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特定の食べ物を禁止することの怖さ〜ブックレビュー「高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで」

こんにちは、たまさんです。

すごいマンガを読んでしまったので、今日はそのブックレビューをします。

「高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで」という、摂食障害の高校生、もつおさんの壮絶な記録を、可愛らしいタッチでまとめた作品です。

一部、ダ・ヴィンチニュースで無料で読めます。

今回はネタバレにならない程度に、印象に残ったところを紹介します。

特定の食べ物を禁止することの怖さ

この本の主人公、もつおさんは、ある日自分の中の「神様」という存在から命令されるようになってしまいます。

最初は「特定の物を触れ」という、軽めの命令で始まります。でもそれは、もつおさんの体型の悩みをトリガーに、「特定のもの を食べるな」、そして最終的には「一部のもの(例えば、ゼロカロリー食品)以外口にするな」と、どんどん厳しい命令になっていきます。
無理やり口に入れようとしても、罪悪感がひどすぎて、だんだん口にできなくなっていきます。
そして最終的に、うんと状態が悪くなり、入院して摂食障害の治療を行うことになります。

これは、特定の食べ物を禁止することの怖さをとても上手く表していると思います。

わたしの中にも、この「神様」からの命令ほど強くはないけど、特定のものを「口にしちゃだめ」と自制する気持ちはあります。
糖質・脂質が高いもの、アルコール、ものすごく加工された食品などです。

自制すること自体は悪いことではないんです。そういった食品が自分の体に良く作用していないのであれば、節制することは良い打ち手でしょう。

でもその一方で、そういった食品を「禁止」とまでしてしまうことは、体には良いかもしれないけど、もしかすると精神的に自分を追い込むことになり、ほんのちょっとしたきっかけを機に、行き過ぎた状態になることは誰にでもあり得ます。

一度そうやって行き過ぎてしまうと、元の状態に戻すことは、思った以上に難しい、というのが、この本の、特に入院〜退院後のパートを読むと、すごく腹落ちします。
正直、こんなに大変なものだという知識は全くなかったので、今知れてよかったです。

特定の食品を心の拠り所にすることの不健康さ

もちおさんの摂食障害がだんだん悪化していく過程で、ゼロカロリー食品を「これなら食べれる」と、心の拠り所にする描写が出てきます。
でも、その状態は続かず、だんだんゼロカロリー食品も食べられなくなっていき、最終的には、朝晩紅茶を1杯飲む以外、何も口に出来なくなります。
可愛らしい絵のタッチで描かれているので読みやすいのですが、この部分は特に壮絶で、「この子どうなっちゃうんだろう・・・」と、ページを繰る手が止まりませんでした。

そして、そうやってページを繰りながらわたしは「自分にもこういう心理ってあるな」と感じました。
特に健康に興味がある人には、特定の食品を「これなら食べれる」と思う心理って、多少あるのではないでしょうか?
わたしは大いにあります。「これ低糖質高タンパクだからいけるな」とか、しょっちゅう思っています。だからこの箇所を読みながら、本当に反省しました。

体に良いものを積極的に摂ることはとても大切です。わたしも、食物繊維とか、タンパク質、ビタミンなどは、意識して摂っているので、そういう栄養素の多い食品を意識して選んでいますし、毎日のように食卓に並ぶものもあります。

でも、それが行き過ぎて「これなら食べれる」という心の拠り所と化してしまう、という状態は、本当に不健康なんだな・・・と実感しました。

食べ物との付き合い方を見直すきっかけになった

この本を読むまで、無意識に「これは食べちゃだめ」「これは食べてOK」という、心の中の食べ物リストがあったわたしは、本を読んだ後、そのリストをすべて白紙にしました。
「食べちゃいけない」なんて、間違いなく幻想だな、毒され過ぎだわ、と思ったからです。

そして、禁止ではなく、「摂取量を把握しよう」というスタンスに変えました。
最初「管理しよう」と思っていたのですが、わたしの中で「管理」と「禁止」はニアリーイコールだったので、もっと自由に、制限性のない言葉で表現したく、「把握しよう」と思うことにしました。

わたしは糖質制限(というか、ロカボ)を心がけていて、その記事もいくつか書いていますが、これも実際は「自分に合った一日の糖質量を把握した上で摂取しよう」というトーンです。管理というよりは、観察に近いイメージです。

どうしても糖質を摂りすぎると体調がバグりやすいので、摂取量や質には気をつけていますが、かといって減らしすぎると、心も体も、もっとひどくバグります。変な渇望感を紛らわしながら過ごす一日は、幸福度低いです。

そして、一日に糖質100gぐらいは摂るようにすると、私の場合は、変な渇望感が出てこず、お腹も満たされ、本当に調子が良いです。この量は人によっては、もっと多いと思います。
不思議なことに、このぐらい糖質を確保している方が、体重も体脂肪も継続して減ります。人間の体っていうのは、上手く出来ているんだな、と実感します。

おわりに

この本は、食べ物との付き合いに関して、自分の中の歪みを発見して、今後の付き合い方を見直すきっかけになってくれました。

健康に興味がある方は特に、ぜひダ・ヴィンチニュースで無料で読んでみて、好きそうであればぜひ手に取ってみてください。

個人的には、ぜひ10代のお子さんに読んでもらいたいです。こんなに読みやすい摂食障害の本ってそう無いと思います。

なにかの参考になりますように。










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