サラリーマンも勉強代の一部を経費にできる
個人の税金⑦
「特定の支出」を控除できる特例あり
給与所得者には、給与所得控除というみなし必要経費が認められますが、一定要件の下、実額で必要経費の一部を控除できます。
この制度は、給与所得者の「特定支出控除」と呼ばれています。
控除対象となる「特定支出」は、下記の表に掲げる1~7の支出のうち、職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者(会社)により証明された支出に限ります。
なお、4.研修費、5.資格取得費のうち厚生労働大臣が指定する教育訓練給付指定講座の受講費用は、会社に代わりキャリアコンサルタントが証明を行うことでも控除が認められます。
上記に掲げる特定支出額が給与所得控除額の2分の1を超える場合には、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算して収入から控除できます。
特定支出の全額を給与所得控除額に上乗せして控除できるわけではない、ので注意してください。
たとえば給与収入が300万円であれば給与所得控除額98万円の2分の1である49万円、年収1,000万円であれば195万円の2分の1である97万5,000円を超える額の特定支出があった場合に、その超える部分の金額を給与所得控除に加算して控除できます。
通勤交通費、旅費などは会社から支給されることが多いと思いますので、自分の財布から支出する可能性が高いのは、4.研修費、5.資格取得費、7.65万円までのスキルアップのための書籍購入費、アパレルショップ勤務の方が購入する仕事用の洋服代、などですね。
いかがでしょうか?
ご自身の給与所得控除額の2分の1を超える支出がありそうでしょうか。
なお、会社から補てんされた金額で所得税が課税されていない部分、教育訓練給付金、母子(父子)家庭自立支援教育訓練給付金などは、特定支出から除かれます。
たとえば年収400万円の高城さんが、職務に関連する書籍購入費および研修費の合計90万円について会社の証明を受けた場合は、この特定支出90万円が給与所得控除額124万円の2分の1(62万円)を超える部分の金額28万円を給与所得控除額に加算して控除できることとなります。
その結果、給与収入から控除される必要経費は、みなし必要経費である給与所得控除124万円と特定支出28万円を合わせて152万円となります。
なんだ~。
90万円支出しても、控除対象は28万円だけか、という感じでしょうか。
しかし平成24年までは、給与所得控除額を超える部分を控除対象とする、という制度でしたので、年に数名しか適用を受ける人はいませんでした。
いまのルールに改正されたのち、適用を受ける人も増加しています。
証明書を添付して確定申告書を提出
特定支出控除の適用を受けるためには、会社またはキャリアコンサルタントの証明書と支出明細書を添付して確定申告を行う必要があります。
★重要★ 会社またはキャリアコンサルタントが証明した「特定支出」の一部が必要経費として認められる!