報酬から源泉された所得税を取り戻す⑥4号報酬(セールス等)で稼ぐ人
第4号報酬の内容
第4号報酬は、プロスポーツ選手の役務提供に対する報酬、雑誌等に掲載するモデルに対する報酬などのほか、外交員(セールスマン)、集金人、電力量計(ガス等)の検針人の業務に関する報酬をいいます。
プロスポーツ選手と宣伝契約を締結して、試合出場中に自社名入りのワッペンの貼付、自社製品の使用を条件として支払う報酬、自社主催のプロゴルフトーナメントでの賞金なども含まれます。
人気のゴルフ選手は帽子やウェアに会社名のワッペンを貼ってますよね。
スポンサーである会社にとっては、観戦者に会社名を広く告知する宣伝効果があるわけです。ただ単純に広告宣伝費として費用処理するだけではなく、会社側に所得税の源泉徴収義務が生じることになります。
外交員報酬(事業所得)と給与の区分
第4号報酬のなかの「外交員報酬」とは、教育用図書や健康器具などの自社製品の販売、営業を行う人に対して、固定給または歩合給で支払う金銭をいいます。温泉旅館♨の湯上がり場に置いてあるお試しマッサージ器の営業をされている方を見掛けたことはありませんか?
外交員が雇用されているならば給与所得として課税され、自己の危険と責任の下で独立した事業として行うならば外交員報酬(事業所得)として課税されます。
外交員へ支払う報酬が給与所得となるか、外交員報酬として事業所得となるかについては、一般的に、次の点を考慮して判断します。
基本的に、(1)から(4)の判定基準の答えが「はい」であれば給与、「いいえ」であれば事業とされます。
(1)営業担当者の個々の業務について、会社の指揮監督を受けるか?
(2)営業に要する旅費交通費等の経費を会社が負担するか?(注)
(3)営業担当者は社会保険に加入し、他の従業員と同様に福利厚生施設の利用制度があるか?
(4)営業担当者のベースアップおよび定期昇給または退職金の支給は他の従業員と同様に取り扱われているか?
(注)旅費が支給される場合
営業活動に必要な旅費等が報酬と明らかに区分して支払われる場合には、通常必要とされる部分の旅費は非課税、それ以外の部分は給与とされます。
営業活動に必要な旅費等が報酬と明らかに区分して支給されない場合は、固定給とそれ以外の部分に明らかに区分されているならば、固定給は給与、それ以外の部分(販売成績に応じて支給される歩合給等)は外交員報酬(事業所得)とされます。
これらの基準でも判断できないときは、外交員としての役務を提供するための旅費等の費用の大きさやその他の事情を総合的に考慮して、給与であるか外交員報酬等であるか判断することになります。
他社の外交員ヘの報酬も源泉徴収の対象
外交員報酬には、特約店等の外交員に支払うものも含まれます。
機械メーカーなどが自社製品の販売をする特約店等に専属するセールスマンまたは特約店の従業員等に対して、販売成績、取扱数量に応じてあらかじめ定められた基準により支払う報奨金等も外交員報酬に該当します。
第4号報酬等に対する源泉徴収税額
1.第4号報酬(2および3を除く)
第4号報酬に対する源泉徴収税率は10.21%ですが、同一人に対する1回の支払金額が100万円を超える部分の金額については20.42%となります。
(注)非居住者(日本に住所も1年以上の居所も有しない個人)であるスポーツ選手に支払われる報酬は一律20.42%(あらかじめ租税条約に定める特例を受ける届出書の提出により免税となる場合あり)
2.職業拳闘家に対する報酬
職業拳闘家の業務は、同じ人に対して1回に支払う金額から5万円を控除した残額に対して税率10.21%で源泉徴収するという「基礎控除方式」です。
(報酬額 - 1回の支払いにつき50,000円)×10.21%
3.外交員、集金人または電力量計の検針人の報酬に対する報酬
外交員、集金人、電力量計の検針人の業務に関する報酬は、1人に対してその月中に支払われる金額から12万円を控除した残額の10.21%に相当する所得税を源泉徴収します。
ただし同じ月に、外交員報酬と給与を支払う場合は、「12万円から給与等の額を控除した金額」を報酬額から差し引いた残額の10.21%相当額を源泉徴収します。
(1)外交員報酬のみを支払う場合
(報酬額-120,000円)×10.21%
(2)外交員報酬と給与所得である固定給を支払う場合
{報酬額-(120,000円-給与等の額)}×10.21%
(注)給与等の額に対しては「給与所得の源泉徴収税額表」を適用する
<参考>「第4号報酬」に含まれるもの
(所得税法204条第1項第4号/所得税法施行令320条第3項)
◆職業野球の選手の業務に関する報酬等
◆職業拳闘家の業務に関する報酬等
◆競馬の騎手の業務に関する報酬等
◆モデルの業務に関する報酬等
◆外交員の業務に関する報酬等
◆集金人の業務に関する報酬等
◆電力量計の検針人の業務に関する報酬等
◆プロサッカーの選手、プロテニスの選手、プロレスラー、プロゴルファー、プロボウラー、自動車のレーサー、自転車競技の選手、小型自転車競争の選手、モーターボート競争選手業務に関する報酬等
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?