紫護縄びんごさんに初めてお会いしました
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今日は朝からちょっとそわそわ。それもそのはず、今日はまいと一緒に紫護縄サロンにお邪魔する予定なのだ。
いつもうちの愛犬がお世話になっている新宿のSMバー「密蜜」で縛ってくださっている紫護縄びんごさんに以前からご挨拶だけでもしたいと思っていて、念願叶ってようやくその日が来た。
午前中からまいと合流するために新幹線に乗って、道中の空き時間にnoteを書こうと思って編集作業をしようとするも、思った以上に頭が回らない。
そもそもマルチタスクが苦手な人間なので、1つでも考えることがあるとその他のことができない質なんだけど、こういうときは尚更頭が働かない。
だって今日は初めてが多いんだよ。
まいの飼い主として人と会うのが初めて。
びんごさんとお会いするのが初めて。
SM界隈にお邪魔するのが初めて。
まいの飼い主として…というのは、初めてとはいえ普段通りなので大丈夫。
やはり残りの二つ…まいと知り合うまでは無縁だとさえ思っていたアンダーグラウンドな場所、そしてそこでご活躍している方に会える。こんな緊張のダブルコンビネーションで平常心でいられるほどタフなメンタルじゃない。とはいえこれはワクワクドキドキみたいなポジティブな緊張感と高揚感が入り混じったやつなので、緊張するけど待ち遠しい。そんな感じ。
新幹線を降りて、そこでまいと合流した。緊張してる?とか、いつもより服装しっかりしてるんじゃない?とかニヤニヤしながら聞いてくる。人の緊張感で遊ぶのはやめなさい!
サロンの予約時間まではまだ時間があるので、サロン付近の新宿を散策しながら外食の場所でも探そうということになった。私はアルタの方しか行ったことがなかったので、きっと夜はすごいんだろうなーと思わせるネオン街の雰囲気とか、昼間から酔っぱらってる元気のいい人とかを見かけるこの場所がすごく新鮮。
密蜜の入っているビルにも連れて行ってくれて、看板しか見ていないけどここがわんこの実家的場所かーって感慨深い気持ちになった。
このお店のおかげで、うちのわんこは色んな気持ちを汲んでもらったり吐露することができていたり縄を心置きなく楽しむことができている。
その後も飲食店を探してのんびりと散策。実はこうやってわんことしっかりとした外出をするのは初めてのことで、それもまたとても楽しい。隣を歩かせていて、こうやってずっと隣で歩いていて欲しいなとしみじみ感じつつ飲食店探しを続けていたら、目の前にガストがあるじゃないか。
ガスト行きたい!って言ったらちょっと驚かれたけど、最後に行ったのは何年前だろうってレベルで行ってない場所なので、もはや物珍しさすら感じてしまう。
ということでガストに決定。早速店内に入って色々と注文を済ませたら、今日したいことのひとつをここで達成すべくスマホを取り出す。
そしてZenlyという位置情報アプリをインストールする2人。これで今どこにいるかを常に把握することができるらしい。すげー時代になったもんだ。
このアプリを入れた理由だけど、うちのわんこの数ある性癖の1つに相手に把握されたい&相手のことも知っていたいというものがある。このアプリを開けばGPSでお互い今どこにいるのかが一目瞭然になるので、わんこの欲を満たすのにとても良いアプリ。入れてみて思うけど、二人の会話も増えるしこれ結構面白いね。
そんなわけで今日からは衛星を通じてリードを繋ぐ形となった。
しばらくワイワイ話していると、わんこが突然「後ろに注文したやつ来てるよ!」って言いだした。振り返ってみたら、さっきまで何もなかった場所に今は確かに変なのがある。
何の気配もなく背後に忍び寄っていたネコの面した珍妙な配膳ロボ。到着したならお前もうちょっと自己主張してくれないかな。ビーム撃つとかさ。
それにしても最近のガストは自走式のロボットで運んでくれるのか。知らないうちに色々と世の中が変わっているんだな。
そういえば外出もそうだけど、こうやって対面して食事をするのも初めてだ。まいを眺めながらの食事もいいもんだなー。でもやっぱり床に座らせて太ももを踏みながら食べる方が落ち着く。飼い主とわんこでいられる時間が2人にとって一番しっくり来るんだよね。きっとまいもそう思ってるはず。
