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情報デザインコース卒業研究制作 ✧ インタビュー第8弾 | 山中 彩音さん
みなさん、こんにちは!
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「 」広報部門です。
今回のnoteは、卒業研究制作展参加者へのインタビュー記事の第8弾です。
これから約2週間にわたって全15名のインタビューをお届けしていきます!
彼らがどのような想いを持って今までの制作をしてきたのか、記事を通じて皆様にお届けできたらと思います。
第8弾は、「ワークショップとデザインゼミ」に所属する山中 彩音さんのインタビューをご紹介します。
✧ インタビュイー紹介
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山中 彩音 / AYANE YAMANAKA
多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース4年
ワークショップとデザインゼミ(主査:矢野 英樹准教授)所属
── 普段は主にどんなもの、ことを制作していますか。
山中:紙を使った制作物が多いです。元々、印刷物がすごい好きで。デジタル的表現よりも紙出力してあるアナログ表現が好きです。実際に手に取れるところがいいのかな。私は収集癖がちょっとあるので。
✧ 卒業研究制作作品について
── 卒業研究制作で制作した作品の紹介をお願いします。
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山中:作品のタイトルは「はじめまして。」です。
インタビューを通して、昔と今の自分の新しい一面を見つけるための名刺を制作しました。左にあるのは、昔の自分。右にあるのは今の自分を表した名刺です。
どうしてこういうタイトルにしたかというと…名刺って本来は、初対面の人同士が交換するものだから、それにかけて初めましてっていう意味をつけていたんですけど。制作する上で、協力してもらった友人たちにインタビューをしていると、私の知らない友達の一面を知ることができたんです。その意味も込めて、タイトルは「はじめまして。」にしました。
✴︎ きっかけ・制作を決めた経緯
── この作品を作ろうと思ったきっかけや経緯について教えてください。
山中:3年生の後期に受けた清水ゼミの授業で、コミュニケーションをテーマにした課題を出されました。そこで、自己と他者の違いを、紙で作った花を用いて視覚的に表現した作品を制作したことがあります。その制作を通して、わりとそのテーマを扱った表現をすることが楽しいと思ったのがきっかけです。
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それで、名刺って個人を表現する媒体としてすごくいいなと思って。その中でいろんなことが出来そうだなと考えました。大体、一般的な形だと長方形が多いから。まぁ、パーソナルな場面で使われることが多いからしょうがないですけど。人によって、丸だったり三角だったり、いろんな形があればいいなと思ったのが制作の出発点です。
✴︎ 制作過程
── 制作過程を教えていただけますか?
山中:まず、試験的に自分の名刺を作ってみました。自分のことを一番知ってるのは自分なんだけど、今までを振り返ってみて考え方や性格が変わらない部分もあったし、変わった部分も発見できました。でも自分の場合は「はじめまして」というより「振り返り」の方が正しい気がしました。
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── 発見した「変わらなかったこと」または「変わったこと」は何ですか。
山中:趣味の話になってしまうんですが、昔からアイドルがずっと好きで。本当に昔からそれだけは変わらなくて。それってなんでだろうって改めて考えたときに、自分に夢を見せてくれたことところがすごく好きなのかなって感じました。
他にも性格の面だと、自分から積極的にいけないところがあって。わりと周りから声を掛けてもらうことを待っているタイプでした。そこが昔から変わらなくて。それと、頼まれたら断りきれないところとか。それでパンクすることもよくあります。直さなきゃなーって思う部分ですね。自分の良い悪いを改めて知れました。
── グラフィックの形成は、どんな工程を辿りましたか?
