私的、「おお!」Point(2024年9月)編
こんにちは!
スウェーデンのリンネ大学に交換留学中のたまです。
交換留学が始まって1ヶ月が経過しました。
今月、私的に「おお!」と思ったPointを煩雑に書き残していきたと思います。
たくさんあるので目次を使って気になるところをピックアップしてお読みください。また、個人的におすすめな記事に「⭐️」をつけているのでもし良ければそちらもご参考になさってください!
そして、何か共感できたり伝えたいことが出てきたら、是非お気軽にコメントくださると幸いです!
大学の授業編
スウェーデンの大学の授業スケジュールは少し特殊で、ひとつの授業を一気にやっていきます。多くの授業が、週3回×5の約1ヶ月で終わるので、短期集中型。日本だと複数の授業を並行して、1学期かけて履修していくので結構違います。
私は新学期開始の9月2日から「Swedish Culture, Leisure and Sports」という授業を履修しており、ちょうど数日前に終了しました。この授業はスウェーデン人のスポーツや自然との関わり方からスウェーデンについて知ろう!というもの。
もしかすると「なぜスポーツと自然?」と思われるかもしれません。
でも、これを見てください。こども家庭庁が2023年に各国の若者を対象に行った調査によると、スウェーデンでは最も自国で誇れるものとして「スポーツ」、次いで「国の自然や天然資源」が上がっています。
スウェーデン人にとって「スポーツ」と「自然」はアイデンティティに深く関わっているもののようです。
ちなみに、受講生は30人弱で、その半数が日本人でした(笑)
まずはこの授業を通して感じた、私的「おお!」Pointを記録していきます。
なぜスウェーデン人がカヌーやBBQをするのか ⭐️⭐️
授業でカヌーを行った際、先生がカヌーの引き上げを手伝わない日本人たちを見て「協力しなさい!」と何度も声をあげていました。
「何度も」というのは、恥ずかしながら日本人たちは注意されたら手伝うのですが、言われない限りには動かなかったからです。
実習後、先生はみんなを集めて「スウェーデン人がなぜカヌーやBBQなどをするかわかる?それはね、こどもたちに協力する大切さを学んでもらいたいからだよ。何事も物事を成し遂げるにはみんなで協力することが必要なの」と話されていました。
この先生は学校の体育の教師もされています。
体育の授業の目的が、スポーツのやり方を知ってもらうのではなく、スポーツを通して”共に生きる大切さ”を学んでもらうというのがとても素敵だなと感じました。
生きた教材が豊富にあるスウェーデン ⭐️⭐️
生物学の先生と大学のすぐ側(徒歩1分)にある森をお散歩しました。
紅葉樹から針葉樹、ラズベリーなどの木の実がなる木、コケ、そして、沢山の種類のきのこ、食べられるアリもいたりして、本当に様々な動植物で溢れていました。
来てもらうとわかると思うのですが、スウェーデンにはどこに行っても必ずすぐ近くに豊かな森林があります。バイオダイバーシティーの考えの下、森がしっかりと保全されているのです。
私は長野県にある大日向中学校という、オランダのイエナプラン教育を取り入れている学校で教育実習をしました。
イエナプラン教育には8つの大きな特徴があり、そのうちのひとつに「ホンモノ性」というものがあります。これは知識や経験の伝達でとどまるのではなく、なるべく直接本当に触れて学んでもらおうとする教育方針を指します。
これを実現するために大日向中学校は、わざわざ人が全然住んでいない長野県の自然豊かな地域に学校を建設しました。そのため大日向中の生徒の大半は、東京など他の地域からから引っ越しをして通っています。
ですが、スウェーデンではどこにいてもホンモノに触れるられるので、どこでもイエナプラン校が開校できます。自然に恵まれた環境を少し羨ましく思いました。
火起こしに最適なタンポン
授業で火おこし体験もしました。
その際に、アシスタントで来ていたスウェーデン人の男性が「火起こしにはタンポンが最適なんだ!」と言ってポケットからひょいっとタンポンを取り出したんです。
手慣れた手つきで包装を開けてタンポンを分解し、薪にくべていたのですが、その様子を見た私は少し驚いてしまいました。
