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オランダで娘の健診を受けて思うこと

突然の保健師訪問

オランダに来て2か月半が経ったある日の昼下がり、友人とおしゃべりしていたら玄関からノックの音が。ドアを開けると一人の女性が微笑みながら立っていて、新しい住民の保健師訪問の旨を伝えられました。
そうか、そんなのもあるんだねと家に招き入れ、ひとしきり娘の成育歴や子育ての状況を伝えて、その保健師さんも同じくらいの子供がいるということで、魔の3歳児の育児共に頑張りましょうねという言葉をいただき、後ほど予防接種と定期健診の案内がドクターから直接連絡が行くから待っていてねということで、その日は終了。1か月くらい経った頃に改めて連絡があり、先日オランダで初めての健診と予防接種を終えてきました。

当日の様子

もともと予防接種にはそんなに拒否感のない娘。身長と体重測るらしいよと伝えたらなんだか嬉しそう。我々の街の保健センターは小学校に併設されており、校庭では子供たちが元気に遊んで、屋内のステージでは劇の練習をしており、楽しそうな雰囲気に娘は緊張することなく受付を済ませ、アシスタントのお姉さんの華麗なさばきで身体測定もすぐ完了。これからドクターが呼ぶからちょっと待っててねとおもちゃで遊んでいたところ、お声がかかり部屋の中へ。ここでわかる。オランダの予防接種と健診は完全プライベートなことに。実際1時間半くらいじっくり出産から今までの母子の様子や心配事などを親身に聞いてくれる内容だった。日本では集団健診だったし、予防接種も決められた予約時間内には一定数の親子がいて、順番を待って、呼ばれたら予防接種は予防接種だけでその他の相談等は一切なし(私が住んでいた市町村は)。オランダでもそんな感じかなと思っていたので、その手厚さに私はものすごく感動し、大げさではなく涙が出そうになったほど。新しく来た外国人家族だからこそ悩みは深いはずと言いながら本当に優しく話を聞いていただきました。

実際何をするの?

  1. 身体測定

  2. 成育歴のチェック

  3. 発達チェック(積み木、お絵かき、指差しクイズ)

  4. 目・鼻・口のチェック

  5. 内診

  6. お悩み相談

特筆すべきは、オランダでも日本のように成長曲線を使いながら身体の発育をチェックするのだけど、年齢の平均ではなく、父母の身長から成育予測をし、年齢相応の身長・体重に育っているかを見てくれた点。実際に日本では大き目だった娘はオランダに来てからクラスで一番小さい体でその差に来たばかりの頃は驚いたのだけど、同じ年齢の子たちの平均ではなく、親の数値で確認をするのはとても理にかなっていると感心しました。私もそうだったけれど、子供のことになると特に平均と比較して心配しがち。娘のオランダでの健診で、そんなの無意味だったなと気づきました。

また、日本では集団健診で流れ作業的に上記のことをしますが、大勢いる中で自分の子供が“できるかできないか”を見られるのは親としてはプレッシャーが大きいですよね。私自身、1歳半健診で自分でズボンを履いている男の子を見てびっくりしたのを覚えていますが、事前に母子手帳に回答する質問項目もそうですが、健診内容だけではなくて、そうやって否応なくできる・できないを親が実感してしまう環境を作り出す日本の集団健診はいかがなものかと思いました(オランダの場合、事前の質問項目もありません。医師の目で確認します。余談ですが、予防接種前の体温測定すらありません笑)。自分の子供を大切に思えば心配や不安を抱えるのは当然のこと。子供の成長はそれぞれのペースがあるのに、日本の集団健診ではその種を大きくしかねないとオランダの完全プライベートな健診を受けて感じています。

医療は誰のもの?

今回の健診で最もありがたいと感じたことは、娘の持病について大学病院での定期チェックに繋げてくれたこと。娘の経過に関してはいたく良好で、日本での次回の検診は3年後。形成外科の専門なので、命にかかわることは全くないし、現状特にすべきことはなく、オランダで何かをしてもらう必要は特段ありません。ただ、私たちが住むフローニンゲンには大学病院にチームが形成されており、よかったら行ってみない?ということでお言葉に甘えて受診させていただくことに。私が気になっていることは、身体的な経過よりも、これから年齢を重ねるにつれて人格が形成されていく中でメンタル的な支えが必要になってくるのではないかということ。そういう点ではもしかしたらオランダのダイバーシティの価値観や考え方というのは娘にいい影響をもたらすのではないかと考え、外国人の私たちにこんなに手厚くしてもらって申し訳ないと罪悪感すら抱えていた気持ちを、最高の環境を与えてもらったとポジティブに変換してオランダにいる間はお世話になることに決めました。
オランダでは日本のように気軽に医療を受けることはできません。インフルエンザでも自分で治せと言われる国だけど、本当に必要としている人には手厚く提供してくれるというのを実感し、心底ありがたいの一言に尽きます。そうなると、よし!頑張って納税するぞ!とまで思えるほど。それまでいい国だとずっとお伝えしてきたけれど、改めてすごいなと娘の健診で思った次第です。

この話を同僚にしたら、日本の集団健診じゃ娘ちゃんのそういう話もゆっくりオープンにできないしそういう意味でオランダのやり方は日本より優れているねと正直な気持ちを伝えてくれました。子供や医師の数など環境に違いがあるため単純な比較は意味がないかもしれないけれど、私にとってはオランダでの健診は気持ちの拠り所になる、そんな場所でした。

まとめ

オランダでの娘の初めての健診を通じて、医療や子育て支援に対する考え方の違いに感銘を受けました。オランダのシステムには改めて感謝すると同時に、この環境で娘を育てられることを心からありがたく思います。


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