スタートでカラーバーと1KHzのトーンが15秒、クレジット12秒、スタートフレーム3秒、番組本編が1:00:00;00スタート)
 MEDIAページかEDITページでタイムラインのアイコンを右クリックして現れるメニューから「タイムライン」「開始タイムコードを設定」から適切なタイムコードを設定してください。

メディアプールのタイムラインを右クリック
適切なタイムコードを入力

 あとは、普通に編集します。

音声設定

 若干ややこしいのは音声トラックの設定でしょうか。
 XDCAMは規格上1トラックから8トラックまで自由に使うことができるのですが、テレビ局納品の場合、基本的には8トラックを全て記録することが求められます。(局によっては違います)
 ステレオが1系統の場合はひとまず何も考えずに編集していて問題ありません。
MAを別に行って、WAVなどで音声が提供されている場合はそのまま一本ステレオ音声を置いておけばOK。

 ステム(ダイアローグ、SE、ME、Naなどなど)をそれぞれ別トラックに収録する必要がある場合は、別途設定が必要になります。
 この場合は多くはMA後に各ステムが個別のWAVで手元にある状態かと思います。必要な音声ファイルを順番にタイムラインに並べます。

 これ以降の設定は2通りあります。提供された音声ファイルのみでそのまま出力できる場合は、デリバーページで設定するのみで各トラック個別に書き出せます。

 音声含め、DaVinci Resolve上で編集している場合や、複数ファイルを1トラックにまとめる場合などは別途設定が必要になります。
 Fairlightページに移動し、Fairlightメニューからバスのフォーマットを選んで、出力を増やします。写真の場合は4ステレオ(8トラック)。

Fairlightメニューからバスのフォーマットを選択
この場合、4ステレオ8トラック

 ミキサーウィンドウで各トラックを必要に応じてバスに割り当てます。

バスを設定

 写真の場合はBus1 同録、Bus2 SE,Bus3 ME,Bus4 Naとなっています。
設定が完了すると再生環境がステレオの場合、Bus1しかスピーカーからは聞こえなくなります。
 モニタリングするバスを選択するか、各バスのメーターが適切に触れていることを確認しておきます。

デリバー設定

 実際の出力になります。
 まずは空き容量が十分なProfessional Discを挿入しマウントしておきます。
(MPEG HD422(50Mbps)の場合、23GBで約43分、二層の50GBで約95分、三層100GBで約190分、60分以上は複数ディスクの場合も)

 デフォルトのプリセットには、XDCAM専用のものがありませんので、Custom Exportで個別に設定していきます。

  • 保存先:マウントしたProfessional DiscのClipフォルダを指定

  • レンダー:単一のクリップ

  • ビデオタブ

    • フォーマット:MXF OP1A

    • 種類:Disc(ファイルにしちゃうと書き込めません)

    • インターレースレンダリングにチェック

  • オーディオタブ

    • チャンネル毎に1トラックレンダーにチェック

    • 出力トラック:ステレオのみの場合はデフォルトのまま、8トラックで8チャンネル分置いてある場合は全てのタイムライントラック、複数トラックの場合は上記で設定したバスがすべて出るように増やします。

  • ファイルタブ

    • ファイル名:局の指示に従ってください

ビデオ設定、種類を必ず「Disc」に
ステレオでそのまま出す場合
8トラック分音声がある場合
タイムライン上でバスを選択して出力する場合

 30pで制作していたタイムラインでも、インターレースレンダリングにチェックを入れておくと自動的に60iとしてProfessional Discに書き込まれます。
また、音声に関しては、タイムラインの存在しないトラックも無音のトラックとして記録してくれます。
 これ結構親切設計で、局納品はステレオでも8トラック記録が必須なことが多いです。他のアプリケーションでは設定しないとステレオ2トラックのみ記録されることが多い記憶。

 以上の設定ができれば、レンダーキューに追加して、レンダーすればProfessional Discへの書き込みが行われます。

 参考までに、27分のTV番組の出力で6分50秒ほどで終わりました。マシンやU2か、U4かなど環境によって変わりますので参考までに。

 書き込みが終了したのちは、別途デッキで再生確認する、ファイルをHDDなどにコピーして別途デッキで再生確認するなど適切なQCを。
 今回のテストで書き出したデータをSONY XDCAM/XAVCフォーマットチェックツールにて確認したところ問題ありませんでした。

注意

 出力されたXDCAMのデータ、Professional Discへの書き込みなどなど基本的な動作は全く問題がありません。テレビ局への納品に問題なく使用できると思います。

 ですが、ひとつ大きな問題点があります。
"必ずXDCAMコーデックへのエンコードがかかる"ということです。
 「何を言ってるんだ、XDCAM書いてるんだから当たり前だろう」と思われるかもしれませんが、結構ポイントなんです。

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