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マイホーム取得資金の贈与に対する特例


「ご両親からマンション購入資金を援助してもらえる!」「お子さんにマイホーム取得資金をプレゼントしたい!」という方はおられませんか?
 その場合には「住宅取得資金の贈与税非課税特例」を活用しましょう。


1,000万円または500万円まで非課税


 両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けるマイホーム取得資金については、一定要件の下で、省エネ等住宅は1,000万円その他の住宅は500万円まで贈与税が非課税とされます。
 非課税限度額は、受贈者(財産をもらった人)1人当たりの金額です。

 配偶者の(義理の)両親等からの贈与は対象外ですが、養子縁組をしていれば特例を受けられます。

 なお、住宅取得等資金の受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに資金の全額を住宅用家屋の新築等に充てて、同日までに居住の用に供する、または居住することが確実である場合に限ります。 
 
 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、新築住宅は棟上げの状態(屋根(その骨組みを含む)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態)にあること、建売住宅または分譲マンションは引渡しが完了していなければなりません。

 贈与の翌年12月31日までに居住していない場合は、適用を受けられず修正申告が必要になりますので注意してください。


省エネ等住宅とは

 省エネ等住宅は、①省エネ性能、②耐震・免震性能、③バリアフリー性能のいずれかについて、下記の基準を満たす住宅をいいます。

①断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上であること
(2023年12月31日までに建築確認を受けた家屋または2024年6月30日までに建築された家屋については、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること)
②耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること
③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること


贈与税の基礎控除110万円と併用可能


 この特例は、暦年課税における基礎控除額110万円と併用できますので、省エネ等住宅は1,110万円、その他の住宅は610万円まで非課税となります。
 また、非課税となった金額は生前贈与加算の対象外であり、贈与者の死亡時においても相続税の課税価格に加算する必要はありません。


贈与を受ける人(受贈者)の要件


 受贈者が次の要件の全てを満たしている必要があります。
(1)贈与時に、原則として、日本国内に住所を有していること。
(2)贈与者の直系卑属(子や孫など)であること
(3)贈与を受けた年の1月1日におい18歳以上であること
(4)贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円(40㎡以上50㎡未満の住宅の場合は1,000万円)以下であること


特例を受けるための「住宅」の要件


 住宅取得等資金贈与の非課税特例の対象となる家屋は日本国内にあるものに限られ、かつ、次の要件を満たす必要があります。
(1)登記簿上の床面積(マンションの場合は専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下であり、かつ、家屋の床面積の2分の1以上を居住用として使用すること
(2)中古住宅の場合は、①昭和57年1月1日以後に建築されたもの、②地震に対する安全性を満たすことが「耐震基準適合証明書」等により証明されたもの、③耐震基準に適合しない住宅の場合は住宅の取得日までに耐震改修工事の申請等を行い、贈与の翌年3月15日までに耐震基準に適合すると証明されたもの、いずれかに該当すること


贈与税の申告を忘れずに!


 この非課税特例を受けるために、贈与税額が0円となる場合であっても、贈与の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告が必要です。
 贈与税申告書には、戸籍謄本、新築家屋等の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出します。


特例を受けた後の留意点


 この非課税特例を受けた場合は、その後、次の点に注意が必要です。
 取得した住宅について「住宅ローン控除」の適用を受ける場合には、家屋の取得対価から住宅取得資金贈与の非課税特例を受けた金額を控除しなければなりません。

  住宅ローン控除額
= 住宅借入金の年末残高(住宅取得対価等を上限)× 控除率

 たとえば、住宅取得等の対価2,500万円、住宅取得資金贈与の非課税特例1,000万円、住宅借入金の年末残高2,000万円である場合は、住宅ローン控除を受けられる金額は1,500万円(注)と住宅ローン残高2,000万円のいずれか少ない金額1,500万円に対して控除率を掛けます。
(注)1,500万円==住宅取得等の対価2,500万円-非課税特例1,000万円

 また、子が自宅を所有することで、親の自宅の相続時に小規模宅地等の評価減の特例(居住用宅地330㎡までは80%評価減)が適用されないことにも注意が必要です。


相続時精算課税との併用も可


 住宅取得等資金贈与の非課税特例に合わせて、一定要件のもとで、相続時精算課税を選択することも可能です。
 相続時精算課税は、本来、贈与年の1月1日において60歳以上の直系尊属から18歳以上の直系卑属に対する贈与について適用されますが、住宅取得資金の贈与と併用する場合には、贈与者が60歳未満であっても適用されます。

 相続時精算課税との併用により省エネ等住宅の場合は3,610万円(住宅取得等資金贈与の非課税1,000万円+相続時精算課税の基礎控除110万円+特別控除2,500万円)まで非課税で贈与できます。

 ただし、相続時精算課税と併用する場合は、特例適用後の住宅取得資金について贈与税の課税価格に算入される金額がある(贈与税の納税額がある)場合に限り適用されます。
 また、相続時精算課税を適用した場合の基礎控除を超える部分の金額は、贈与者が亡くなった時の相続税の課税価格に加算されます。

 住宅取得資金贈与の非課税特例は、受贈者の合計所得金額が2,000万円(床面積40㎡以上50㎡未満の家屋の場合は1,000万円)以下である場合にのみ適用されますが、相続時精算課税と併用する場合は受贈者の所得要件はなく、合計所得金額が2,000万円を超える場合にも、適用を受けることができます。

 住宅取得資金贈与の非課税特例は、新築家屋等の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡未満という条件がありますが、相続時精算課税と併用する場合は床面積の上限もありません。


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