《マーブルわんちゃん》や《お化けギャルソン》で多くの人に親しまれる
たかいよしかず(キャラクターデザイナー、絵本作家)インタビュー
明治マーブルチョコのマスコットキャラクター《マーブルわんちゃん》や『怪談レストラン』シリーズ(童心社)の《お化けギャルソン》などのキャラクターで知られているたかいよしかず氏。キャラクターたちの愛くるしい表情に無邪気な姿は子どもから大人まで多くの人の心を掴み、親しまれている。たかい氏が手掛けるキャラクターに多くの人が魅せられるのはなぜなのだろうか。
たかい氏は幼少期から絵を描くことが好きで、「そのまま現在まで絵の仕事をしている」と語る。子ども時代から自分の描いた絵や漫画を見た人が喜んでくれるのがうれしく、将来も人に喜んでもらえる作品を作ることを志したという。
「パチっとした黒い目と笑顔」に魅力
たかい氏が生み出すキャラクターは出版物に登場したり企業のマスコットとして活躍したりしているが、その魅力はどこから来るのだろう。たかい氏は「自分のキャラクターのパチっとした黒い目と笑顔なのでは」と語る。見た人に喜んでもらえるためにかわいくて楽しそうな作品作りを心掛けており、どんなキャラクターも自然とニコニコした表情で描かれている。そして、くっきりした目をしたキャラクターに愛らしさを感じ作風に取り入れていた。作品を見た人からは「こちらを見つめてくる目に引き寄せられた」と言われた。目はキャラクターのチャームポイントだったのである。
あえてターゲット層を設定しない。キャラクターを作る際は決まって、これが好きな人に届いて喜んでほしいというスタンスだ。「老若男女問わずキャラクターを気に入ってくれた人を、喜ばせられるキャラクターを作っていきたい」という。その理念は作風にも表れ、さまざまな場所で活躍しているキャラクターは表情や動きがコミカルで、見た人は思わず和んでしまう。事実、『怪談レストラン』は男女問わず読まれる人気作品になり、牛丼チェーンすき家の《すっきー》は子連れのファミリー層向けのグッズだけでなく社員教育用のアニメーションに登用され、社内外で多くの人に親しまれている。
キャラクターに愛着はあるが執着はない
キャラクターはコミュニケーションのツールとしても機能する。兵庫県西宮市との企画で、104カ所のスポットで妖怪カードが手に入る『みやたんとようかいむらの夏休み企画2024』が開催された際には、妖怪カードを集める子どもたちがあらゆるスポットに足を運んだ。その様子を見て、自分が作ったキャラクターが子どもたちと、その親やふだん話すことができない人々の間に入ってコミュニケーションを促進させることに、改めてキャラクターが持つ可能性を感じたという。
そうした可能性を最大限に生かすためにも、たかい氏は「自分の作ったキャラクターに愛着はあるが執着はない」と言う。キャラクターの生みの親だとしても、クライアントにキャラクターを渡してしまったらそれはクライアントのものになる。自分が固執するよりクライアントが用途に合わせてキャラクターをかわいがってもらうほうが、多くの人にキャラクターが親しまれることにつながるからだ。
取材・文=中野夢輝
写真提供=たかいよしかず
※本記事は、2024年10月23日発行の『Whooops! Vol.38』の記事を転載したものです。