山中:最終的なグラフィックは、結構抽象的だと思うんですけど、プロトタイプの段階ではもっと具象的なものでした。その人を形作ったモチーフの名刺を制作していたんですけど、モチーフに引っ張られすぎて内面の方に目を向けられていないなと途中で感じました。
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なので、全体的に一度デザイン自体を変えました。それで今の形に落ち着いています。
名刺自体の形は、その人の全体的なイメージを表現していて。グラフィックは、インタビュー中のエピソードを聞いてその人の大事な部分だったり内面的なところを落とし込んでいます。
たとえば、タチバナ チハルさんの名刺なんですけど。幼少期のころ、彼女自身やりたいことが明確になってなかったみたいな話をしていて。あまり自我が固まってないみたいな。なので、そこから受けたふわっとしたイメージを曲線で表現しました。グラフィックの色も薄い青や紫を使っています。ドットで表現しているのは、彼女が興味をもっていた電子音楽からきています。
そして今の彼女を表した右の名刺では、末広がりな形をしています。これは彼女の、最初の関係性を築くまで時間はかかるけど、仲良くなれば深く付き合う性格を表しています。グラフィックは習い始めたバイオリンからきています。それを始めたことによって、音楽についてより考えることが増えた、いわゆる彼女にとってのターニングポイントだったのでモチーフとして取り上げました。
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── 名刺の地が白いのにはなにか理由はあるんですか?
山中:んー。あんまり意味はないんだけど、名刺は白っていうイメージが私の中にあったのかも知れない。
グラフィックの話になるんですけど、色の組み合わせは気にしていて。メインの色を決めて、それに対して合うように組み合わせを考えて制作したんです。それで背景は色は白がいいって無意識に思ったのかも。
── 直感的なんですね。
山中:わりとそうかも。制作しているときも、結構直感的で。
考えるときは一生考えてるんですけど。本当にめちゃめちゃ考えちゃう。でも、パッとできる時もある。すごく差があるんですよね。
✴︎ 制作を通して気づいたこと
── 卒業研究制作を最後まで終えて、気づいたことや感じたことはありましたか?
山中:名刺づくりをきっかけに、自分自身を見つめ直す機会になりました。それと、やっぱり紙が好きだなっていうのは本当に思ってて。制作したものの材料は全部紙なんです。名刺もポスターも、展示で使う箱も。それが、本当に、4年間の制作を通してアウトプットしてきたこだわりが出ていて、個人的にすごく良かったなと思います。
✴︎ 展示で見てほしいところ
── 作品をどう見てほしいか、何かありましたら教えてください。
山中:私の作品は、手にとってもらって初めて完結するものだと思っています。なので、たくさん触れてほしいな。
展示形態にもこだわっていて、その人を間接的に知ることができるよう名刺を入れる専用の箱も制作したんです。蓋を開けると、台紙が何枚か入っていて、その一番下に名刺が入っているんです。台紙にはその人についていろいろ書いてあって、それを見ながらめくっていき、名刺に辿り着く仕組みにしてあります。その行為がその人について深く知っていくみたいな感じだなと思っていて。元々の展示形態とは少し変わったんですが、作り直して良かったと思っています。
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山中:4年間学んできたことをひとつの作品にまとめているので、その苦労だったり何を学んだのかを感じ取ってみてほしいです。
✧ あなたにとって 「爆発」とは?
── さいごに、あなたにとって爆発と呼べるものを教えてください。
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山中:その人の好きと好きが詰まったものが爆発してるって思ってて。私だったら、紙が好き、印刷物が好きみたいな。好きの感情が集まって爆発する…。みたいな。
(インタビュー・編集:梅木 千夏、画像提供:山中 彩音)
インタビュー第8弾、いかがでしたでしょうか。
本卒業研究作品は多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展に展示されております。
記事だけには載せきれない、実際に見るからこそ伝わる魅力がある作品がたくさんありますので、みなさまもぜひ会場にお越しください!
第9弾は、「メディアとデザインゼミ」に所属する薄井 まいさんのインタビューをお届けします。次回もお楽しみに!
多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「 」
会期
3月3日(金)- 3月5日(日)10:00 - 19:00
場所
〒141-0022 東京都品川区東五反田5丁目25−19
東京デザインセンターガレリアホールB1&B2
アクセス
JR山手線五反田駅東口より徒歩2分
都営浅草線五反田駅A7出口正面
東急池上線五反田駅より徒歩3分
詳細:多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「 」公式サイト