![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/95933642/rectangle_large_type_2_78c7040d31210d366b17577f27ab53fa.png?width=1200)
青色申告を選ぶメリット④引当金繰入
個人事業者、不動産オーナーの方が「青色申告」の選択で受けられる税務のメリットを整理しておきましょう!
青色申告を選択できるのは、事業所得のほか山林所得または不動産所得を生じる業務を営む人に限られます。
会社勤めで給与所得だけの場合は残念ながら選択できません。
事業所得とは、小売業、卸売業、製造業、サービス業、建設業、農業など範囲は広く、フリーランサー(自由職業者)も含まれます。自己の計算と危険のもとにおいて、独立して事業を行う人が事業所得者であり、仕事の規模や大きさは問いません。
不動産所得者とは、土地、駐車場、アパート、店舗などの不動産、不動産の上に存する権利の賃貸をしている人をいいます。アパート1室だけの貸付けであっても不動産所得となります。
山林所得者とは、5年を超える期間所有していた山林の伐採による譲渡、立木のままで譲渡することによる所得を得ている人です。
④貸倒引当金繰入額の必要経費算入
~ 焦げ付きに備えるとともに節税しましょう ~
ツケ売り(信用取引)にて事業を営むうえでは、得意先に対する売掛金が焦げ付いて回収不能となるリスクを抱えています。
このような将来の財政状態に悪い影響を及ぼす焦げ付き損失を先取りして決算書に反映させる科目が「貸倒引当金」です。そして、将来において発生する可能性が高い貸倒による損失のうち、当年において負担すべき部分を、貸倒引当金繰入額として必要経費に算入できます。
引当金の繰入対象となる債権には、一括評価貸金(ひとくくりで評価して大丈夫な相手先に対する債権)と個別評価貸金(1社ずつ個別に評価すべき危ない相手先に対する債権)の2つがあります。
一括評価貸金に対する貸倒引当金は、青色申告者である事業所得者のみ繰入れることができます。一括評価貸金とは経営上の問題が特に起きていない通常の得意先に対する債権です。
個別評価貸金に対する貸倒引当金は、青色申告者でなくとも繰入れることができます。個別評価貸金とは経営状態が悪化した得意先への債権です。
これら引当金繰入額が必要経費に算入されることで、最初の繰入時には、
「引当金繰入額×自分の税率」の金額だけ節税できるとともに、将来の費用や損失を先取りした保守的な利益を把握することができます。
なお、当年に繰り入れた引当金は、翌年以後のいずれかの時点で戻入益が計上されますので課税の減免(永久的な節税)ではありません。とはいえ、将来の焦げ付きに備えることで金利分程度の税金は取り戻したいですね。
また、将来において実際に焦げ付きが発生したときに、引当金を取り崩す会計処理を行うことで、その将来の期の業績に悪影響を与えません。
売上代金が回収できないことで資金繰りの悪化は避けられないのですが、損失を先取り計上した引当金分は将来の利益を食いつぶさないわけです。
<繰入時> 貸倒引当金繰入額 ××× / 貸倒引当金 ×××
<焦げ付いたとき> 貸倒引当金(※) ××× / 売掛金 ×××
※ 準備していた貸倒引当金を超える部分の金額は貸倒損失に計上する
また、引当金繰入額は外部への資金流出がない経費なので、儲けの金額に引当金繰入額を加算した(足し戻した)金額に相当する資金が留保されている(利益の金額以上に手許にお金が残っている)といえます。
貸倒引当金を繰り入れることで焦げ付きリスクを反映した保守的な決算書を作成しましょう!