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そもそも「お金」、金融機関の役割は? 


金融とは


 金融とは「お金に余裕のある人が、お金を必要としている人に、お通すること」を意味し、経済の活性化のために不可欠なしくみです。
 資金循環(マネーフロー)を仲介する役割を果たすのが金融機関です。


通貨(お金)の3つの役割


 金融の現場において通貨(お金)は、次の3つの役割を持っています。

1.価値尺度 ・・・ モノの価値を表す尺度としての機能
2.支払手段 ・・・ モノやサービスと交換するための手段
3.価値蓄積
 価値の蓄積、保存と現在の購買力を将来のために蓄えておく手段

 
 1万円の紙幣(日本銀行券)には、1万円の価値があると誰もが信用しているので、同等の価値がある商品やサービスと交換できます。
 紙幣や硬貨は腐らないので、将来のために保存(貯蓄)もできます。

 これらの通貨(お金)の3つの役割が十分に発揮されるためには、通貨の価値(物価)の安定が不可欠となります。


銀行、保険会社、証券会社の役割


 民間金融機関はお金の仲介方法により「金融仲介機関」と「非金融仲介機関」に分かれ、このうち金融仲介機関が「間接金融」の担い手となります。
 さらに金融仲介機関は、預金の受入れを行っているかどうかで「預金取扱機関」と「非預金取扱機関」に区分されます。

 普通銀行などの金融仲介機関は、預金証書や保険証書(合わせて「債務証書」または「間接証書」とも呼ばれます)を発行し、債務証書を引き換えにお金の余剰部門(貸し手)から資金を集めます。

 預金証書を発行するのが預金取扱機関すなわち銀行であり、保険証書を発行するのが非預金取扱機関であり生命保険会社が代表例です。
 ただし、実店舗を持たないネット銀行では、預金証書などは発行されず、基本的にパソコン内のPDFで電子取引レポートを入手して確認します。
 取引レポートの郵送依頼に応じてくれるネット銀行もあります。

 金融仲介機関は集めたお金を原資に不足部門(借り手)にお金を貸付け、借り手はお金と引き換えに手形や借入証書(本源的証書)を発行します。
 証券会社などの非金融仲介機関は自ら証書を発行せず、借り手が発行する本源的証書を最終的な貸し手に届ける仕事を行っています。



銀行のしごと


 銀行法第10条において、銀行が営むことができる業務は、
 1.預金または定期積金等の受入れ
 2.資金の貸付けまたは手形の割引
 3.為替取引、であると明記しています。

 銀行の固有業務は、「預金業務」「貸出業務」「為替(決済)業務」の3つであり、これらの固有業務を営む株式会社で金融庁の免許を得たものが「普通銀行」です。

 銀行業務には上記の固有業務のほか、固有業務を行ううえで必要な「付随業務(①債務の保証または手形の引受け、②有価証券の売買、③有価証券の貸付け、④国債などの引受け等の17項目)」と「周辺業務」があります。

 周辺業務は銀行自体では行えず、関連会社を通じて行う業務であり、リース業務、クレジット業務、ファクタリングなどがあります。

 信託銀行も銀行法に基づく銀行ですが、信託兼営法(普通銀行の信託業務の兼営等に関する法律)によって信託業務を兼営している銀行であるため、普通銀行とは区別されます。

 また信用金庫は銀行ではなく、信用金庫法に基づく会員の出資による共同
組織の非営利法人です。相互扶助の理念に基づき地域社会の発展に寄与する
ことを目的としています。


証券会社のしごと


 証券会社は、株式や債券など有価証券の売買を取り次ぐ非金融仲介機関であり、直接金融において重要な役割を果たしています。
 証券会社の基本的な固有業務は、次の4つです。

1.アンダーライティング業務(引受業務
 企業が発行する有価証券をまとめて買い取り、投資家に販売する業務
2.ブローカー業務(委託売買業務
 個人や会社からの委託を受けて、証券取引所において有価証券の売買注文を取り次ぎ、代理で売買する業務
3. ディーラー業務(自己売買業務
  証券会社が自ら投資家として利益を得るために有価証券を売買する業務
4.セリング業務(募集・売出業務
 企業の委託を受けて、新規発行の有価証券を投資家に販売する業務


保険会社の役割


 保険会社は保険業法に基づき金融庁の免許を得て営業する金融機関です。
 保険料として集めた資金を金融市場で運用することで金融仲介機能を果たしており、特に有価証券投資の分野では「機関投資家」として大きな影響力を持っています。

 かつて、株価と不動産価格の高騰、高金利と円高を背景に日本経済が好景気に沸いた1980年代、巨額の資金で国際金融市場を席巻する生命保険会社は海外投資家から「ザ・セイホ」と呼ばれていました。


ノンバンクの役割


 ノンバンクとは、預金を受け入れないで貸し出し(融資)を行う金融機関の総称であり、消費者金融会社、クレジットカード会社、リース会社、事業者向け金融会社などが該当します。
 現在は、子会社化した消費者金融会社を通して、メガバンクもこの分野に進出しています。

 ATM機での貸し付けなど、スピーディーな融資決定が可能である反面、審査が緩やかであるため不良債権を抱えやすい業態でもあります。
 グレーゾーン金利(利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の間の金利帯)での高金利による貸付けや強引な取り立ては大きな社会問題でした。

 2006年1月の最高裁の「利息制限法の上限金利を超える金利は違法」という判決を受けて、2010年6月「改正貸金業規制法」が成立し、出資法での上限金利は利息制限法と同じ20%まで引き下げらました。

 現在 、利息制限法での上限金利は貸付額により、10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%となっています。

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