【後編】ELVES Falath EVO【自宅バラ完】
はじめに
最近かなり話題になっているELVES bikesのエアロモデルであるFalath EVOを購入しました。購入までの流れや、組んでみた・乗ってみた感想を書いていきたいと思います。
長めの内容となるため前後編に分け、以下に目次を配置します。気になる見出しにジャンプして見ていただき、何かの参考になれば幸いです。
後編となる本記事では、組み上げと乗ってみた感想について記載しています。
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組み上がり
まずは結果から
最終的な仕上がりとしてはこのようになりました。細部については後述しますが、黒を基調としつつ、エッジはカメレオンカラーとオイルスリックがアクセントになる派手すぎず落ち着いた外観になりました。
ダウンチューブには大きくELVESロゴが入っているのですが、写真でも実際に見てもかなり見えづらい入り方になっています。
S-46サイズに身長167cmで股下68cmの人間が乗ろうとするとこれぐらいの落差が出ます。ステムをベタ付けにしてコレなので、想定していたよりも普通でした。
今回の構成
前提として、今回の組み上げでは現有資産の活用を第一として構成を検討しました。ULTEGRA R8050で組みのバイクからパーツを外して使用します。
一世代前のグループセットを使用しているため、リムブレーキ仕様かつフル有線使用です。
型落ちリムブレーキDi2仕様から最新ディスクブレーキDi2仕様への切り替えが大きな課題となります。
こちらも結果から記載しておきますが、使用したパーツと金額の一覧は以下の通りです。
コミコミで60万円強になりました。Di2とパワーメーター周りで金額が底上げされてますが、そこを抜けばまあまあな価格帯で組み上がります。
一方で変速も含めた完全機械式で費用を抑える手もありますが、ケーブルルーティングを考えるとあまりオススメできません。
以降は各部の細かい部分について記載していきます。
足まわり
リムブレーキからディスクブレーキへ
一般的にリムブレーキ仕様からディスクブレーキ仕様へ切り替える際は、
STIレバーを変更して、油圧キャリパーを使用する構成(完全油圧)
STIレバーはそのままに、リザーバータンクを持つハイブリッドキャリパーを使用する構成(半油圧)
STIレバーはそのままに、機械式(ワイヤー引き)キャリパーを使用する構成(完全機械式)
この3つの構成が考えられます。
"1."については現有資産の活用を優先すると最初に消えます。Di2油圧対応STIレバーは非常に高価なため、費用対効果が薄いです。特に私のコンポは型落ちのため、最新のSTIレバーは使用できなかったためです。
"2."についても検討しましたが、ブレーキングによって熱が発生するパッドとリザーバータンクが近く、ベーパーロック現象が起きる可能性があると考え外しました。また単純にオイル交換が面倒なのもあります。
性能としては良いようなので、試してみたい気持ちもあります。
検討した製品は以下の通りです。
ZTTO Gravel Road Bike Disc Brake Hydraulic Flat Mount
TRP SPYRE SLCキャリパー
最終的には移行が(比較的)簡単で費用も抑えられる"3."を選択しました。
TEKTROのレースラインであるTRPのSPYRE SLCを使用しています。
情報は少なかったですが、当該製品選択に至った理由としては以下が挙げられます。
シマノ製の機械式ディスクキャリパー(BR-RS305)は評判がイマイチ
GROWTAC EQUALは評判はいいものの欠品続きで購入が難しい(2023年末時点)
TRP SPYREは機械式では珍しい両押しピストン採用、調整も比較的容易
160mmのディスクローターを使用したい場合は別途台座を購入する必要があります。キャリパー本体はフロント、リア共通ですが、台座は製品が異なるので注意が必要です。
また、フレームにはフロントキャリパー取付用ボルトが付属していますが、リア用は付属していなかったため、こちらも別途購入しました。
私は下記のTRP純正ボルトを使用しましたが、M5で25mm以上のボルトであればほとんどの場合使用できるかと思います。