談笑しながら食事を済ませると、いよいよサロンの予約時間が近づいてきた。自分の中に明らかな緊張が高まってくるのを感じながら目的地のマンションに入ってエレベーターを上がる。さあ遂にそのフロアに到着だ。
すると、ドアを中から開けて待っている女性がいた。まいがその女性と話している内容を聞いていると、どうやらAYAさんだということが分かった。そのお名前と素敵な縄姿の写真はツイッターで拝見したことがある。こうやって実際にお会いしたAYAさんは、とてもフワッとした優しい空気感を持っている方だ。現時点で既におっそろしいほど非現実感。幼少期に仮面ライダーと一緒に写真を撮ったことがあるんだけど、そのときと同じような感覚。そしてこの感覚はしばらく続くことになる。
そのまま奥の部屋へと案内されると、そこにびんごさんがいらっしゃった。
長身でスマートな佇まいに落ち着きを払った物腰、ご挨拶をいただいたときの声のトーンの低さがすごく印象的で、その後私が放った「はじめまして、たまと申します。」という、ただでさえ高い地声の響きが余計に高く感じる。そんなやり取りを隣でニヤニヤして見ているうちのわんこ。
びんごさんと私を引き合わせることができたこととか、今まで一度も見たことのない緊張した私の表情とか、いろいろと重なってニヤニヤが止まらないんだろうなー。
びんごさんが近所で開催されている芋フェスに行きたいと仰っていたので、激混みという前情報の真偽を確かめるべく全員で芋フェス会場に移動する。でも今日って平日、しかもお昼を過ぎた時間。ついでに言うと小雨まで降っているんだ。いくらなんでもそこまで混んでないんじゃないか?ってほんの少し思ったその考えは、現地に到着したとき眼前に見えた行列の長さで大間違いだったと思い知らされる。
それでも並べばいつかはもちろん買えるんだけど、我々の滞在時間があまり長く取れないことを考慮してくださってサロンに帰還することに。びんごさんは密蜜に荷物を取りに行かれるとのことだったので、先にサロンに戻って少し室内を見学させてもらった。
天井から吊られている竹、そしてそれを縛っている縄。その全てがSMに使われているものなんだって考えると何となく不思議な感覚になる。場所は違えどわんこがよく吊られているのは動画で見ているけど、実際に吊られるであろう場所に立つとイマイチ想像が追い付かない。
AYAさんに暗室も案内してもらって、檻もあることを教えていただいたりする。文字通りウロウロさせてもらいながら見学をしていたわけだけど、まだ緊張感が抜けていないからなのか私の頭の中は微妙に夢心地というか、現実感があまりない。
そんなことをしていたらびんごさんがお戻りになられたので、こたつを囲んで座る形で少しお時間をご一緒させていただいた。
まいが私に楽しそうに話しかけてくるのでいつものように会話をしていると、それを聞いていたびんごさんがまいを見て「収まるところに収まっているんだな」と仰ってくださった。
この言葉、本当に嬉しかったなー。まいにとって、私は良い存在なんだって改めて思うことができた。
その後も少し会話をしていると「主さんがびんごさんに嫉妬するんですよー」と素直に伝えるうちのわんこ。いやまあその通りだったんだけど。飼い主二年目の今はそこに関しての色々な気持ちを整理できていると思っている。でもせっかくの機会なのでその当時の気持ちを正直にお伝えしてみた。
SMというものに触れるのが初めてで、パートナーが他の人の手(正確には縄)で気持ちよくなっている動画を客観的に見るのも初めてでした。寝取られ癖もないですし、ずっと見ていると私は必要ないのではないか?とさえ思えてしまって、自信がなくなってしまうこともありました。その気持ちとどう向き合えばいいかが飼い主一年目の課題でした。
こんな感じにお伝えしたらとても丁寧にポジティブな言葉を返してくださいました。
私のスタンスとしては、まいがしたいと思うことを許せる範囲でさせてあげたい。なのでプロのびんごさんに縄をお願いしているわけだけど、それが出来るって当たり前のことではないんだよ?って、確かにまいの口から何度か聞いたことはあった。そして、この界隈の方をたくさん見てきているびんごさんもまた、今同じことを仰っている。
