情報デザインコース卒業研究制作 ✧ インタビュー第3弾 | JUNG JIEYUNさん
みなさん、こんにちは!
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「 」広報部門です。
今回のnoteは、卒業研究制作展参加者へのインタビュー記事の第3弾です。
これから約2週間にわたって全15名のインタビューをお届けしていきます!
彼らがどのような想いを持って今までの制作をしてきたのか、記事を通じて皆様にお届けできたらと思います。
第3弾は、「メディアとデザインゼミ」に所属するJUNG JIEYUNさんのインタビューをご紹介します。
✧ インタビュイー紹介
── 普段は主にどんなもの、ことを制作していますか。
JIEYUN:私は2019年から多摩美術大学に学部留学という形で、4年間留学しています。韓国から日本への留学を通して得てきた、いろんな言語への感覚や感情をもとに制作を行っています。
✧ 卒業研究制作作品について
── 卒業研究制作で作成した作品の紹介をお願いします。
JIEYUN:作品のタイトルは「 言語と「 」と私 」です。
言語と自分。その関係性について自分が感じてきた言語への違和感。時には歯がゆく、時には愛おしく感じる、言語という概念。その概念への思いを形とする作品となります。
ここでの言語と自分というは、多言語で生活をしてきた自分の経験から改めて0から言語に触れ、母語では感じられなかった、無意識に習得していて気づいていなかった言語への違和感のことを指しています。
✴︎ きっかけ・制作を決めた経緯
── この作品を作ろうと思ったきっかけや経緯について教えてください。
JIEYUN:この作品のきっかけは、先程の自己紹介でも話したように、 自分が韓国から日本への留学で、多言語話者「マルチリンガル」になったことから、 違う言語で生活に慣れることを通じて、様々な気づきを得たのがきっかけかなと思っています。
頭の中で複数の言語が共存する、混ざっている経験から、我々を繋ぐコミュニケーションの手段である言語について、改めて考えたり、考察するようになりました。
✴︎ 制作過程
── 制作過程を教えていただけますか?
JIEYUN:最初に言語をテーマに制作したいと思ったのは、3年の前期課題のお題からで、新しい通信という話題がありました。その通信に関して、当時担当してくださった永原先生の講義があり、その中でコミュニケーションという言葉が通信と繋がっていて、自分にとって通信というのは、言語そのもの、コミュニケーションのそのものであって、もしかして私が感じている言語というのは単一言語だから、モノリンガル(=言語を1つのみ習得している人)の人たちには、感じられない要素があるかもしれないと考え始めたのがきっかけです。
そこから、言語へのイメージが違うという観点で作品を作りました。もちろんそこまで辿り着くまで、色々な経験の中で違和感を感じたり、ちょっと違う感じ方をしているなと思ったりしたことが少しずつ溜まっていて、それをあの3、4年にわたって形としていて、自分なりに消化していくという感じでした。
── それでは、アウトプットに関してはスラスラ出てきた感じでしょうか?
JIEYUN:情報デザインコースにいるからっていうのもあるかもしれないけど、私の感情をただ表現するだけではなく、これを私と同じバックグラウンドじゃない人にも伝えるためにはどうしたらいいのか。もうちょっとわかりやすくとか、こういうインタラクションの方法を取らなきゃとか、こういう言葉遣いの単語を選ばなきゃとか、色々な要素をかいつまんで、作り直しを繰り返していました。
── 制作が難航したことはありましたか?
JIEYUN:自分の中で今の作品の形じゃダメだって思っちゃう時が1番大変で、ここからもっとその向こうに出来る道がありそうなのに、現時点の私じゃ表現できないなって実感するときです。特にプログラミングとか触ってるから、こういう表現したいのに、どこを調べても無いみたいな瞬間が1番落ち込む瞬間でした。
✴︎ 制作を通して気づいたこと
── 卒業研究制作を最後まで終えて、気づいたことや感じたことはありましたか?
JIEYUN:変化は色々ありましたね。4年になったばかりの時は、ただ3年にやったお題の制作をやり続けたいという感じが強かったけれど、 今は大学院の研究テーマとしてやりたい。マルチリンガルの言語と思考の相関関係について研究することで院試に受かっているので、より専門的に学ばなければいけないんです。なので、以前よりちゃんとした気持ちでやらなきゃと考えるようになりました。
日常的なことでいうと、英語を勉強したり、中国語やドイツ語を勉強したりし始めました。卒制をやってる間に、もうやだーってなって、どこかに逃げ場を作らなきゃって作ったのが言語の勉強だったから、私ってやっぱり言語が好きなんだなって思いました。
✴︎ 今後の活動・進路について
── 今後の活動や進路などについて、何かありましたら教えてください。
JIEYUN:大学院に通いながら、単一言語を使う人と多言語を使う人の間を繋ぐようなものが作りたいです。
✧ あなたにとって 「爆発」とは?
── さいごに、あなたにとって爆発と呼べるものを教えてください。
JIEYUN:私たちが作った卒制というのは確かに形になってるけれど、それを見てくれる人々がいて、そこで家に帰ったりすると、その瞬間から頭に残るわけで。それってつまり、形のないこと / 物事として存在していくというのは、心に残ることなのではないかと考えています。
(インタビュー・編集:大島 怜、画像提供:JUNG JIEYUN)
インタビュー第3弾、いかがでしたでしょうか。
本卒業研究作品は多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展に展示されております。
記事だけには載せきれない、実際に見るからこそ伝わる魅力がある作品がたくさんありますので、みなさまもぜひ会場にお越しください!
第4弾は、「デザイニング・エモーションゼミ」に所属する永友 和花さんのインタビューをお届けします。次回もお楽しみに!