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時の流れは、ひとそれぞれ
1年に1度だけ見ることができるストロベリームーンと呼ばれるものがあるらしい。まるで七夕のようだ。
(こういった月があるんだ)
恥ずかしながら、ぼくは初めて知った。
予定の22時過ぎにはちょっとだけ早い。
紅茶でも飲んで待つとしようか。
やかんを火にかけポットを準備する。紅茶のありかがわからない、なんてことはなく、いつもの場所にちゃんとある。
コンロの上のやかんはやがて音を鳴らし、湯気を発する。
「水の沸騰する温度が100度っていうのは奇跡だよな?」
なにかのマンガで出てきたセリフを思い出す。
テレビの横にある木製でなんとなくエスニック調の時計に目をやる。時刻は21時半を指している。どこかの皇帝が意味の無いつぶやきをしている時間だ。
できたての紅茶を”ちょっとだけお金がかかった”ロイヤルコペンハーゲンのティーカップに注ぐ。ぼんやりと少しだけカーテンの開いた窓の外から空を眺める。
幻想的な夜もそうでない夜も、全てのものがやがて土に還るように自然とお日様を連れてくる。
どこにいても同じように時は流れ一週間は過ぎていく。
ゆっくりと感じるのか、せわしなく感じるのかは、ひとそれぞれ。
でも、それがいい。
時計は22時半を指していた。
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