よーし、この飼い方で間違ってなかったー!って内心ガッツポーズ。
こういう話になったので、流れでもう一つお聞きしてみた。
以前からすごーく不思議に思っている「緊縛」というものについて。
というのも、私がわんこに対して加虐を含む様々な性的行為を行うとアヘアへする。これは分かる。わんこは脳イキ体質なので、性器などに触れなくてもアヘアへする。これもぼんやりだけどまあ分かる。しかし、縄ってなんでアヘアへするんだろう。直接性器に触れていないから脳イキだろうけど、何がどういうトリガーになって快楽に変わるのか全然理解ができなくて。
その辺りの疑問が前からあったので、まずは快楽から学ぼうと思ってオーガズムの原理をウィキペディアで調べながら何日もノートに書き写して勉強したこともあった。これ本当に面白いので、女性を責めるのが好きな方は一読した方が良いと思う。
動画で観ているだけでも縄って本当にすごい。
縛られ始め、完全に縛られているとき、吊られているとき、解縄のとき、それぞれ違う快楽があるように思える。様々な要因を折り重ねながら快楽に導くから、あれだけ深い快楽になるのかなって未経験者の私は勝手に思っていて、でもその様々な要因ってなんだ?ってなるとお手上げで。
今こうやって時間を掛けて文章にしているからそれでも多少はまとまった形で書けるけど、びんごさんにお伺いしたときは恐ろしく稚拙な質問内容だった。多分「縄って気持ちいいところを直接刺激しないのに、なんであんなに気持ちよくなっちゃうんでしょうか?」みたいな。
縄をやっていない人間からの質問でもあるし、質問自体があまりにも漠然としているから、これは笑って流されたとしても普通かなって思った。
でもそんな稚拙極まりない質問をすごく真剣な表情で聞いてくださっていて、そして分かりやすい言葉で伝えていただいた。簡単な話ではないから当然答えではないんだけど、私にとってそのお話はすごく興味深いお話だった。
色々とお話をお伺いして、いつかびんごさんがまいを縛っているところを見てみたい。縄をしていなくても勉強できる部分はたくさんあるし、何よりも一度本物の緊縛を目の当たりにしてみたいって強く思えた。
個人レッスンの方がお見えになられたので、ここでびんごさんとの語らいは終わって別室でまい、AYAさんと少しのんびり。女性二人の会話をぼんやりと聞きながら、主従関係のことや自分の加虐性癖を当たり前のように話せたり、それが認められる場所というのはとても心地良い場所だなーって感じていた。
びんごさんって男が惹かれる男性ですよね。稚拙な私の質問にも真摯に向き合ってくれて本当に嬉しかったです。っていう感じのことをAYAさんに語っていたら、それを聞いていたまいが興奮しだした。そう、このわんこは私がペラペラと語っているのを見るとすごく可愛く感じるらしいのだ。
あーもう可愛い!!!と頭がもげるんじゃないかってくらいに撫で回してくる。初めての空間、初対面の方の前でそれをやられて顔面から火を噴くんじゃないかってレベルで恥ずかしかった。
そろそろサロンを出てホテルに向かおうと思い、びんごさんにご挨拶したら「いっぱいヤッてきなよー」ってお返事が。そのお言葉有難く頂戴します!
当たり前のようにこういう会話ができる空間だし、様々な形で性と向き合いたいと思う人たちが下心なく気軽に集える場所なんだね。
初めて経験したSM界隈の場所は、めっちゃ素敵なところだった。
サロンを出たらすぐそばにあるホテルに駆け込むようにチェックイン。
時間の関係でいっぱいとはいかなかったけど2回程快楽バチボコセックスを楽しんで、時間ギリギリまでくっつきながら一緒に過ごした。
改めて思う。一日中ド健全デートは我々には不可能だと。会っていて何もしないというのは、サバンナの飢えたライオンの鼻先に生肉を置いて食べるなと言っているのと同じようなもんだ。
そんなわけで今日は緊張と高揚感でいっぱいの一日だった。
今度サロンにお伺いするときはまいを目の前で縛っていただいて、そしてめちゃくちゃに気持ちよくしてもらえたら嬉しいです。
本当に良い時間でした。びんごさんありがとうございました。