見出し画像

「英語が出来ても仕事は楽にならない」という話

こんにちは、たまさんです。

「ブラック企業に勤めていたけど、英語勉強してTOEIC〇〇○点取ったら、グローバル企業に転職できました!毎日充実して楽しいです!」みたいなサクセスストーリー、結構巷にあふれていますよね。

こういう話を聞くたびに、TOEIC980点で、グローバル企業でほぼ英語オンリーで仕事をしている身としては、こう思います。

「確かに、英語が出来るおかげで巡ってくるチャンスは沢山あるし、毎日充実はする。
でも、英語が出来るがゆえの不都合・苦しみもあって、決して仕事は楽にならない。それが楽しいかどうかは人による。
それを理解した上で、それでも勉強したければしたら、やったら良いんじゃないか」と。

今日はその「英語が出来るがゆえに起こる不都合・苦しみ」についてまとめてみます。

大量・かつ高難易度の仕事を、下手したら一人ぼっちで回すことになる

前提として、英語が出来る人というのは、日本では希少人材です。

もちろん、これは会社により多少異なり、公用語が英語の会社の場合や、そもそも外国人が多い環境ならその限りではないですが、一般的には希少人材になります。
希少人材だという認識になるからこそ、転職時に有利に働くわけです。

一方、希少な人材だということは、以下のような状態になることもあります。

・英語が出来る人がチーム内にほとんどいない。下手したら自分しか居ない。

・内容の善し悪し・大変さ・難易度に関係無く、英語の仕事は全て自分or英語ができるチームメイトのところにやってくる。

・慢性的に業務量が多く、かつ幅広い業務内容を対応しなければいけない(=難易度が高い)状態でも、少人数で担当せざるを得なくなる。

わたしはまさにこの状況がずっと続いていて、どうしても業務過多気味になりますし、任せられる下の人もいません。
上の人にアドバイスを求めようにも、上の人達も英語がそこまで分からない為、手の出しようがない状態になります。
結果、一人で粛々と仕事をすすめる・・・という状態になりがちです。

これは必ずしも悪い状況というわけではなく、「英語ができるおかげで、色々任せてもらうチャンスができて、短期間で幅広い業務を経験できる」という据え方も出来ます。
人が居ないので、短時間で色々なタスクをこなす練習にもなります。

逆に、そう思えないのであれば、かなりつらいかもしれません。
特に、英語を大人になってから勉強し始めた方で、「リーディング・リスニングは出来るけど、ライティングやスピーキングで自分から発信するのは苦手・・・」という人は、それを沢山やらざるを得なくなります。

転職時、TOEICの点数等、英語力をアピールするのであれば、その分、たくさん英語の仕事を任せられ、こなしていく心づもりをしておくことをおすすめします。

通訳・翻訳の負荷の高さをなかなか理解されない

英語が出来ると、雑多な資料の翻訳や、ちょっとした通訳を任されがちです。

あまり知られていませんが、通訳・翻訳というのは、かなり疲れる作業です。
様々な翻訳ツールがあるおかげで、効率化されたものの、完全にツール任せで自動化できるほどの精度のツールはまだ無いというのが現状です。

特に通訳は集中力を要するので、プロの通訳者でも15分交代制にするぐらいです。
実際わたしも、通訳をしっかり1時間の会議でやる場合、その後は何の作業も出来ないぐらい疲れ果て、夜も泥のように眠ります。
数年前までは、余りの負荷の高さに、通訳するたびに発熱していた時期もあります。

そこまで負荷がかかるのにも関わらず、周囲の人は「英語喋れるんだから、通訳翻訳なんて楽勝でしょ」と思っているので、あまり理解されません。
これに関しては、「プロの通訳でも15分交代ですよ」というのを伝え、自分なりのサービス方針を作って、交渉することをおすすめします。

わたしも今は、1時間以上の通訳は断りますし、資料翻訳の依頼も、当日中の場合はよほど緊急の場合以外、翌日以降に締め切りを延ばしてもらっています。そもそも通訳・翻訳は出来ない、というのもアリです。
それでも多少は「ケチ・・・」みたいな反応が返ってくるので、心の準備をしたほうが良いでしょう。

どんなに頑張っても、成果が伝わりづらく、正当な評価されない

英語ができる人であるがゆえにやらなければいけない、難易度が高く大量な業務、疲労がたまりまくる通訳翻訳・・・
こういった業務を頑張れば、会社もきっと評価してくれるだろう、と思うかも知れませんが、それは大きな間違いです。

残念ながら、英語ができる人は重宝されますが、それが会社からの評価や、昇給・昇格などにつながるかは別問題です。
管理職登用にTOEICの点数が条件になっている場合も、それはあくまで登用の最低条件であって、それ以上出来ることがプラスに働くとは限りません。(というか、「英語ができるから、他のスキルは微妙でも管理職にしよう」という会社があったら、ちょっとブラック企業臭を感じますので、それはそれで危ないです・・・)

やはり、会社からの評価、例えば昇給や昇格につなげるには、言語以外のスキル・経験のほうが重視されます。
そしてその際、「英語で雑多な仕事をいっぱいこなしていた」ということがプラスに働くことは無いと思ったほうが良いです。
むしろ、日本語オンリーで、自分の専門性が生きる分野で、確実に高い結果を出してきた人のほうが、よっぽど良い評価をされます。

上記では長期的な昇給・昇格の話をしましたが、もっと短期的な、例えば四半期ごとの評価も、英語で仕事をしている場合、上司が正確に業務内容・難易度を把握できないことが多い為、良くも悪くも「普通」という評価が付きます。

普通の評価は決して悪い評価ではありませんし、悪い評価がつきにくいということはクビになりづらい、という意味で、オトクでもあるのですが、一方「こんなに頑張ってて、バリューも出してるのに、評価が普通だと・・・?!」と感じるかもしれません。

この点についてわたしは、もう会社から評価されることは忘れて、「今の自分の上位互換を目指そう」と割り切った上で、社内に限らず、社外での道も見据えています。

おわりに

ここまで色々な不都合・苦しみを書いてしまいましたが、決して「こんなことが起こるから英語なんて勉強しないほうが良いよ」と思っているわけではありません。

色々な不都合があったとしても、「英語ができる」というだけで希少な人材になれるというのは、職の安定の面で素晴らしく有益です。
特に転職される方は、間違いなくTOEICの点数がある程度あったほうが有利です。
きっと色々なチャンスに繋がりますので、もし勉強している方が読者でいらっしゃたら、とても応援しています。

少しでも参考になりますように。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?