情報デザインコース卒業研究制作 ✧ インタビュー第11弾 | 井川 脩人さん
みなさん、こんにちは!
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「 」広報部門です。
今回のnoteは、卒業研究制作展参加者へのインタビュー記事の第11弾です。
これから約2週間にわたって全15名のインタビューをお届けしていきます!
彼らがどのような想いを持って今までの制作をしてきたのか、記事を通じて皆様にお届けできたらと思います。
第11弾は、「リボーダーデザインゼミ」に所属する井川 脩人さんのインタビューをご紹介します。
✧ インタビュイー紹介
── 普段は主にどんなもの、ことを制作していますか。
井川:4年間でやってきたところで言えば、コミュニケーションデザインですね。グループをまとめるためにどんなデザインが必要なのか、自分の作ったものがどんな体験をさせられるのか、どんなことを感じてもらえるのか、みたいなところに興味があるんです。それに対しての成果物はわりと自由で、グラフィック・イラストレーション・インスタレーションなどを制作してきました。
✧ 卒業研究制作作品について
── 卒業研究制作で制作した作品の紹介をお願いします。
井川:「Street line graphics」という作品です。道路の路上線を収集してきた中で、興味や惹かれた路上線をありのまま抽出して、そのままグラフィックとして表現した作品です。
路上線を視覚的に捉えたときに、引かれている線の人工的な美しさと意図しない環境の変化での劣化から生まれる自然な形をこの作品で再認識させたいと思いました。それらとともに、線や形の美しさに街と環境が生み出す、人間が生活してる痕跡とかを感じると自分は思っていて、路上線っていうのは公的な空間の境界線でしかないですが、そこに新しい価値を与えるという形で制作した作品になります。
✴︎ きっかけ・制作を決めた経緯
── この作品を作ろうと思ったきっかけや経緯について教えてください。
井川:元々自分は街中を歩いてて、面白いものとかを収集する癖があるんです。路上線以外にも面白い看板だったり、日に焼けて文字がガビガビになっているものだったり。
誰かの忘れ物とか、削れて面白くなったロゴとか、そういうのを収集するのを元々趣味でやっていた中で、1980年代頃にトマソンという路上観察学会があったというのを知りました。そこではひたすらマンホールを撮ったり、ある人は張り紙をずっと撮ったりして、お酒を飲みながら話し合うグループがあるんです。
そのグループが有名になって、展示を行う中で路上観察という分野に広がっていき、今に至るという記事を見たことで、自分の収集したものも作品になり得るのだなと思ったのがきっかけですね。
また無意識に集中してるものこそ、自分の好きなものなんだなと思っていて、それを作品として表現したり、自分の武器にするみたいなのは今しかできないと感じていました。そういうことをちょっとやってみたいなと思っていた中で、今までの作品を振り返ると、ある課題に対して自分は客観的に作品を出すことが多くて。「ロジックで説明できるから、この作品はいいよね」みたいに納得できるものを1〜3年生まで作ってきたけれど、グラフィックみたいな自分のかっこいいと思うものを押し出すような作品にちょっと憧れてた時期も重なって、作り始めたというのも大きいです。
✴︎ 制作過程
── 制作過程を教えていただけますか?
井川:最初は全く違うテーマの社会的なところを見据えた作品、街のデザインを考えていたのですが、自分の表現を突き詰めたいっていう時期が夏ぐらいに来ました。街のデザインを進める中で、街を歩いてる時に写真撮ったりしていて、その撮っていた路上線とかをパラパラ見たときに「あ、これいけるかも」って、9月ごろにふと思って。これでなにかを作ろうと思いました。
自分の好きなグラフィックっていうのを考えて、コラージュやグラフィックポスターとしてみて、強度を持ったものをいろいろ探していきましたね。そこから路上線の魅力みたいなことを考えついたときに、ありのままにフォトショップで切り抜くだけみたいなことを思いついて、それが最終成果物になったという感じです。
✴︎ 制作を通して気づいたこと
── 卒業研究制作を最後まで終えて、気づいたことや感じたことはありましたか?
井川:自分の感情とか好きなもの100パーセントで作ったものが4年間で初めてなんです。「かっこいいじゃん」というだけのもので、始めたものを卒業する前にできたってのは自分の中で良いなと感じていて、実際この作品についてはすごく満足しています。
これをぶっつけで出来たのはすごく良かったし、卒業してデザイン会社に入ってデザインするのもそうだけど、やっぱりアーティストとしてというか、井川 脩人として売り出したいっていうのも多少はあるから、そういうきっかけみたいなものができたのが良かったなと思います。
✴︎ 今後の活動・進路について
── 今後の活動や進路などについて、何かありましたら教えてください。
井川:卒業後も路上線というテーマをもう少し突き詰めていきたいなとは思っているので、このテーマをやめずに作っていきたいなとは思っています。本職の方はコミュニケーションデザインが好きなので、UXデザインができる場所に席を置きたいと思っています。
✧ あなたにとって 「爆発」とは?
── さいごに、あなたにとって爆発と呼べるものを教えてください。
井川:自分の作品って結構客観的に見ることが多くて。他者に認められないと自分の作品は納得できない部分があって、それがデザインだと思ってるのだけど、もっと好きとか個人とか癖とかに真面目に答えるだとか、自分だったら路上を観察するとか、収集癖があるというのに真面目に答える。それが今年はできた気がしていて、それが爆発に繋がったと思っています。
(インタビュー・編集:大島 怜、画像提供:井川 脩人)
インタビュー第11弾、いかがでしたでしょうか。
本卒業研究作品は多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展に展示されております。
記事だけには載せきれない、実際に見るからこそ伝わる魅力がある作品がたくさんありますので、みなさまもぜひ会場にお越しください!
第12弾は、「エンタテイメントとデザインゼミ」に所属する舩津 光太郎さんのインタビューをお届けします。次回もお楽しみに!