なぜなら、日本人的な感覚からすると、まず男性が人前で平然と生理用品を触っている時点で「!?」ですし男性がタンポンに詳しいことにも「!?」だったからです。
日本とスウェーデンの性教育の違いを感じました。
スウェーデンでアウトドアレジャーが流行している衝撃の理由⭐️
授業で様々なアウトドア体験ができる森に行きました。日本にも青少年の森みたいなのってありますよね。そんな感じです。
その際先生が「今はこども達が沢山いると思うよ。今、スウェーデンの保護者達はこぞってこどもに自然の中で体を動かしたり、サバイバルする経験をさせたがっているからね」と話されていました。
それを聞いた時は「ふーん。そうなんだ」くらいでなんとも思っていなかったのですが、その後サラリと話した理由が衝撃だったんです。
「すぐ近くのウクライナで戦争が起きてるでしょ。自然災害も増えていてるし、いつ何が起きるかわからないからね」とのこと。
日本との戦争への危機感の違いを感じて衝撃を受けました。
スウェーデンの体育の学習指導要領には、緊急事態にどのように対応するかについての知識も身につける必要があると明記されているので、健康とスポーツの発展が目的の日本とは体育の授業の重みが全く異なるなと感じました。
その他大学生活編
身近になんでも相談できる大人がいる環境⭐️
大学が始まる前、交換留学生向けに2日間のオリエンテーションがありました。
様々な人からのお話を聞いたのですが、その際強く感じたのは「自分たちには困った時に助けてくれる人が沢山いるのだ」ということです。
リンネ大学のequal opportunityオフィス、welfareオフィス、キャリアセンター、そして大学が位置するベクショー市の職員さんまでもが全体の前で何度も「なんでも気軽に相談してね!」と話していました。
この時すごいなと思ったことがひとつあって、それはどこも相談内容を指定してこなかったことです。正確に言うと、「病気のことはわからないから、それは健康センターに相談してね」とは言っていましたが、どこに相談しても良いということが個人的に驚きでした。
日本だと、内容によって相談する場所が決まっていて、うまくマッチしないとたらい回しにされて永遠に相談ができないという現象が起きると思うのですが、ここでは無さそうだなと感じました。
また、大学の掲示板にはたくさんの相談を促すポスターが。
本当に(とても良い意味で)しつこいほど「相談してみない?」いろんな人から言われています。
また、私は留学生なので国際センターの人とメールでやり取りをすることが多いのですが、その際必ず文末に「Please do not hesitate to contact us if you have any further questions!(ためらわずに何でもいくらでも質問してね!」とつけてくれるんです。
これがどれだけありがたいことか。私は「たくさん聞くのは職員の人も忙しいだろうし申し訳ないな」とか「ここの管轄外のことを聞いてしまったら申し訳ないな」とか考えてしまうので、この言葉のおかげで気軽に相談をすることができとても助かっています。
大学内にあまたあるアート作品と自然がもたらす効果
私の大学内には約300ものアート作品があります。
例えばこんなもの。
正直よくわからないものが多いですが、それはそれで考え甲斐があって面白いです。
また、すぐそばには様々な植物がある森があります。こんな感じでBBQもできたり、良いお散歩コースにもなっています。
交換留学生向けのオリエンテーションで教授が「アートや自然に思いを馳せてください。そうすることが脳のリフレッシュや想像力を育み、新しい考えを生み出すのに繋がるんです」と話されていました。
このように大学がアート作品や自然に触れる大切さを理解し、それを推奨することは日本ではあまりないので、素敵だなと思いながら聞いていました。
郷に入っては剛に従えで、私もアートや自然に思いを馳せてみようと思います。
24時間無人リサイクルコーナー
私の通うリンネ大学はvaxjoという街にあり、そこは環境先進都市として有名街です。その関係もあってか、大学には24時間無人で使えるリサイクルコンテナが設置されていました。
