“これだけは誰にも負けない“と胸を張れる力(1/4)『社会で求められる力』
キャリア教育を担当するなかで、授業を構成する際に、必ず触れるべきテーマがあります。
それは、社会人基礎力。
経済産業省が定めている3つの能力(アクション、シンキング、チームワーク)と、12の能力要素です。
(参考)https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/Ecforthe100-yearlife.pdf)
これらの能力は、若いうちに身につけておくべきものとされ、企業では社員教育として、私たちは大学教育として、その重要性を若者たちに伝えています。
ただ、私がいつも思うのは、こうした力の重要性を知っている人は多くても、それを実際に身につけている人は私を含め、それほど多くはいないということ。
開き直るつもりはありませんが、それが現実ではないでしょうか。
社会人基礎力をバランスよく身につけておくことは、社会で活躍していくうえで確かに理想といえるでしょう。しかし、それらの修得にばかり目を向け、その他をおろそかにする生き方には疑問があります。そもそも、人には得手不得手があり、能力の修得に要する時間も異なりますし、モチベーションだって常に高水準を維持しているわけではありません。
くれぐれも誤解があってはならないことですが、社会人基礎力の修得を目指すことや、その重要性を教育を通して若者たちに伝えること自体を否定しているわけではありません。
ただ、実際問題として、「若いうちに身につけておくべき」とされる社会人基礎力は、その修得に時間を要するものであり、すべて修得する頃には「若い」とは言えない状況に育ってしまっているようにも思うのです。
最近は、失敗を恐れて一歩を踏み出せない若者が増えつつあるように思います。しかし、準備万端でなくては動き出せない、という人生はおススメしません。社会人基礎力が不十分でも私を含めなんとかやっていっている社会人もいるのです。
まずは、何か一つでも、「これだけは誰にも負けない」と胸を張れる力の種を見つけ、それを育ててみてはいかがでしょうか。