【税金Q&A】サラリーマンも「実額」で経費の一部を控除できる
<質問>サラリーマンは実額での経費控除はできますか?
<答え>
サラリーマン(給与所得者)は実額での必要経費の一部を上乗せして控除する「特定支出控除」の適用を受けられます。
◆ 実額での必要経費の一部控除(特定支出控除)
給与所得者には、みなし必要経費として「給与所得控除」が認められていますが、実額での必要経費の一部控除も可能です。
この制度は、給与所得者の「特定支出控除」と呼ばれています。
給与所得者が給与所得控除額の2分の1を超える特定支出をした場合に、その超える金額を給与所得控除額に加算して給与収入から控除できます。
◆ 控除の対象となる支出
特定支出として控除対象となるのは、職務の遂行に直接必要なものとして給与の支払者である会社より証明された次に掲げる支出です。
1.通常必要であると認められる「通勤費」
2.職務に必要な出張等のための「旅費」
3.転任に伴う転居のための引越費用などの「転居費」
4.職務に必要な技術や知識を得るための「研修費」
5.弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの「資格取得費」
6.単身赴任などの場合の勤務先から自宅への「帰宅旅費」
7.次に掲げる勤務必要経費で合計65万円までの支出
(1)職務に関連すると認められる書籍、新聞、雑誌などの定期刊行物、不特定多数の人に販売することを目的として発行される図書を購入するための支出(図書費)
(2)制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出(衣服費)
(3)交際費、接待費その他の費用で給与の支払者の得意先、仕入先その他
職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他それらに類する行為のための支出(交際費等)
◆ 弁護士資格の取得費用も対象
資格取得費も特定支出控除の対象なので、たとえば弁護士資格の取得が仕事に直接必要であるという会社の証明書があれば、法科大学院の学費も控除を受けることができます。
事例として、給与収入600万円である人が年間100万円の資格取得費を支出した場合を考えてみましょう。
給与収入600万円に対する給与所得控除額は164万円(=600万円×20%+44万円)、その2分の1(82万円)を超える部分の金額(18万円)を給与所得控除額に加算して給与収入から控除できることとなります。
(例)特定支出控除額(18万円)=100万円-給与所得控除額164万円×1/2
「なんだぁ~、100万円のうち18万円だけ?」って感じでしょうか。
特定支出控除の適用を受けることで、控除される必要経費は、合わせて182万円となります。この特例による「控除額18万円×自分の適用税率」分の所得税が追加で軽減されることになります。
◆ 確定申告が必要です
特定支出控除の特例を受けるためには、会社から証明書を手に入れ、自分で確定申告書を提出する必要があります。所得税の確定申告書に適用を受ける旨および特定支出額の合計額を記載するとともに、一定の明細書、給与等の支払者の証明書の添付がある場合に限り適用されます。
これまでは「年末調整で課税完了!」だった人も、給与収入を得るための必要経費や自己投資の費用など特定支出がないか見直してみましょう。