パッドとローター
キャリパーはTRP製を選択しましたが、消耗品であるパッドとローターは入手性と価格を考慮してシマノ製を選択しました。
ここでの注意点としては、パッドとローターのサイズと組み合わせです。
シマノ製の場合、以下2つの組み合わせが推奨されています。
ナロータイプのパッド×ナロータイプのローター
主にロードバイクで使用される構成、上位ロード向けグレードでも採用ワイドタイプのパッド×ワイドタイプのローター
主にMTB、シクロクロスで使用される構成
ナロー、ワイドはブレーキ面の幅にあたりますが、基本的に異なるタイプでの組み合わせは推奨されていません。
そしてTRP SPYREに標準搭載されているパッドと互換性がありそうなパッドはB05S-RXというワイドタイプのパッドでした。
実際にTRPとシマノのパッドを比較した画像を載せておきます。
つまりこのパッドを選択した場合は、ローターもワイドタイプを使用する必要があります。一般的なロードバイク向けローターはほとんどがナロータイプのため注意が必要です。
ローターは下記のものを選択しました。ワイドタイプ対応でレジンパッド専用のため、ナロータイプはもちろんメタルパッドも使用できません。
このあたりを知った時、TRP製よりGROWTAC製の採用例が多い理由に気づきました。
GROWTAC EQUALは基本的にシマノのナロータイプ、つまりロード仕様に準拠しています。一般的なシマノ油圧式ロードと共通パーツとなるため運用が楽です。
TRP SPYREに関してはいくつかナロータイプのローターを使用している先人の記事を見ましたが、ナロー/ワイドの組み合わせを無視している例が多く不安が残ります。このあたりは今後検証したい内容になります。
変速まわり
ここはすべて現有資産の流用で賄えたポイントになります。
機械式ディスクキャリパーを選択したため、STIレバーは据え置き。ディレイラーについても11sをそのまま使用しています。
ワイヤリング
ここが一番の苦行でした。
Falath EVOはフル内装フレームです。そして専用設計のAeroEVOもケーブル内装タイプのハンドルです。これに旧Di2を組み込むのにかなり苦労しました。
ハンドルまわり
まずハンドルまわりですが、ケーブル外装タイプを使用していた場合はほとんどが外装用ジャンクションAを使用しているかと思います。
ここをバーエンド搭載タイプのジャンクションAに変更します。これはバッテリー充電、モード切替のために必須です。
次にバーエンドに搭載したジャンクションAと各STIレバー、そしてフレームへ向けたエレクトリックケーブルを配線していきます。
今回の組み込みでは最終的に以下のような配線となりました。
パッと見だと何が大変かわかりづらいかと思いますが、バーエンドのジャンクションAからSTIレバーへのワイヤリングが難しいです。
黄色のラインがこれにあたりますが、ケーブル出口部分で折り返す形になるため、ルーティングツールがないとワイヤリングはほぼ不可能。
R8170であればSTIレバーが無線化されているため不要な作業です。内装ハンドルへの対応で無線化したのか…と感じるほどでした。
面倒な作業ではありましたが、これが最もシンプルでトラブルに強い配線かと思います。
バッテリー内装
Falath EVOはDi2対応フレームのため、内装型のバッテリー(BT-DN110-A)にも対応したパーツが付属します。
滑り止めのラバーをつけるとかなりタイトですが、その分ズレにくい印象を受けました。現時点ではノートラブルです。
ちなみにシートポストそのものの固定ですが、フレーム側にサンドペーパーを貼るという理に適ってはいるけどパワープレイな対処法になっていました。
フレーム内
フレーム内の配線は特に苦労はありませんでした。比較的バリが少なく、綺麗に作られている印象です。
ワイヤー長、各部については以下の通りです。
BB、クランクまわり
BBインストール
BB規格はPF30。フレーム付属のBBはSENICX製のプレスフィットBBでした。
SENICX自体はAliExpressでよく見るブランドです。中華コンポでおなじみSENSAHとセットで売られていることが多い印象。