中には服や教科書などが乱雑に置かれており、外に置かれているので土や葉をかぶって少し汚い感じになっていました。
スウェーデンの国土は日本の約1.2倍ですが、人口が1000万人と日本の10分の1程度しかありません。なので土地に余裕があり、大学構内もとても広々としています。だからこそ、こういったコンテナを気軽に置けるのだろうなと思いました。
思想強めな掲示板
私の通う中央大学法学部の茗荷谷キャンパスには掲示板がありません。その代わりにデジタルサイネージがあります。
学生運動の名残りからか、ポスターの掲示は厳しく規制されており、事務室から許可が出たら、デジタルサイネージに表示されるという形式となっています。
しかし、交換留学先のリンネ大学では、学内の掲示板に自由に何でも貼れるようです。
なんというか、言論の自由を感じました笑
政党青年部の勧誘ポスターがあるのは日本の大学だったら考えられないなという感じなので、見ていて面白かったです。
私生活編
スウェーデン人男性は生理用品のセール価格を把握している!? ⭐️
私にはスウェーデン人のロビン君というバディがいます。「バディ」とは交換留学生1人につき1人つく、サポートしてくれる現地の学生さんのことです。
彼と買い物に行った時、「ナプキンがセールになってるよ!この価格は安いから買っといたら?」と言われました。
これを聞いた時、思わず私は耳を疑ってしまいました。
ロビン君とは今日初めて会ったばかりのまだ関係性は深まっていない状態。例えこれが恋人であってもそんな会話するでしょうか?それに、男性がナプキンの価格を把握しているって何事でしょうか!?
先ほど述べた『火起こしに最適なタンポン 』の件もあったので、改めてスウェーデン男性の生理用品に対する理解力の高さに衝撃を受けました。
人との繋がりを生むフィーカ文化
スウェーデンにはフィーカといって1日のうちに何度もコーヒーとお菓子を楽しむ文化があります。
人の集まるところにコーヒーと甘いものがあれば、自然と会話が生まれるのは想像がつくと思います。
また、一緒に過ごす口実として「ご飯行こう!」と誘うよりも、「フィーカしよう!」の方が、食事ではないので値段も時間もかからずに済み、気軽に誘いやすいです。
フィーカは休息だけでなく、人との繋がりをつくりだす効果もあるなと感じています。
自分たちでルールを決めるスウェーデン人 at共用キッチン⭐️
私たち交換留学生は寮に住んでおり、約10人1組で共用のキッチンを使用しています。
私のフロアは「アメリカ人×7、日本人×2、中国人×2」という構成。
シンクの横に生ゴミを捨てる紙袋があるのですが、いつも誰もゴミ袋がパンパンになっても捨てないので、私ともう1人の日本人が捨てていました。
ですが、このままでは永遠に私たちが捨てることになると思い、4日ほど放置してみたところ、誰も捨てる様子がありません。
結局、日本人的清潔感の限界を迎え、捨てに行きました。
そしてキッチンに「ゴミ袋が2個パンパンになってたら捨てに行ってね」と張り紙をしておきました。
本当はみんなで話し合って決めれられればよかったのですが、同じフロアに住む人同士で連絡をする手段が今のところなかったので、とりあえず勝手に決めてしまいました。
張り紙を見たアメリカ人の女の子2人から、気まずそうに「これはたまが書いたの?」と聞かれ、私も気まずかったです。面倒な日本人って思われたかな〜🥲
けれど、その子達から「2個溜まったら捨てるは妥当だと思う」と言われたので、とりあえずは大丈夫そうです。これで様子を見ようと思います。
ただ、洗い物が全然されていなかったり、共用の洗剤やキッチンペーパーを買う必要があったりするので、一度どこかでちゃんと話し合わないといけなそうです。
この悩みを私とは違うスウェーデンの大学に留学している日本人の子に話したところ、「私たちはスウェーデン人の子が直接話し合いしようって言い出してくれて、1時間くらいかけてルールを決めたよ」と写真を見せてくれました。
その子の寮は「日本人×2、韓国人×1、ドイツ人×1、インド人×1、ナイジェリア人×1、スウェーデン人×2」の計8人で共有キッチンを使っているそうです。
