インフレに負けない経済的自由
成長永続価値の計算
一定の割合で永久に成長するキャッシュフローの現在価値を成長永続価値といい、成長永続価値を求める計算式は、とても大切です。
成長永続価値(PegV、Perpetuity growth value) = CF ÷ (r-g)
(注)PegV(PegV、Perpetuity growth value):成長永続価値、
CF(Cash Flow):最初のキャッシュフロー
r(rate):割引率、
g(growth)キャッシュフローの成長率
継続事業体(永遠の命を持つ、ゴーイング・コンサーン)を前提として、一定の割合で成長し続ける企業の継続価値や株価の計算において、成長永続価値の計算式を使用します。
しかし、この計算式は、身近な事例でも使える便利なものです。
たとえば、「毎年1%ずつ物価が上昇する仮定のもと、年利5%の金利収入で生活費300万円を維持するために必要な元本」を計算できます。
7,500万円 = 300万円 ÷(5%-1%)
先に見た「永続価値」の計算式では、元本6,000万円を基に年利5%の金利
収入で生活費300万円を維持できました。
しかし、インフレで毎年の生活費が1%上がっていくならば、もっと多額の元本(7,500万円)を用意しなければなりません。
分母の成長率(g)が大きくなるほど成長永続価値も大きくなります。
インフレ率が高まるなかで一定のキャッシュフローを維持するためには、より高い運用利回り、または、より多額の投資元本が必要です。
物価が上がるなかではそれを上回る利回りを確保できなければ、徐々に、投資元本が目減りしていくわけです。
成長永続価値で考える「超」経済的自由
成長永続価値の計算式を基に、物価上昇(インフレ)で毎年の取崩し額(生活費)が一定割合で増加する場合に必要となる元本を計算できます。
「物価高にも負けない年間生計費を投資収益だけでまかなう」ためには、いくらの元本が必要となるでしょうか?
成長永続価値(PegV、Perpetuity growth value) = CF ÷(r-g)
たとえば、分配金再投資型の積み立て運用を継続しながら元本を取り崩す(年間生活費に充当する)場合には、「想定運用利回り-インフレ率」の取り崩し率であれば、元本を目減りさせません。
インフレ率1%の下で、投資元本5,000万円を年7%で運用継続できれば、300万円を取り崩しながら生活しても元本は減りません。
金融収益のみで年間生活費をまかなうためには、運用利回りが低いほど、またインフレ率が高いほど、多額の投資元本を用意する必要があります。
低金利とデフレに慣れ親しんだ生活が続いてきましたが、金利引き上げと
生活品の値上がりも考慮に入れたマネー戦略が求められます。
なお、上記の計算では、課税を考えていません。