プレスフィットタイプのBBは扱いが面倒なので、今回はTOKEN NINJA BBをインストールしました。BB側にスレッドが切ってあり、作業難度が低めです。
ただ、PF30用の需要が少ないせいか入手難度が少し高めです。
インストールにあたってはTOKEN製のインストールツールか、シマノのBBインストールツール(TL-FC32)が必要です。
クランク
クランクは旧ULTEGRAのFC-R8000を使用し、左クランクのみPioneerのパワーメーター付きを使用しています。クランク長は170mm。
リコール対象のロットですが、確認した限りは剥離やクラックは現状なさそうです。とはいえ、私はプロショップ店員ではないので今後どうなるかは少し怖いです。
ホイール
ホイールはELVESのサブブランドであるOROMEから出ているTH50Dをチョイス。カーボンリム、リムハイト50mm、OROMEオリジナルハブのモデルです。
OROMEは他にもDT SWISS製のハブがインストールされているモデルもありますが、コストパフォーマンスに優れる、使用者が多そうなこちらのモデルにしました。
オリジナルのハブはいわゆるスターラチェット系で爆音です。びっくりするぐらい音がデカいです。
スターラチェット系はグリースアップしても従来のハブに比べて音が落ち着く効果が薄く、こちらのハブもバラしてチェックとグリースアップはしていますが、周囲の人がそれなりに離れていても振り向くぐらいの音が出ます。
その他スモールパーツ
マウント
サイコンマウントはレックマウントのOROME AERO EVO専用設計品を使用しています。スマートフォンマウントも搭載し、レックマウントプラスのトップキャップ型を使用しています。
保安部品
ライトは2灯で、片方はエアロハンドルに直接つけています。上記の写真ではLEZYNE MICRO DRIVE 450XLをハンドルにつけていますが、純正のバンドでは光軸が上がってしまう問題があり、現在はCATEYE VOLT400 NEOに変更しています。こちらは純正のバンドでも問題なく装着可能。
ベルはCATEYE OH-2400をサイコンマウントに結束バンドで止めています。
スルーアクスルは純正品ではなく、AliExpressで購入したZTTOのレバー付きを使用しています。
DT SWISSから出ているスルーアクスルと同じく、ヘックスレンチ不要で回せてレバー位置を動かせるタイプです。
このスルーアクスルを使用しているのは整備性以外にも理由があり、以下のパーツを取り付けるために使用しています。
簡易スタンドの取り付けに長さのあるスルーアクスルが必要だったためです。
このような車軸共締めタイプのスタンドはクイックリリース対応品は多いですが、スルーアクスル対応の現行品はおそらくコレぐらいかと思います。
使用しない時はボトルケージに共締めした固定用パーツに収まります。
走ってみた感想
組み上がってから100kmほど走行しましたが、いくつか気になったポイントがあります。
他のインプレでもあるように見た目の割に剛性感はそこまで
ハンドルとフォークが近いせいかフロントの動きにクセがある
チェーンステーが広がっていてシューズの踵が当たる
トップチューブが太いため内股気味だと当たる
それ以外はエアロフレームに乗り換えた良さを感じています。
以前乗っていたのがいわゆるオールラウンドタイプのCanyon Utimate CF SLだったため、向かい風や高速域などではパワーに対する速度に違いが出ています。
現状ではノートラブル…と言いたいところですが、フロントのガタが少し出ていました。私が組み付け時に確認が甘かったことが原因ですが、コラム引き上げ時に規定トルクよりかなり手前でもプレッシャーアンカーが滑っていました。
現状はトルク管理よりも当たり感重視で再度作業し、ガタは解消されています。
後編まとめ
本記事では、実際の組み上げに際して気にしたポイント、購入前にあまり情報がなかったと感じた部分について記載しました。
みなさんがELVESを購入、組み上げる際の参考になれば幸いです。
記載のない部分で気になる内容があれば、コメントでいただけると答えられる範囲で回答いたします。
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