【3分解説】サイクル投資④(投資タイミング)

・前回は、投資候補となるETF銘柄についてご説明しました。

・今回は、これらのETF銘柄にどのように投資すればよいのかご説明いたします。
・前提としては、今までご説明した、景気サイクル・企業利益サイクル・株価サイクルの見極めが前提にあり、売買タイミングを決めることになります。
※以下の前提として、生活に必要な資金や、いざというときに出費が必要になる資金は別建てで分けてあることが前提としています。言い換えると、サイクル投資の目的は、いつでも換金できる資産の積み上げではなく、長期で増やすための資産の積み上げという前提です。


・ようするに、株価サイクルが頂点に向かうときは買いに慎重になり、底に向かうときは積極的になればいい、ということなので、この確信度に応じて、投資する資金の金額に濃淡をつければいい、というわけです。
・ただ、これだけだと一歩を踏み出しにくいと思いますので、長期投資の手法として一般的なドルコスト平均法(定時定額購入)をベースとして、投資金額に濃淡をつける手法がどの程度パフォーマンスに差を生むのか、シミュレーションにてご紹介いたします。

シミュレーションの前提
・投資方法として、①ドルコスト平均法、②景気サイクルで投資金額に調整を実施、の2つ
・投資対象は、
バンガードの「バンガード米国生活必需品セクター(VDC)」(経費率0.10%)
バンガードの「バンガード米国ヘルスケア・セクター(VHT)」(経費率0.10%)
インベスコの「インベスコQQQ(QQQ)」(経費率0.20%)
・投資タイミングは、どちらの方法も2007/1末から毎月投資を行う。
・ドルコスト平均法は、毎月5万円の定額投資を行う。
・景気サイクルの把握方法としては、米国の鉱工業生産指数について、過去(2006/12末~2021/12末)の各月の数値の以下の分布をふまえて、鉱工業生産指数が101.5以上だと景気拡大局面、97未満だと景気後退局面として、投資金額に以下の通り調整を行う。

※パーセンタイルとは、対象の調査項目の数値を小さいものから数え上げたもの。例えば、今回のパーセンタイル10%の対応値90.8とは、対象期間の鉱工業生産指数(180個)で小さいものから数えて10%(18個目)の数が、90.8%ということ。つまり18個の数が90.8以下といえます。

シミュレーション結果
・結果は以下の通りで、どのETFに投資しても、ドルコスト平均法に対して景気サイクルで投資金額を調整したほうがリターンは改善できていることが確認できます。

・今回は、ドルコスト平均法をベースにしましたが、もちろん今回は鉱工業生産指数をもとにテクニカルに投資金額を調整しただけですので、景気サイクルに対する確信度に応じて、投資金額によりメリハリをつけたほうがリターンは改善できる余地があるといえます。
・ただ、気をつける点としては、ドルコスト平均法から離れるほど、自身の投資行動の結果次第で、成功しても失敗しても、以下のとおり人間の心理には感情の自己強化ループが働くことに気をつけて、過度に楽観ないし悲観になることは避けなければなりません。

・また、投資する景気後退期の条件を厳格にすると、高値つかみするリスクは小さくできますが、数年は投資期間を待つ必要があり投資機会を逸する可能性があることにも注意が必要です。


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