見出し画像

日常ブログ #17お盆




お盆が明けました。


お風呂が沸きましたみたいなテンションで綴ってしまったが、
皆様いかがお過ごしだろうか。

お盆もお正月もGWも終了した2023年にはもう何一つ残されていないわけだが、
共に耐えながら生きていきましょう。


そんな私はこのお盆に実家の方に帰省してきました。
そして、しっかりご先祖様のお墓に参ってお迎えもしてきました。

このお盆、ほんの数日前である。
リアルタイムの世界を生きる皆様にはお分かりいただけると思うが、
今年のお盆シーズンは日本列島各地で強力な台風の影響に見舞われていた。
もし今心優しい読者の皆様方の心に一つ疑問が浮かんだとするならば、
それは「天気大丈夫だったの?」ではないだろうか。

はっきりお答え申し上げると、全然大丈夫ではなかった。
家族一同バケツの水を頭からかぶりましたと言わんばかりにずぶ濡れになってご先祖様をお迎えした。

我々が雨にうたれるまでにも、うたれた後にもちょっと色々あったので、
今回はどのようにして祖母に上下一式着替えを借りて家族4人揃って祖母コーデで帰宅する羽目になったのかについて書きたいと思う。


私の地元の方では大体お盆のお迎えは夕方に行われるのだが、
その日はやはり台風の影響により朝からぐずぐずとした天気で、
重い雲が立ち込めた不安定な空模様だった。
時折雨が一気にドバッと降っては、ほんの数分であっけらかんと上がるといった具合である。
ただ、午後になってからはほんの少し晴れ間も見えるようになってきて、
割と皆楽観的に構えてお墓に向かったと思う。

祖父の運転する軽自動車に私と両親と姉の大の大人5人がすし詰めになって、
お墓へと車を向かわせた。

祖父母の家を出発する際、荷物を乗せたり私たちが乗ったりできるように車内を片付けてくれた。
つまり散らかっていたのだ。
その時にやれ何がないとか、何を持っていけとか、
玄関先と家の中を行ったり来たりするコント的やりとりでしばらく時間を潰していた。
変わらない世話焼きな祖母の姿を見せてくれて、私はとても穏やかな気持ちになった。
いい加減出発しようと一行が車を動かし始めた時、
最後の最後に玄関から出てきた祖母が動き出した車の窓から使い古した白いタオルを投げ入れた。
母が「何に使うの?」と尋ねると、「何か」と答え、祖母は私たちを見送ってくれた。
今にして思えば、この時に私たちの近い将来のフラグが立ったのである。
おばあちゃんフラグ。


いざお墓について、お墓の掃除やお迎えの準備を始めようという時に、
近くのお寺に卒塔婆を取りに行くため祖父1人が車に乗って墓地を離れた。
事態が急変したのはその直後である。

初めは本当に弱い小雨だった。
しかしその場にいた皆、お隣のお墓のご家族一同も皆わかっていた。
大変なことになると。
そして大変な大雨が始まった。
最初は慌ててその場にあった新聞紙やビニールの切れ端やペットボトルか何かで必死に雨を避けようとした。
しかし、身にうちつける大粒の雨は人々から戦意を喪失させた。
だって新聞紙溶けるし、ビニール小さいし、そもそも雨強すぎてどうしようもないのである。
雨宿りできるような大きな木もないし、屋根のある場所もない。
頼みの綱の車はさっき走り去って行った。
何かもうどうでも良くなってくる。
何をどう努力したところでどうせすごく濡れるか、ものすごく濡れるかの差なのだ。
もうどうにでもなれ。

私がそうやって何もかもを諦め、改めて周囲を見渡した時、驚くべきものを目にした。
それは、その場に居合わせた人々の姿だった。
彼らは今まさに大雨にさらされているにも関わらず、
本当に雨になんか関わっていませんと言わんばかりに普通に動き出したのである。
普通にお供えの花を取り替えるし、普通に水を汲んでくる。
たった今大雨に降られているのに普通に墓石を水で洗う。
さらにはお線香まで普通につけようとする。
私は感動した。
彼らは私のように諦めてやけくそになることなく、
この天気と状況をどうにもできないと悟ると、淡々とお迎えの仕事を完遂すべく動き出したのである。
八方を塞がれた者は醜く騒ぐのではなく、まず己の役目を果たさんと潔く動き出すのである。
ここに人間の底にある強さを見たような気がした。
土砂降りだが天晴れである。

そうしてついたかついてないんだか分からないお線香をお供えし、
意地でもご先祖様の魂のシンボルである提灯のろうそくの火をつけ、
しかし肝心の提灯の持ち手をなくしてしまったので仕方なく両手で掲げ持ちながら、
速やかに帰ってきた祖父の車に退散した。
一旦屋根のあるところに入ると途端に正気に戻ったようで、
濡れているのがとても煩わしく感じた。
すぐに身体を拭きたいと思った。
そんな時、目に映ったのは、「何か」と言って投げられ座席に捨て置かれた祖母のタオルだった。


帰り道、もうすっかり上がった墓地に次々にやってくる人々に不思議そうにジロジロ見られながら、
「何か」タオルでひとまず身体を拭き、
留守番をしていた祖母に家族全員服を借りて、
ご飯をご馳走になって家に帰った。

これが2023年お盆豪雨タオル事件の全貌である。

ご先祖様方もずぶ濡れの我々とずぶ濡れの提灯に迎えられるのをさぞ心許なく思ったことだろう。
大変失礼しました。
既にお送りも済んだとは思うが、せっかくのお盆に羽を伸ばして安らかに過ごしてほしいと思う。


皆様も夏の天気には十分ご注意して、
タオルを持ち歩くことを強くお勧めいたします。



いいなと思ったら応援しよう!

タマ
よろしければサポートをお願いします!🙏