情報デザインコース卒業研究制作 | インタビュー第1弾 | 本田 日向子さん
みなさん、こんにちは!
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2024 - From: To:広報部門です。
今回のnoteは、卒業研究制作展参加者へのインタビュー記事の第1弾です。
これから約2週間にわたって全9名のインタビューをお届けしていきます!
彼らがどのような想いを持って今までの制作をしてきたのか、記事を通じて皆様にお届けできたらと思います。
第1弾は「エンタテイメントとデザインゼミ」に所属する本田 日向子さんのインタビューをご紹介します。
インタビュイー紹介
普段は主に、どんなもの・ことを制作していますか?
本田:大学ではアプリやウェブサイトのUIデザインと、プログラミングの勉強をしていました。また、家ではよく縫いものをしています。ぬいぐるみが大好きです。
どんな分野に興味がありますか?
本田:プログラミングであまり実用的ではないものを作ることに興味を持っています。動いたり光ったりするものに、心がときめくんですよね。
卒業研究制作作品について
誰に届けたい作品ですか?
どんな作品ですか?
本田:「寄り添いの体験デザイン」というテーマを設け、体験型の空間演出作品を作りました。タイトルの「Stay Close」は、日本語で「そばにいて」という意味です。
作品は、二人がけの木のベンチと、ぬいぐるみ様の「物」で構成されています。ベンチの片側には「物」が座っていて、もう片側には体験者が座ることができます。ベンチに座ったり、「物」に触れたりすることで、空間に変化が起こります。
みなさんは物(物体、物品)に感情はあると思いますか? ぬいぐるみに話しかけたり、お掃除ロボットにご飯(ごみ)をあげたり、スマートスピーカーにお礼を言ったりした心当たりのある人もいるのではないでしょうか。でも、物に感情はないですよね。あるのは、私たちの勝手な思い込みなんです。ヒトは物に対し、実際には存在しないはずの感情を空想し、共感します。このことは、自己の想いを物に投影する営みであると考えました。この作品では、その空想や共感を通じ、体験者自身の感情に安心感や充実感を与えることを試みています。
作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
本田:インタラクティブな作品や、空間を使った作品を作りたいと長い間考えていました。普段の課題よりも時間が使えるし、卒業制作のために貯めていたお金もあったので、やってみたいことを全部やってみようと思って。プログラミングも、縫いものも、体験のデザインも、これまでにやってきたことのピースを集めて、一つの作品を作ることにしました。
制作過程を教えてください。
本田:まず初めに、作品のシステムの根幹を作りました。制作の終盤になって思ったように動かなかった! というケースが一番良くないので、早い段階で動くようにしておきます。
その後はひたすら、体験のデザインを良いものにするための取り組みを行いました。投影する映像をリッチな表現にしたり、「物」の形状や素材を検討したり……「物」は5回のプロトタイプ制作を経て今のかたちにたどりつきました。他にも、演出のタイミングやちょっとした明るさの変更など、細かな改良を重ねていきました。
途中で音響の演出も追加したのですが、私は音に全く詳しくなかったため、調査を行って音を決めました。さまざまな音のパターンを用意して、実際に体験してもらった感想をインタビューし、最も理想的な体験をもたらす音を選んでいます。
また、はじめて木工に挑戦し、ベンチを作りました。もともとは既製品のベンチを購入し改造するつもりだったのですが、理想的なものが見つからなかったため、一から制作することになりました。その他に、プロジェクターを吊るすための什器も制作しています。
制作を通して気づいたことを教えてください。
本田:誰かに実際に体験してもらう機会を適宜設けることで、良い点や改善すべき点が見えてくると思います。体験が可能なプロトタイプを早い段階で制作できたことは、製作を進める上で良い判断だったと感じました。 体験者は、制作側の意図した通りの行動をするわけではないので、体験者の安全や、作品の強度を考慮することがとても重要です。体験型で多くの方々に見ていただく作品を制作するのは初めてだったので、そのあたりへの気の配り方を学ぶ機会になりました。
今後の活動や進路について教えてください。
本田:インハウスデザイナーとして就職し、UIデザインやフロントエンドの実装などをしていくつもりです。家にいる時間で、縫いものと電子工作を続けていきたいです!
(インタビュー・編集:中野 梨杏・佐藤 萌香・パク ミスン、画像提供:本田 日向子)
インタビュー第1弾、いかがでしたでしょうか。
本卒業研究作品は多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展に展示されております。
記事だけには載せきれない、実際に見るからこそ伝わる魅力がある作品がたくさんありますので、みなさまもぜひ会場にお越しください!
第2弾は、「デザイニング・エモーションゼミ」に所属する佐藤 萌香さんのインタビューをお届けします。次回もお楽しみに!