ただですら話し合いをするのって労力がいるし、ましてや違う国の人ともなると余計大変です。
それでもしっかりと話し合いをして、自分たちのルールを決めようとする姿勢を見せたスウェーデン人を私も見習わないとな〜と思いました。
スウェーデンの学校では校則を自分たちで決めるなど、小さい頃からルールメイキングをする練習をたくさんしていると聞きます。こういった積み重ねが今回の共用キッチンで、面倒くさがって勝手にルールを決めた日本人の私と、ちゃんと話し合ったスウェーデン人とでの差が生まれたのかな?などと少し思いました。
まちづくり編
"本当の意味で"街の中にある大学 ⭐️⭐️
大学のオリエンテーションに市の職員さんが来てお話をしてくれました。
まず、「ベクショー(街の名前)にようこそ!」から始まり、ベクショーについてや、私たちも参加できる街中にある様々な市民団体やクラブアクティビティの紹介をしてくれました。また、困ったことや知りたいことがあったら連絡してねとも言ってくれました。
この時に感じたのは、自分がベクショーという街の一員になって良いんだ、この街に自分の居場所があるんだということです。
私はあくまでもリンネ大学の交換留学生としてきたので、リンネ大学があるベクショーという街に対する帰属意識を持つことはないだろうと思っていました。
ですが実際は、クラブ活動などを通して大学と街が接続しているので、大学生になる=その大学が位置する街の一員にもなるということだと気づきました。
日本では交換留学生向けに地元の市の職員さんが「ようこそうちの街へ!」なんて言ってくれる機会はあるのでしょうか?というかそもそも、交換留学生に限らず日本人の正規の新入生に対してもそれを言う機会はほとんど無い気がします。
日本とスウェーデンの大学の位置付けの違いを感じました。
開かれた市の掲示板
街中を散歩していたらたくさんのポスターが掲示されたボードを見つけました。
よく見ると、上の方に「ポスターは毎月第一月曜日に撤去されます」との文言が。
これはきっと、誰でも自由に貼って良いよ〜ということですよね。
日本の掲示板は鍵のかかった透明ケースの中にポスターが貼られているので、都度役所にお願いをする必要があるのかなと思います。
日本もスウェーデンくらい自由に貼れるようになっていれば、地域のイベントも開きやすくなるのではないかと感じました。
実用的でインタラクティブな市のホームページ⭐️
私のいる街(ベクショー)のサイトはとても見やすいです。サイトから街で行われているイベントやおすすめなお店を簡単に探すことができます。便利なので私も普段からこのサイトを利用しています。
また、このサイトに自分たちが行うイベントの企画を掲載することも簡単にできます。
それぞれリンクを貼っておきましたので、もしよければGoogle翻訳を使って覗いてみてください👀
日本の市のサイトもこれくらいわかりやすくて、かつ、市民が簡単にそのサイトに情報を載せられるようになっていれば良いのにと思います。
また、ベクショー市のサイトでは常時意見を募集しています。
スウェーデンのマイナンバー的なものがない人でも(交換留学生などの短期滞在者)自治体に簡単に意見を述べることができるようです。
また、希望すればフィードバックがもらえるそうです。これすごく大事だなと思います。言いっぱなしにならず、ちゃんと自分たちの声が聞かれたんだいう感覚を得ることができる。
若者に向けたメッセージもありました。こどもの権利の意見表明権を引き合いに、あなたたちの声はちゃんと聞かれないといけないの!ということを主張しています。日本の自治体でこんなふうに書いてくれいてるところってあるのでしょうか?
ベクショー市のサイトは、市の情報発信・意見徴収の場所としてしっかり機能している感じがしました。
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今月は以上とさせていただきます!
実はこれでも9月半ば分くらいまでの気づきしか書けていないのですが🥹、もう10月になってしまったので一旦公開します。
長々とおつきあいくださりありがとうございました!