金利と「日本銀行」
中央銀行の役割
各国の金融システムの中心をなす銀行を「中央銀行」といいます。
①日本銀行(BOJ、Bank of Japan)
②米国の連邦準備制度理事会(FRB、Federal Reserve Board)
③英国のイングランド銀行(BOE、Bank of England)
④EU諸国の欧州中央銀行(ECB、EuropeanCentral Bank) などです。
日本銀行は、1882年に設立されて以来、100年以上にわたって金融政策の運営と経済の舵取りを担ってきました。
日本銀行の目的
日本銀行法第1条に、日本銀行の2つの目的が明記されています。
① 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
② 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
我が国における唯一の銀行券の発行体であり、信用秩序を維持することが
日本銀行の目的です。
日本銀行は政府の子会社!
日本銀行は、東京証券取引所に上場している資本金1億円の法人であり、約55%を日本政府、残りを民間が出資しています。
政府が過半数を出資しているので政府の子会社ともいえますが、独立性を明確化するため1997年に日銀法が改正され翌年4月より施行されています。
改正法においては、総裁、副総裁2人、審議委員6人で構成する「日銀政策委員会」が金融政策の変更や業務運営における最高意思決定機関とされています。
総裁、副総裁、審議委員ともに、任期5年で国会両議員の同意を得たうえで、内閣が任命します。
政府からは、代表して2名が政策委員会に出席し、議案の提出、議決延期を求めることはできますが、議決権は与えられていません。
また、日銀の開かれた独立性を確保するために、政策委員会、金融政策決定会合での決定内容は即日発表し、一定期間後には詳細な議事録の公開が義務づけられています。
日本銀行の3つの機能
① 発券銀行
日本で唯一の発券銀行として、日本銀行券(お札)を発行し、汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった日本銀行券を、手数料を徴収することなく引き換える義務も負っています。
紙幣の印刷は独立行政法人の国立印刷局が行いますが、お札の品質管理を通して偽札が出回ることを防止しています。
また、金本位制の時代における金と交換ができる「兌換紙幣」と異なり、現在は各国が「不換紙幣」を発行する管理通貨制です。
金との交換が保証されない管理通貨制の下では、お金の価値を維持することが経済の発展に不可欠です。
そのため唯一の発券銀行である日銀が、「日銀券」の価値を維持することが大切な仕事となります。
② 銀行の銀行
民間銀行は保有する預金の一定割合を日銀の当座預金に預け入れる義務を負っており、この日銀内の当座預金口座を通じて銀行間の取引の決済を仲介しています。
③ 政府の銀行
政府の収入(税金などの国庫金)は日銀内の当座預金に入金され、支出は日銀が支払人である政府小切手の振出で処理されます。
また、国庫短期証券(T-Bill、Treasury Discount Bills)の引受けを通して、政府への信用供与(貸付け)を行っています。
海外からも注目される「TANKAN」
全国企業短期経済観測調査(通称、「日銀短観」)とは、所定の調査票で企業へアンケートを実施し、日本企業の業績、設備投資の状況、雇用などに関する調査結果を日銀調査統計局が公表する経済関連統計です。
毎年3・6・9・12月に調査を実施し、原則として4・7・10月の月初・12月中旬に結果が公表されます。
調査対象となる企業数が多く、また公表までの期間が短いためリアルタイムに景況感を判断できる指標として、海外からも「TANKAN」の名称で注目されています。
日銀短観のなかでも「業況判断指数(DI)」が特に注目される指標です。
業況判断指数(DI)は、企業経営者に対して業況に関する質問(「1.良い」、「2.さほど良くない」「3.悪い」という3つの選択肢から回答)を行い、「良い」と回答した社数構成比から「悪い」と回答した社数構成比を差し引くことで算出します。
例えば、「良い」と答えた企業の割合が35%、「悪い」と答えた企業の割合が24%であれば、業況判断指数(DI)は11%ポイント(=35%-24%)となります。
プラス値が大きいほど景況感が良いことを意味し、加えて、前回調査都の比較により景況感の改善または悪化を判断できます。
「景気は気から」とも言いますから、明るく「良い!」気分は大切です。
ただしもちろん、日銀短観は企業からのアンケートに対する回答であり、感覚的な側面は否めません。
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